皆様、こんにちは。いつも一緒にここで過ごして頂いたり、お話を聞いて下さり、有難うございます。
今回この幸せを感じて生きることでは、予防医学とヨガの可能性について、皆様にお話したいと思います。
人の進化に伴って
私はヨガインストラクターや理学療法士として日々活動しております。そのため、治療者としても、人の姿勢や動作が気になることがよくあります。
そしてその度に、進化の過程において、人は何を得て何を失ってきたのだろうかと考えさせられます。
私のヨガインストラクターとしての始まりは、こちらの記事をご覧いただければ幸いです。
→自律神経障害、不眠症から退職、そしてヨガとの出会い【ヨガインストラクターになった私#01】
人は手を使い道具を作り出すことで、大きく文明を開化させてきましたよね。自分達の生活が豊かになるように、より便利で効率的に使える物を多く発明してきました。
そのおかげで確かに今、世の中にはとても便利なものが多くあり、私たちはそういった道具を使うことで楽に暮らせるようになりました。とても感謝すべきことです。
しかしながら日常生活が楽に、そして便利になったことで、失ったものもあるかもしれないと思うのです。
例えば、そういった生活が出来るようになったことで、以前よりも全身を使って行動するという機会が個人差はあるものの、全体としては減少しているのではないでしょうか。
例えば、今スマホやパソコンを使えば、ある程度のことはネット検索すると解決します。それは以前のように、知りたいことを調べるために図書館に行って本を探すという必要が無くなったということです。
また、欲しいものがあれば、それを買うために出掛けなくてもネットショッピングをすることで、自宅で好きな時にお買い物が出来て、更に自宅まで届けてくれます。
本当に便利になり、忙しい現代人にとって大切な時間を節約することも出来るようになりました。
このように時間や労力の節約になっており、スマホやパソコンを使ってやりたいことをやり遂げてはいますし、実際に豊かになっています。
ですが、実はそういった行為は、全身運動を伴っていないということも是非知っておいてほしいのです。
肚の感覚
ここで、日本人の古来から大切にしてきた「肚(はら)」の感覚についてお話をさせて頂きます。
細かいお話になりますが、「腹(はら)」は単にお腹のこと、身体の前にある部位を指しています。
しかしここでは、敢えてこの「肚(はら)」を使いたいのです。この言葉は、身体の中心の部分を示し、精神面に強く関係しています。「肚が決まる」とは大事なことを決断する、覚悟を決めるなどの強い精神性を表現する意味があります。
この強い肚の感覚を、これまで日本人はとても大切にしてきました。
そのことを踏まえてこれまでの時代背景を見ていくと、人は何かやりたいことがあれば、肚を据えて何年も粘り強く長くやり続けてきたことで、その思いをやっと達成することが出来てきたのかもしれません。
そういった経験は、粘り強く、何があってもあきらめないという強さ、生き続ける力となって、日本人が日本人らしくあることや強い精神性を保ってきたのではないでしょうか。
私は今、その大切な日本人の肚の強さ、生きる力となる尊い精神性が失われつつあるのではないかと思うのです。皆様はどうお考えになりますか?
