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理学療法士が教える【腰痛予防】実はヨガの呼吸法で改善できる!?

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皆様こんにちは、kouです。

この「幸せを感じて生きること」のシリーズでは、古くから大切にされてきたヨガの教えや、身体の機能や構造のこと、幸せに生きるための知恵について、皆様と一緒に考えていきたいと思っています。

どうぞ、宜しくお願い致します。

さて今回は、世の中の多くの人たちが悩まれている腰痛症を取り上げてみましょう。

私は、これまで理学療法士やヨガインストラクターとして活動してきました。

その活動の中で体調改善を目的とした治療的なヨガプログラムを行ってきたこと、腰痛に関する考えを含めて、皆様にお話していきたいと思います。気楽にお付き合い下さいね。

4足歩行から2足歩行に

もし、人間が4本足の動物のままだったなら、腰痛は起こっていなかったかもしれません。4本足の動物の背骨は、比較的地面と水平位のままで、お腹は背骨にぶら下がるような状態で支えられて活動してきました。

ところが、人間はその前足だった両手を支えることから、自由に動かして物を作ったり、操作することにその役割を変えたのです。

その進化の過程によって、後ろの2本足で身体を支えるようになり、頭の位置を高くして視野を大きく広げながら、自由に両手を使えるようにしてきたということなります。

この時、背骨は重力に対して、身体を効率的に支えるための工夫が必要でした。その工夫とは、横から見た時のS字状のカーブです。

頭骨の下から背骨は始まりますが、頸骨は前に、胸骨は後に彎曲し、次に腰骨は前に再度彎曲にしながら、最後は骨盤に繋がっていく形状となっていきます。

この時、特に腰骨の特徴としては、四本足の動物の時とは違ってお腹が身体の前にあるために、過剰にお腹が前に出てくると、どんどん腰骨が前方に引っ張られて反り腰と言われる姿勢になりやすいということです。

そのことが、腰痛に大きく関係しています。

ここでイメージをしてみてましょう。お腹の高さで身体を輪切りにして、その中身を上から見ることを想像します。輪切りの楕円形の前、中央にお臍があり、真後ろには腰骨があります。

そしてそのお臍の両側から左右にぐるっと腰骨まで、コルセットのような膜状の筋肉があって、その中心の芯にあたるところに内臓があるのです。

楕円形の膜の筋肉が働いて、腹部全体の内圧を高めます。この作用が、中心にある内臓の位置を安定させて、腰痛を起こしにくい姿勢へと変化させていくのです。

この効率的な姿勢によって、痛みの原因の1つとなっている反り腰が軽減され、腰背部の筋肉の過剰な働きとその負担も取り除いてくれます。

さて、ここで前回にもお話をさせて頂きました、肚(はら)の感覚について少し振り返ってみましょう。この腹(はら)は身体の前にあるものであり、こちらの肚(はら)は、身体の真ん中にある内臓感覚のようなものです。

注目して頂きたいのは、後者の肚(はら)の方であり、私は、この肚の感覚を高めることは、ご自身の中心を捉えることに繋がると考えています。

先程もお伝えしたことですが、楕円形の膜状の筋肉を前後左右から中心に向かって働かせることで、内臓の位置が安定して肚の感覚が高まります。

この肚の感覚を高めることによって、反り腰が改善されて腰痛軽減に繋がっていくこと、これは非常に重要なことだと考えているのです。

腹式呼吸

では、実際の楕円形の膜状の筋肉ををしっかりと働かせて、腹部の内圧を高める練習をしてみましょう。そのためには、腹式呼吸、つまりお腹を刺激する深い呼吸の練習が必要です。

お腹の呼吸は、内臓を刺激して心と身体を整えてくれるとともに、膜の筋肉を強く働かせることで、身体の中心となる肚の感覚を高め、腰痛軽減に繋がっていきます。

その様子はこんな感じとなります。息を吸っていくと、胸が広がって、その中にある左右の肺が、風船のように膨らみ始めます。

この時、両肺の底の横隔膜も一緒に引き下がっていくことで、下にある内臓を圧迫してお腹が膨らみます。

次に息を吐いていくと、引き下げられた横隔膜が上に、両肺も元の状態へと戻っていきます。膨らんでいたお腹も下がって、落ち着いていくこととなりますね。

このような腹式呼吸は、一般的な筋力トレーニングと比べると、その効果が見えにくいので、少し難しく感じるかもしれません。

しかしながら、この感覚を高めることは、腰痛軽減を目指していく過程において、とても大切なことなのです。是非一緒に練習をしてみましょう。

仰向けになって腹式呼吸を練習する

床に両膝を立てた状態で、仰向けの姿勢となります。床と腰の隙間には、その小さな空間を埋める程度の薄いタオルを敷いておくと、腰が更に緩みやすくなります。また頭や肩回りが安定しない場合は、枕を使って軽く顎を引ける状態にしておきましょう。

まずは、安楽な姿勢を作ります。

次に、片手ずつ胸とお腹の上に手をおいて、軽く瞼を閉じ徐々に呼吸に意識を向けていきます。

ヨガの呼吸は、息を鼻から吸って鼻から吐いていきますが、口からの呼吸をする場合は出来るだけストローのような小さな口の形を作って、呼吸をしてみてください。

では軽く息を吸いましょう。胸やお腹まわりが広がって、お腹の楕円形が膨らんでいきます。この時、胸の上の手、お腹の上の手がふわっと持ち上がります。

次に、ゆっくりと長く時間をかけて吐いていくことでそれぞれの手が下がっていき、胸やお腹が徐々に元の位置に戻っていきます。お腹の膨らみもだんだん落ち着いていきます。

この時大切にしたいことは、どこにも頑張るところを作らずリラックスした状態で行うということです。深い呼吸を丁寧に繰り返していきましょう。
 
何度もこのゆったりとしたお腹の呼吸を繰り返していくと、だんだん心、身体、腰回りの筋肉も緩み、何とも言えない穏やかな状態へと変わっていきます。この感覚を味わうことがとても大切なのです。

