ヨガスクールが始まる
秋風が吹いてだんだん寒くなる時期に、ヨガスクールのカリキュラムがスタートしました。クラスメイトは15名程度、何だかいい匂いがします。
そしてその当時、都会で流行っていたまつげエクステを私以外のほとんどの方々がみんなしているようでした。
クラスメイトの大半が20代、着飾って、お化粧をして、きれいで華やかな方々ばかりでした。
特に女性は自分よりもスタイルが良くてきれいな方に憧れることから、こういう人たちが人気があって、多くの方々に求められるヨガインストラクターになるのだろうと他人事のように眺めていました。
皆、今日からヨガスクールが始まるということもあって気持ちが高ぶっていたのでしょうか、落ち着かずスタジオはざわざわとしていました。
担当の先生が来られ久々のご対面。スクール説明会でお会いした先生で、「ヨガに呼ばれていますね」と私に言って下さった男性の先生でした。
今振り返ってみても、先生のあの時の言葉が無かったらきっと、高額な入学金を支払ってまでヨガスクールに行ってなかったと思いますし、今の私はいませんでした。この先生は、私にとって人生を変えて下さった恩師です。
その先生がスタジオに来られたのにも関わらず、ざわざわとした話し声は止むことなくこちらが申し訳ないと思うくらいでした。「始めますよ」と先生の強めの一言でざわざわが少し収まり、出欠を確認しカリキュラムの説明へと入っていきました。
涙の自己紹介
こんな秋の中途半端な時期に2か月間一緒に過ごすことになった、先生、クラスメイト、そして私。
まずは、先生からこれから学ぶカリキュラムの説明があり、それぞれの自己紹介の時間へと移っていきました。今思えば、スタジオの真ん中に円になって座り自己紹介を行ったことが、クラスメイトと一緒に取り組んだ最初の活動でした。
15名程度のクラスですが、世代も違えば暮らしている環境も全く違う。それぞれが、ご自身のこれまでの背景や目的をもってここに来ているようでした。
私は、とても素朴な感じで同じように子育てをしている方とお話をさせて頂きましたが、この方は子育ての合間にヨガスタジオに通って毎日を過ごしていることから、もう既にヨガとともに生きている感じがしました。
また別の女性は、いくつかの養成スクールを経験し既にヨガインストラクターとして活動されている方で、とてもスタイルがよく自信に満ち溢れ華のある方でした。
その他にも、会社を休職して趣味だったヨガを深めようとしている方、遠い地方からやってきて1人暮らしをしながらヨガインストラクターを目指している方、大学生で講義の合間に参加している方など、皆さん様々なご事情があるようでした。
それぞれのお話を聞いていると、クラスの中には人生に悩みながら何とかここにたどり着いた方もおられ、お話を聞いている間に自然とそこにいる数名が泣いていました。
私ももともと涙もろいところがあるので、話して下さっている方のお気持ちを感じると自然に涙が溢れていました。華やかそうに見えていてもわからないこともあるようですね。
そして私の番が来ました。私も他の方々のように、これまでのことをお話しました。理学療法士をしていたこと、病院という白い箱のような狭い世界の中にいて、地位のある方々にいつも支配されていたこと、とうとう病気になって休んでいたことなどです。
40代にもなって、こういったお話を初めて会った方々に話せる事がとても不思議でした。
いつもなら人が集まってこういった場を与えられても、正直に自分の中にある消化出来ない、もやもやした感情や苦しい気持ちを打ち明けようとは思わないからです。
見た目も世代も違いだらけのはずなのに、何か通じ合えるものがある、通じている、そんな感触がありました。その瞬間、やっと少しみんなの距離が縮まって、これから一緒にやっていく学んでいくための準備が出来たような気がしました。
先生について
先生の方からも自己紹介がありました。
先生もヨガインストラクターになる前は、全く別のお仕事をしていてサラリーマンだったらしく、残業やストレスが多かったために、身体を壊し一旦お仕事を辞めていたそうです。
その時期に出会ったのが、ヨガだったと話して下さいました。
ヨガを始めてだんだん体調が良くなり、ヨガとともに生きていくことを決めて今では教える立場となったそうです。
クラスメイトの中には、以前から先生のことをよく知っていて、とても有名で指導力に定評のある先生だと話してくれましたし、この先生に教わりたいからヨガスクールに入ったという方もいたようでした。