ヨガと肚の感覚
ただ、このことについて気づいている方も多いのではないでしょうか。何故なら今、日本ではたくさんの人たちがヨガを愛し、ヨガを楽しんでおられるという事実があるからです。
ヨガは、一般的に身体が硬いと出来ないとか、おしゃれなエクササイズの1つだと思う方もまだまだおられるかもしれませんが、本当はヨガはもっと深くて、人が幸せになるための古くからある尊い教えです。
日々の行動に対して、自分自身の内面や外の世界でも調和を保つための知識、深い呼吸とともにエネルギーを循環させて身体を強くてしなやかに整えていく方法などがあります。
このヨガの練習を続けていくことで、大切にしたい肚の感覚を高め、強い精神性を維持し心と身体を鍛えていくこと、周囲と調和しながら平和に生きていくこと、その全てがヨガなのです。
ヨガを深く愛して、その教えを大切にしながら日々生活をされている方はきっと、今のこの時代だからこそヨガが必要だということに気づいておられるのだろうと、私は思っています。
素敵ですよね。どんな時代であっても常に自分らしくいられること、大切なご自身を丁寧に扱い幸せを感じることが出来ること。
皆様それぞれ、この世に1人だけです。
日本人の強い精神性や古くから大切にされてきたヨガ、そういった非常に尊い教えから、私たちが学ぶべきことは大いにあると思うのです。
予防医学とヨガ
また、私はヨガの可能性は無限だとも思っています。ヨガのアーサナの練習では、全身にエネルギーを巡らせるように深い呼吸を繰り返しながら、身体を前後左右、上下へと様々な方向に動かしていきます。
例えば、地面に力強く立って両手を空の方へとぐんと伸ばしていくようなポーズや、横になって背骨を捻じるツイストのポーズ、四つ這いになってウサギや猫の背骨の動きを表現するようなポーズもあります。
人間も四つ足の動物から進化してきたことや自然に生かされてきたことなどから、環境の中にあるものを自分の身体の動きに取り入れていくことで、私たち自身も環境の一部だということにも気づかされます。
地球上に暮らすことで影響を与えあう全てのエネルギーを用いて、自らの心身を鍛錬し、肚の感覚を高めエネルギーを循環させていく、このヨガの練習そのものが生命力を強くしていく可能性が高いと思うのです。
ではここで、現代病とも言える肩こり、頸こりについて、治療的にヨガを用いる方法を皆様と一緒に考えてみたいと思います。
現代病とも言える肩こり、頸こり
先程、スマホやパソコンを使うことで目的を達成することが出来ても、全身運動の機会が減少するのではないかとお伝えさせて頂きました。
私は理学療法士でもあるので、患者様のお仕事での身体の使い方や自宅での過ごし方、今回のスマホやパソコンを使う姿勢などがとても気になります。
今回特に、スマホやパソコンを使っている姿勢について考えてみましょう。
では、スマホを使用している時の姿勢をやってみます。
片側の掌にあるスマホの画面にどんどん集中していくと、両目の動きが小さな範囲での動きとなり、しかも集中して見ようとする目の使い方になっていきます。
また、頭や頸も胴体に対して少し前のめりな位置となることや、目の詳細な動きを保障するために、頭は大きく動かせなくなります。
切り替えることの重要性
ここで、気付いて欲しいのです。
この時、まず呼吸は浅くなっているはずです。頭や頸が前に出て背中も丸くなりやすいために胸が広がりにくいことや、浅い呼吸を繰り返していることが予想されます。
また、重い頭を支えている頸まわりの筋肉は硬く張っているかもしれませんし、スマホを操作する腕や肩まわりも同じようなことが起きていませんか。
このように全身の姿勢や動作を真横から見た時に、座っていようと立っていようと、頭や肩、両腕は全身の比較的前の方にあって、しかも視点はスマホ画面の狭い所に集中し続けていますよね。
そのため、重い頭や両腕を支え続けていることで、頸や肩まわりの筋肉は硬くなって疲労しているように私には見えるのです。
こうした頭が前に出て背中も丸くなる猫背姿勢を長時間強いると、いずれ慢性的な肩こりや頸こりとなり、頸や肩の骨の変形や四十肩、五十肩といった動作時の痛み、頭痛、吐き気などの日常生活に支障をきたす症状となる可能性があるのです。
ヨガの練習の中で
そんな不快な症状を感じることなく、快適に暮らしたいですよね。次に、この肩こり頸こりを緩和する方法の1つを練習してみます。
まず、床の上にヨガマットやバスタオルを敷いて四つ這いになります。その状態からお尻を真後ろに引いて踵の上へと移動させ、床上の両手も前方へと動かし重心を下げていきます。次に肘とおでこも床に降ろして休ませましょう。これをチャイルドポーズ(子どものポーズ)と言います。
このポーズは、重力の影響を受けてきた頭や頸、両肩や背中、両腕を出来るだけ支えることから解放することで、筋肉の余分な力を抜いていくことを目的としています。また、頭の位置も下がり地面の方へと落ち着かせることで、目の動きも休ませることが出来るのです。
その状態のまま目を軽く閉じて、頭や頸を小さくゆらゆら動かしたり、お尻を左右に軽く振ってみましょう。そうすると、背骨近くの脊柱起立筋の硬さも取れて全身がリラックスしていきます。
深く呼吸も繰り返しましょう。更に全身の力が抜けて呼吸が深まり、心も穏やかになっていきます。皆様いかがでしょうか。このポーズは、ご自身でも気軽に出来るポーズの1つなので、スマホやパソコンを使って肩や頸が凝ってきたら是非やってみてくださいね。
また例えば、お仕事中でヨガマットを敷いて行うのが難しい場合は、デスクの上にクッションを置いてそこに頭や胸、両腕をもたれさせて、全身を出来るだけ休ませることも有効的な方法の1つです。
そして少し休んでからゆっくりと身体を起こして、背骨を真っすぐに立てます。猫背になっている背骨を伸ばし両肩まわりを広げるために、小さく肩を回してから両手を持ち上げ、バンザイをするようにグンと背伸びをしましょう。
どんな気分でしょうか?肩や頸まわりの凝り感はいかがでしょうか?
