手を伸ばそうとしたが、肩が痛くて伸ばせない。腕を持ち上げようとしたけれど、肩が痛くて持ち上がらない。
そんな四十肩、五十肩の痛みを経験したことはないですか?
実は、その痛みを放っておくと、肩まわりの筋肉や靭帯などが硬くなって、動かそうとする時の痛みがどんどん強くなっていくかもしれません。
この肩の痛みの悪化を防ぐためには、痛みが起こった原因や時期などを考慮して、それぞれの状態に応じた対策を考えていく必要があります。
今回、そんな四十肩、五十肩に対して、その症状や時期をご説明し、痛みを緩和させるための効果的なヨガのポーズをお伝えしていきます。
目次
1. 四十肩、五十肩について
中年以降の男女に好発しやすい肩の病気であり、肩関節周囲炎とも呼ばれます。この肩関節周囲炎は、日常生活の習慣や姿勢、スポーツ歴などのさまざまな要因が影響しています。
何らかの原因によって、肩の軟骨、筋肉や腱などの組織を損傷して、痛みが生じてくることで、徐々に肩や腕を動かすことが困難となり、肩関節の可動域が狭くなります。
そういったことから、腕を伸ばそうとしても十分に伸びなかったり、痛みが生じてくるのです。
また、この肩関節周囲炎の症状は、人それぞれで違っています。
例えば、洗濯物を干すために腕を伸ばし上げた時、ズキッと肩に刺すような痛みが生じたり、上着に腕を通そうとした時、肩に強い痛みが走るなどです。
そのような症状を、「いつか自然に治る」と決め込んで、何も対応しなかったなら、どんなことが起きてくるでしょうか。
おそらく、肩を無理に動かし続けることで、肩まわりの組織を傷つけ、腕を持ちあげることができなくなったり、強い痛みのために眠れなくなるかもしれません。
このように、肩関節周囲炎の痛みを放っておくことは、肩関節の機能を低下させたり、痛みが強くなっていく可能性が高いのです。ぜひ、この病気の特徴を知って、痛みをコントロールしていきましょう。
2. 四十肩、五十肩の時期について
それでは、肩の痛みをコンロトールしていくために、痛みの時期による対応の違いをご説明します。
2-1. 安静にしていても痛い、夜も痛くて眠れない時期(急性期)
まず、明らかな誘因がなくても、肩の強い痛みを感じる時期は、注意が必要であることをお伝えしておきます。
肩関節の周囲にある、軟骨、靭帯、腱や筋肉などの組織を、何らかの形で損傷した場合、その傷を受けた部位に違和感や強い痛みを感じることがあります。
皆様に知っておいていただきたいことは、この時の痛みを放置して、無理に肩を動かし続けると、さらに肩まわりの組織を傷つけるということです。
その結果、組織の炎症がおきて、動かしていないのに何故か肩が痛み続けたり、夜、疼くようなつらい痛みに悩まされることにつながっていきます。
この時期は、炎症を抑えるためにも、痛みの出る動作を避けることが非常に重要です。また、強い痛みや不眠が続く場合には、一度医療機関を受診し、治療を受けましょう。
2-2. 安静にしていると痛みがない、夜も眠れるようになった時期(亜急性期から慢性期)
この時期になると、安静にしている時や、寝ている時の肩の痛みが軽減されて、少し気持ちも楽になってくることでしょう。
しかしながら、これまで続いてきた痛みの影響により、肩まわりの筋肉や靭帯などが硬くなって、腕を動かそうとする時に筋肉が伸びにくいと感じたり、肩関節自体が動かしにくいと気づくことがあるかもしれません。
そんな時期は、少しずつ肩関節の動きを広げながら、肩まわりの筋肉や靭帯などの、柔軟性や伸張性を改善していくことが非常に重要です。
また、この時、けっして無理に動かそうとするのではなく、できるかぎり肩を動かすことが楽な姿勢を探します。そして、痛みの少ない範囲や方向から、肩の動きを練習していきましょう。
肩の状態を観察しながら、ゆっくりと動かしていくことで、硬くなっていた肩まわりの組織の柔軟性や伸張性が改善されて、痛みも緩和することができると考えます。
このように、四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎は、その時期や痛みの質によって対応が違ってくるのです。
それでは、安静時の強い痛みがおさまった時期から、少しずつ取り入れてもらいたい、おすすめのヨガのポーズをご紹介します。
3. 三つのヨガポーズについて
ハーフドッグのポーズ
マットの上に四つ這いの姿勢をとりましょう。
一度、両肩の真下に肘を付いたら、左の前腕を真横に向けて床に置きます。
その姿勢を保ったまま、大きく息を吸って、息を吐きながら右手を前方の床へと伸ばしていきます。重心が下がって、頭や上半身が床に近づいてきたら、おでこを左前腕の上にのせて体を休ませましょう。
そのまま深い呼吸を繰り返します。
右腕を前に伸ばすことで、背骨が伸びて呼吸が深まり、右の肩関節の前面や脇腹の筋肉も伸ばされて胸も広がっていきます。
もし、右の肩に違和感や痛みが生じたら、右腕を少し外に開いたり、軽く肘を曲げて楽な姿勢をとる工夫をしてみてください。
このポーズを行うことで、胸が広がり肩の前面の筋肉が伸びていきます。猫背などの不良姿勢を改善し、肩の痛みを緩和させる効果が期待できます。
ぜひやってみてくださいね。
針の糸通しのポーズ
マットの上で四つ這いの姿勢から始めます。
右の手のひらを上に向けて、その右腕を左手足の間に通していきます。
徐々に重心が下がって頭や上半身が床に近づいてくるので、ゆっくりと右肘や肩、こめかみを床に置いて体を休ませましょう。
次に、その姿勢を保ったままで、背中を広げるような呼吸を繰り返します。呼吸が深まるとともに、右肩関節の後面や外側の筋肉が伸びて、胸の後ろ側が広がっていきます。肩や肩甲骨の動きが改善されて、肩の痛みも緩和されていきます。
心地良さを大切にしましょう。
シンプルツイストのポーズ
マットの上に仰向け姿勢となり、両腕を体の横に広げて床に置きます。
次に両膝を立てて体の真ん中に揃えましょう。
その姿勢を保ったままで、大きく息を吸って、息を吐きながら、両膝を右側にゆっくりと倒していきます。
この時、無理に両膝を床に近づけようとせず、自然に軽く倒しましょう。顔の方向は左側に向けると、比較的上半身と下半身のバランスがとりやすくなります。
そのまま軽く瞼を閉じて、ゆっくりと呼吸を繰り返しましょう。深い呼吸とともに肩や脇腹の筋肉が伸びて、胸や体全体が広がっていきます。リラックスして行ってみてください。
まとめ
今回、四十肩、五十肩の痛みを緩和することについてお伝えしました。
この四十肩、五十肩は、肩関節周囲炎とも呼ばれ、放っておくと徐々に肩の痛みが強くなり、腕を上がるなどの肩の機能も障害されていく病気です。
皆様にお伝えしたように、その肩の症状を知り、適切な対応をしていくことがとても大切です。
①四十肩、五十肩について
②四十肩、五十肩の時期について
③三つのヨガポーズについて
いかがだったでしょうか?
肩の痛みの症状を知って、その時期にあった対応をしていくことが、肩の痛みを悪化させない秘訣です。
ご自身の肩の症状や時期を考慮し、適切な対応をしていきましょう。
そして、少しずつ動かせる時期になったら、ぜひ、今回お伝えした三つのヨガのポーズを痛みのない範囲から行ってみてください。快適な体作りを目指しましょう。