また先生はヨガスクールの講師だけではなく、実際にヨガインストラクターとして活動されている方々のスキルアップや日本全国でもヨガイベントを行っていたり、先生の監修するヨガの書籍もいくつかあるそんな方でした。
また後ほど改めてお話をさせて頂きますが、先生の指導の中で先生が有名だとか人気があるとかを別にして、理学療法士をしていた私にはしっくりとくるものがありました。
それが、基本的な解剖学の知識や関節の構造などを踏まえた指導の仕方でした。
いきなりヨガのポーズを練習するのではなく、まず先生ご自身がそのポーズを見せて、目的、効果、怪我を避けるために気を付けるべき点などを私たちに伝えて下さいました。
安全にヨガの練習が行えるよう、ヨガマットの使用だけではなく、その他のヨガの道具(ヨガブロックやヨガベルト、ブランケットなど)を使って、きちんと自分自身の呼吸と身体に向き合い、無理がないどうか修正しながら、そのポーズを快適にとることができるよう丁寧にご指導してくださったことが印象に残っています。
ヨガの指導に関して謙虚であり、身体に対して派手で強すぎることを要求することなく、基本に忠実な指導だったのではないかと思います。
そして、たくさんおられるヨガの指導者の中からそういった基本に忠実な先生から教えを頂けたことを、今も幸運に思っています。これからヨガを学ばれる皆様も、ご自身が安心して学ぶことのできる先生と出会えることを願っています。
また、先生のヨガの流派はハタヨガだとのことでしたが、その当時の私は恥ずかしながらヨガに流派があること、ハタヨガももちろん知りませんでした。
日本にも、アシュタンガヨガ、アイアンガーヨガ、シヴァナンダヨガなど様々な流派の教えをお伝えしている先生が多くおられるようです。
それでは、これから私たちが教わるヨガ、そしてハタヨガについて個人的な見解や認識もあるかもしれませんが、少しお話をさせて頂きます。
ヨガについて
ヨガという言葉の意味をご存じでしょうか?
この言葉は、インドのサンスクリット語のユジュという言葉に由来していて、その意味は、「つなぐ」「結合する」「馬をつなぐ手綱」といった意味があります。
ヨガの教えでは、暴れ馬のようにざわざわと好き勝手に動き出してしまいやすい心の状態を、丁寧にその手綱をとって制御していく、馬を整え馬車を安定させるように心を穏やかにしていく、そういった修練がヨガの練習です。
また、ヨガはどんなことがあっても自分の中に穏やかさや平和があることに気づき、本当の幸せを求め続ける旅であるといったことも哲学の先生から教わりました。
深いですね。
ハタヨガ
ヨガに加えて、これから教わることになったハタヨガについてもお話をさせて頂きます。
ハタヨガは、インドの古くからあるいくつかのヨガの教えからそれぞれの流派に分かれていったものの1つだそうです。その中で最も古典的で、日本でよく見られるヨガの教えではないかと思います。
例えば、両手足を広げて片側の手の先を見るように踏み込む戦士のポーズや、片足で立って両手をバンザイするような木のポーズなど、人、植物、動物、物、いろいろなポーズの練習があります。
またこのハタヨガの言葉の意味は、ハ(㏊)太陽、タ(tha)月、陰と陽、そういった、正反対なエネルギーをバランスよく整えていくものであり、身体を立つ、逆立つ、四つ這い、腹這いなど、様々な方向に動かしていきます。
身体中のエネルギーの流れが滞らないよう、呼吸と身体に集中し循環させていきます。まるで瞑想しながら、動き巡り続けていくエネルギーを感じながら。
深まっていくと自分が自分でないような、自分の周りの空気と一体になって流れていくような感覚を味わうこともあります。
不思議ですね。
余談ですが、ヨガを人々に伝えたのが、自然界において破壊と再生を司るシヴァの神様だとインドの神話の中に伝えられているそうです。また、シヴァの神様とヨガの関係については、「シヴァサンヒター」というヨガの経典に書かれているそうです。
ヨガの教えの全てに感謝を忘れず、ヨガの道を歩いていきたいものです。
次回は、このハタヨガの練習がいよいよ始まります。ヨガ哲学、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)などについても皆様にお伝えしていきますね。楽しみにしていてください。
幸せを願って。
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