ちょっとしたことを日常生活に取り入れて、快適に過ごせるようメンテナンスをしましょうね。
ヨガの可能性
このように、ヨガアーサナ(体操)の練習には、様々な呼吸方法を用いながらしっかりと地面を踏んで力強く動くもの、或いは、重力の影響から逃れるようにして身体を休めるものといった、環境の中にあるエネルギー作用を生かした多くのポーズがあります。
私は、個人的な見解も含まれますが、このヨガのポーズを身体の不調を感じている部位に対して適切に治療的に取り入れることは、非常に予防医学的な効果が期待できると感じています。
実際のヨガレッスンで
数年間ヨガインストラクターとしても活動してきましたが、私は「ヨガは予防医学的効果が期待できる」と実感しています。
コロナ感染拡大に伴い、オンラインヨガクラスを行うようになってからは、益々その考えに対して腑に落ちるような感覚さえあるのです。
オンラインヨガクラスでは、パソコンの四角いフレームの中にお客様の全身を観察することが出来れば、使いにくそうな身体の部位、癖、怪我をしやすいリスクなどが、今までよりも数段、想像出来るようになりました。
また比較的少人数で行っているために、お客様のご意見やご感想を、その場でお聞きして、より適したヨガのポーズや身体の使い方を提案させて頂いております。この作業が、私にとってとても楽しく、より予防医学的で治療的であるようにも感じているのです。
最近では、有酸素運動的なダイエット効果を目指したヨガや、筋力トレーニング的なヨガを行うこと以外に、より治療者としての技術を生かせる「肩こり頸こりを軽減するヨガ」や「腰痛緩和を目指したヨガ」、「背骨や自律神経を整えるヨガ」などの、予防医学を目指したプログラムも提供させて頂いております。
このような、お客様の症状緩和を目指したヨガプログラムを提供するためには、是非、身体の構造や機能を知ることの出来る解剖学を学ぶことをお勧めします。
だからと言って、慌てる必要は全くありません。毎日丁寧なヨガアーサナの練習を行いながら、身体の感覚に沿わせるように少しずつ解剖学を学んでいくことが大切です。是非、身体の感覚を高めながら学んでみてください。
学ぶための1つの方法
余談ですが、解剖学とヨガアーサナを組み合わせて学んだり、呼吸法やその効果など、より広いヨガの知識を得るためには、RYT200や500といったアメリカのヨガインストラクター資格取得を目指したスクールで学ぶことをお勧めします。
関連記事:オンラインで取得できる!ヨガインストラクター養成講座【RYT200】
その資格とは、200時間、或いは500時間かけて、ヨガアーサナや呼吸法、瞑想、ヨガ哲学、アーユルヴェーダ(ヨガの生命科学的な思想)、解剖学などの学びを終了した際に与えられる資格です。
ヨガインストラクターとなるための深い学びは、その後のご自身の可能性を広げてくれる大切な知識となることでしょう。世の中の多くの人たちを明るく照らせるような、素晴らしいヨガインストラクターとなってください。楽しみにしていますね。
幸せを願って。