ヨガのクラスに出たことがある人は、インストラクターからアンジャリムドラや、ジュニャーナムドラといった言葉を聞いたことがあるかも知れません。
しかし、ムドラの詳しい内容、どういったものなのか、その効果などを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回この記事では、ムドラの基本的な事柄について紹介します。是非ご覧ください。
MAJOLIトレーナーMANAMI先生による完全オンラインのムドラーヨガ講座がスタートしました!
『ムドラー』とは日本語で手印と訳され、ポーズの中で手の形を変えていくことで、気の流れを整えたりポーズを深めやすくするものです。
そんなムドラーの起源や進化を学びながら、ムドラーを用いたポーズを学習できる講座です。アーカイブ受講もOK!3ヶ月間動画見放題でしっかりとムドラーについて学ぶことができます。
目次
ムドラとは?
サンスクリット語で「mudrā」とは、「喜び」や「魅力」を意味する「mud」と、「引き出す」を意味する「rati」が組み合わさってできた言葉で、「身振り、印、態度、特性」などの意味があります。
私たちは誰かと話をするときに身振り手振りを交えて話をしたり、何かを考えている時に腕を組んでいたりすることがあります。
これは私たちの気持ちが動作に現れているのですが、ムドラはその逆で、意識的に行う動作から体や心の状態、眠っている精神を呼び覚ますのです。
古代インドの聖者たちは、瞑想を通じて宇宙の源と精神的に一体化できる境地を極めようとしました。
その瞑想状態から、ムドラは自然発生的に生まれたと言われています。やがてムドラは、聖者が体験した瞑想状態を再び呼び起こす手段として使われるようになりました。
体の特定の部位に意識と呼吸を向けるムドラの働きは、肉体的には体の内側からマッサージをすることで血行を促し、プラーナ(生命エネルギー)の流れをスムーズにして身体を整えることができます。
心理面においても様々な局面に対応していて、リラックスさせるムドラもあれば、やる気を高めるムドラ、自信を持つためのムドラなどもあります。
ムドラは自分の中にある素晴らしい性質を目覚めさせることで、心身に調和と安定をもたらす方法のひとつなのです。
ムドラの種類
ムドラには全身を使って行うものや、五感に働きかけるものがあります。
例えば、
・頭を前後左右に動かすブラフマムドラ
・黒目を上に向けて眉間を凝視するシャンバヴィムドラ
・人差し指で耳を塞ぎハミングをしながら息を吐くブラマリムドラ
などがあります。
中でも最もよく知られているのは、手を使って行うハスタムドラです。
ハスタムドラ
感覚神経と運動神経の末端が集まっていて複雑な動きができる手指を使うムドラは、効果を感じやすいと言われています。
それは、指先にある神経が脳や体と直接繋がり、体の隅々にまでサインを送ることで、直接心身に働きかけるからだと考えられているからです。
他にも、古代より5本の指は五大元素(地・水・火・風・空)と結びつけて考えられており、指を組むことで五大元素のバランスを安定させ、最大限に心身を調和させる可能性があるとも言われています。
また、5本の指には次のような意味があるとも言われています。
人差し指:アートマン(自我)
中指:ブッディ(知性)
薬指:マナス(心)
小指:カヤ(身体)
ムドラの種類と主な効果
ムドラを行うときは、空腹時がおススメです。
初めは1つのムドラで5〜10呼吸キープします。慣れてきたら1つのムドラを5分間ずつ1日3回行ってみましょう。効果はすぐに表れないかもしれませんが無理なく少しずつ続けていき、ムドラを行う前と後の体や心の変化に意識を向けていきましょう。
まずは、意識を広げる入門編のムドラから紹介します。
カニシュタムドラ(小指のムドラ)
《やり方》
①左右の手のひらを胸に向けて、みぞおちの前でキープ。
②ゆっくりと両手の小指の先を合わせる。残りの指は力を抜いて内側に丸める。
③肩の力は抜き、鎖骨を広げ、両肘を体から離す。
前腕を床と並行にし、背筋を自然に伸ばす。
《主な効果》
・身体感覚を高め、大地とのつながりを深めることで安定性を高める
・ストレスを軽減し血圧を下げる
・排泄機能を整える
・第1チャクラを整える
アナーミカームドラ(薬指のムドラ)
《やり方》
カニシュタムドラの手順で、両手の薬指の先を合わせる。
《主な効果》
・自己治癒力を高める
・生殖器系と泌尿器系を整える
・依存症や共存関係を克服する助けとなる
・第2チャクラを整える
マディヤマムドラ(中指のムドラ)
《やり方》
カニシュタムドラの手順で、両手の中指の先を合わせる。
《主な効果》
・エネルギーのバランスを整える