パヴァナムクタアーサナ

では次に、右足を床から浮かせて両手で抱えます。そのまま先程の呼吸と動きを連動させていきましょう。軽く息を吸って、そのままゆっくりと息を吐きながら、右足を胸の方へと近づけます。

その状態から、軽く顎を引いて頭を持ち上げ、鼻と膝が近づくようにして腹筋を効かせます。この時、腰に違和感が無ければ、左膝を伸ばして足全体を床に降ろすとバランスが取りやすくなります。そのままお腹の呼吸を続けましょう。

この時先程もお伝えしたように、頑張るところを作ってしまうと呼吸が浅くなるので、頭を上げていることが辛い場合は頭を降ろして呼吸を繰り返します。

そして静かに、ご自身を観察しながら、どこにも無理がないか、快適であるかどうかを感じて、丁寧に心と身体を扱っていきます。

では両手をほどいて、頭と右足も床に降ろして一旦脱力します。どんな感じがしますか?

このヨガのポーズは、サンスクリット語で「パヴァナムクタアーサナ」と言い、パヴァナは風、ムクタは解き放つという意味があります。

ヨガの教えによると、このポーズは特に関節の部分に溜まっている邪気を払うとされています。

動きの質からは、腰を伸ばすことで腰痛緩和、お腹を縮める動きによって、身体に溜まっているガスを排出し、胃腸の働きを改善する効果が期待できるポーズだと考えられます。

予防医学としてのヨガの可能性

陰ヨガ
理学療法士としてこのポーズを考えてみても、腹式呼吸を伴わせ、過剰に働いている腰背部の筋肉を緩めること、また、お腹全体を取り囲む膜の筋肉を効かせることは、反り腰を軽減し、腰痛を改善させる可能性が高いと考えます。

内臓へも刺激を入れて消化機能も促進させることから、心身ともに快適な状態へと導くことが出来るのではないでしょうか。

私は、こういったヨガのポーズを治療的に取り入れ体調を改善することは、予防医学的にみても、非常に価値のあることだと思うのです。

このように、腰痛などの体調不良に対して、身体の機能や構造、そしてその原因を考え、より効果の期待できるヨガのポーズを組み合わせて提案していくことは、非常に治療効果が期待できると考えますし、予防医学の可能性を高める治療法の1つだとも言えるのではないでしょうか。

皆様はいかがお考えになりますか?

治療的ヨガプログラム

私は現在、オンラインにてヨガプログラムを行っておりますが、お客様それぞれに、肩こりや腰痛、股関節痛など、様々な症状をお持ちの方がおられます。

そのため私は、プログラムを始める前にお客様が今感じている症状をお聞きして、その原因を考えながら、お客様が必要とするヨガのポーズをご提案しています。

プログラムを行う際には、私自身も一緒に1つ1つのヨガのポーズを行いながら、自分の身体の感覚とお客様の状態をリンクさせて、必要な時に声を掛けています。

そして時には軽減法といって、ポーズのやり方を少しやりやすい方法で行うことをお勧めしたり、ご自身に合った方法を選んで頂くよう、お話をさせて頂いております。

皆様ご存じかとは思いますが、ヨガの練習には、難しいポーズがたくさんあります。

しかしながら実は、先程お伝えした「パヴァナムクタアーサナ」のような基本的なポーズの練習を通して、まずは丁寧に心と身体を扱う練習をすることが、とても大切だと私は思っています。

ヨガの練習を行う時には、人と比べる必要は全くありませんし、それより大切なご自身をどう丁寧に扱うことが出来るかどうかが問題なのです。

反り腰のある方が、腹圧を高める練習をすることなく、急激に背骨を反らせる練習をしたなら、どうなるでしょうか?恐らく、反り腰の状態や腰痛の悪化が予測されますよね。

それに、実際、やりたいとは思わないのではないでしょうか。皆様、是非、ご自身の内側の声を聞いて、いつも心と身体が喜ぶことを選んでください。

何故なら、ご自身の内側とその環境が、いつも平和で穏やかであることを目指す、大切な教えがヨガだからです。どうか、心と身体を労り、楽しみながら、ヨガを続けてくださいね。
 
幸せを願って。

Kou ヨガ講師 / 理学療法士
Kou ヨガ講師 / 理学療法士
<経歴>
4年制大学を卒業後、会社員となるが、数年後、理学療法士を目指して、専門学校に通い理学療法士となる。その後、手術後から慢性期、在宅ケアまで、リハビリテーション全般を経験する。
その後、体調不良となり、一度、理学療法士を辞めて、ヨガインストラクター養成校に通い、ヨガインストラクターとして活動を開始する。
現在は、主にヨガインストラクターと理学療法士、ライターとして活動している。1男の母。

<資格>
理学療法士
RYT200ヨガインストラクター

<得意なテーマ>
①理学療法士として
主に整形外科的な肩こり、腰痛、膝痛などの痛みに対しての治療が得意で好きな治療分野です。身体の捻じれや姿勢不良などに対して、骨格や骨盤矯正、姿勢を整えて痛みの緩和 や改善を目指す治療を行っております。

②ヨガインストラクターとして
ハタヨガを中心に行っております。理学療法士としてのスキルも活かせるものが得意だと 個人的には思っております。そのため、肩こり改善、腰痛改善ヨガや骨盤矯正ヨガなどの体調不良や姿勢改善のためのヨガを得意としております。
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