・消化器系を整える
・背中中部のこりをほぐす
・第3チャクラを整える
タルジャニームドラ(人差し指のムドラ)
《やり方》
カニシュタムドラの手順で、両手の人差し指の先を合わせる。
《主な効果》
・心を開く
・肺活量を増やし胸部の圧迫感を取り除く
・やる気と高揚感を高める
・第4チャクラを整える
アングシュタムドラ(親指のムドラ)
《やり方》
カニシュタムドラの手順で、両手の親指の先を合わせる。
《主な効果》
・内なる声に耳を傾け、コミュニケーション能力を高める
・肩、首、喉のこりをほぐす
・頚椎を正しい位置に整える
・第5チャクラを整える
ハーキニームドラ(女神ハーキニーのムドラ)
《やり方》
①左右の手のひらを胸に向けて、みぞおちの前でキープ。
②ゆっくりと両手のひらを向かい合わせ、ボールを持つように両手の同じ指先同士を合わせる。親指が上、他の指が下を向くように回転させる。
③肩の力は抜き、鎖骨を広げ、両肘を体から離す。
前腕を床と並行にし、背筋を自然に伸ばす。
《主な効果》
・すべての器官と五大元素のバランスを整え統合する
・健康と癒しをもたらす
・身体感覚を強化する
・第1〜第6チャクラを整える
以上が基本の6つのムドラです。
ヨガのクラスでよく聞くムドラについても紹介します。
アンジャリムドラ
アンジャリムドラは、自分自身と万物すべての内にある神性への崇拝のムドラです。五感を内側に向けることで精神を静め血圧を下げる効果や、第4チャクラを中心にすべてのチャクラを統合する効果があります。
《やり方》
①指先を上に向け、心臓の前で合掌する。
②手のひらをきつく合わせずに、両方の手のひらのくぼみは自然に膨らんだままにする。
③親指の外側を胸骨にあてるか、両手を体から少し離した位置でキープ。
④肩の力を抜き、背筋を自然に伸ばす。
ジュニャーニャムドラ
ジュニャーニャムドラは、思い込みに惑わされず、思考や感情を客観的に観察する力を助けてくれます。また、自我を意味する人差し指がすべての根源を意味する親指と出会うことで、大いなる宇宙と自分自身が内包されていることを象徴しています。
《やり方》
①親指と人差し指の先を合わせて輪を作る。
②残りの3本の指は真っ直ぐに伸ばす。
③両手の甲を腿か膝の上に置く。
④肩の力を抜いて、背筋を自然に伸ばす。
これらはすべて簡単な手の動きですが、正しく行えば私たちが本来持っている心身のバランスを整え、調和と安定をもたらしてくれます。
ヨガのポーズを助けるムドラ
アルダチャンドラアーサナを助ける「メダープラーナクリヤームドラ」、上に挙げている手で行います。
《やり方》
①人差し指の先を親指の第一関節にあてる。
②親指と中指、薬指、小指は、まっすぐに伸ばす。
パールシュバッコーナアーサナを助ける「ヴァーユムドラ」
上に挙げている手で行います。
《やり方》
①人差し指を曲げ、指先を親指の付け根の膨らみにあてる。
②その上(曲げた人差し指の背)に親指をのせる。
③中指、薬指、小指はまっすぐに伸ばす。
ブリクシャアーサナ、ナヴァーサナを助ける「ヴィヤーナヴァーユムドラ」
《やり方》
右手:親指と薬指の指先を合わせる。他の指はまっすぐに伸ばす。
左手:親指と中指の指先を合わせる。他の指はまっすぐに伸ばす。
ナタラージャアーサナを助ける「ハンシームドラ」
前に伸ばしている手で行います。手のひらは上に向けます。
《やり方》
①人差し指、中指、薬指の先を親指の先にあてる。
②小指は真っ直ぐに伸ばす。
英語版ですが、ムドラについて説明しているYouTubeもあります。
Day 1 – Welcome & Overview (Part 1) – 31 days of Mudras
A complete guide to the Yoni Mudra | Yoga Mudra # 7
あなたの中にある魅力を引き出すムドラ。行う前と後の変化に意識を向けることで、より充実した毎日が送れると思います。ぜひ行ってみてください!
ムドラに関する書籍
ムドラについてより詳しく知りたい方は、書籍も出ているので是非チェックしてみてくださいね。
ムドラ手札
→https://www.gaiajapan.co.jp/books/bodywork/yoga_pilates/6878/
ムドラ手札とは、『ムドラ全書』(2019年ガイアブックス発刊)で紹介されている内容を要約し、簡潔で使いやすくカード形式にしたものです。
この手札を使うことで、自分自身や仲間(生徒)のためにムドラのシークエンスを作り日々のセルフケアや、ヨガの探求に役立てることができます。
日本ヨーガ瞑想協会の綿本彰氏も推薦している書籍なので、ムドラについて知識を深めたい方はぜひご覧ください。