みなさんは毎日の生活の中で、月の満ち欠けを意識することはありますか?
ふと見上げた夜空に浮かぶ月を見て、心が安らぐことはありますか?
月に関するエピソードは多くあり、満月の日は出産が増えるとか、事故や犯罪が多いという話もよく聞きます。満月に関する特別な呼び名であるスーパームーンやストロベリームーンという言い方を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
太陽よりも多くのエピソードやネーミングを持つ月は、私たちの生活と密接に繋がっているようです。
現在、私たちが生活に用いているカレンダーは、明治時代に西洋から入ってきた「グレゴリオ暦」に基づく新暦ですが、もともと日本には「太陰太陽暦」という暦がありました。
この暦は、月の陰のリズムと太陽の陽のリズムが調和したカレンダーです。私たちの祖先は、長い間この暦を使いながら月のリズムを感じ、自然と調和した生活を送ってきました。
今でも農業や園芸をする人の間では、旧暦を元とした「農事暦」が使われています。
月の満ち欠けを意識することがない慌ただしい生活は、長い歴史から見るとまだ少ししか経っていません。
そしてヨガの世界でも、月ヨガやフルムーンヨガといった月を意識したクラスがあります。
今回は、私たちの生活に影響を与える月のエネルギーを取り入れた月ヨガと、満月の日に得られる効果について説明します。
目次
月と身体の関係〜満月が身体に与える影響〜
成人の体の水分量は、体全体の約60〜70%です。「青い惑星」といわれる地球の陸と海の割合も3:7。
人間と地球、どちらも全体の70%を水が占めているという点で似通っており、決まった形を持たない水は重力の影響を受け移動します。
月の引力の影響を強く受ける水(海)は、月の満ち欠けに合わせて潮の満ち引きが起こります。自然界ではこの干潮の動きが海流となって、海中生物の生態に影響を与えます。目には見えませんが、水の割合が多い人体にも月の引力による影響があると考えられています。
特に満月の日の影響力はピークに達し、月の引力が人間を含む自然界の力を引き上げるので、生命力や吸収力が最も高まります。水分は体の上方に集まりやすく、上半身がむくんだり足腰が冷えたり、頭痛や不眠の症状が表れやすくなります。
また、注意力が散漫になっておこるミスが事故につながる恐れもあるので注意が必要です。ヨガの流派のひとつであるアシュタンガヨガでは、新月と満月の日は怪我をしやすいという理由もあり、伝統的に練習は行いません。
吸収力が高い日ですので、化粧品やヘアートリートメントなどの美容成分は他の日より浸透がよくなり美容に最適の1日ですが、良い栄養も悪い栄養も吸収しやすいので、ダイエット中の人は気をつけましょう。
特に女性は生理の周期と月の満ち欠けの周期が同じなので、新月や満月の日に生理になりやすく、エネルギーが高まる満月の日は出産が多くなります。
このように、月と身体は密接につながっており、私たちの体も月の満ち欠けに合わせて変化しています。満月の日は心身のバランスが大きく揺れ動く日でもありますが、満月の良いパワーを十分に活かせる1日にしたいものです。
月ヨガとは?
月ヨガとは、1980年代にアメリカのクリパルセンターで考案された14のポーズからなる女性のためのシークエンス、月礼拝(チャンドラナマスカーラ)を主とし、心身の安定を目的とするヨガです。
太陽礼拝が動的で縦の動きが多いのに対し、月礼拝は静的でゆったりとした横の動きになります。また、太陽礼拝が交感神経を刺激しエネルギーをアップさせることに対し、月礼拝は交感神経を鎮めて副交感神経を優位にすることで、心身を落ち着かせて整える効果があります。
ポーズは、骨盤、子宮、股関節周りにアプローチする動きがメインで下半身の力を養います。これは、生きることに必要な3つのチャクラ(マニプラチャクラ、スヴァディシュターナチャクラ、ムーラダーラチャクラ)を整える効果があります。
このように、月ヨガ=月礼拝とは、女性の体を整え日々の生活を穏やかに過ごすために考えられた女性のためのシークエンスです。
満月に行う月ヨガの効果
心身の安定を目的とし、日々の生活を穏やかに過ごすために考えられた月ヨガは、深い呼吸とともに、股関節周りを重点的に動かすことで、股関節周りの筋肉をほぐし心身を整えていきます。特に満月の日は、月礼拝の恩恵を最大限受け取ることができる絶好のタイミングです。
その効果は、
① 骨盤の左右差を整える
骨盤を引っ張っていた筋肉が緩められ、骨盤の左右差を整える効果があります。
② むくみ、足腰の冷え、生理痛の解消
満月の引力が体内の水を頭の方へと引き上げることからくる上半身のむくみや足腰の冷え、生理痛を解消します。
③ 脂肪の燃焼を促す
胃腸の働きが高まり消化活動が活性化することで、脂肪が燃焼されやすい体へと導きます。
④ 月経を月の満ち欠けの周期に整える効果
満月の日に身体のリズムと自然界のリズムを調和させることで、ストレスなどで狂ってしまった月経を月の周期に沿わせる効果があります。
⑤ ホルモンバランスを整える効果
満月の日に月を感じることで脳にある松果体が刺激され、体を癒すホルモンであるメラトニンが分泌され、ホルモンバランスを整えます。メラトニンは気持ちを前向きにし、自律神経を整えます。
⑥ リラックス効果
交感神経優位の忙しい毎日をリセットし、副交感神経を優位にすることで神経を休める効果が期待できます。リラックスすることで、血流が整い心拍数も下がり心も安定するので、さらに深くリラックスすることができます。
月ヨガのシークエンス
では、月礼拝とはどのようなシークエンスなのでしょうか。
通常のヨガとは違い、マットの長い方を正面にしてマットの左側に立ちます。呼吸と共に、身体の緊張を手放し、気持ちの良い範囲でゆったりと行なっていきます。タダアーサナから始まり、マラーアーサナまで行なった後、来た道を戻るようにタダアーサナまで戻ります。
ヨガをする場所から月を見ることができなくても、月を思い浮かべながら行うだけで効果が違いますのでお試しください。
1. タダアーサナ(山のポーズ)
始めと終わりのポーズです。両足裏で地面を感じます。
2. チャンドラアーサナ(月のポーズ)
月や女性、左側は陰陽にあてはめると陰になります。月礼拝では左から伸ばしていきましょう。
3. ウトゥカタコナーアーサナ(女神のポーズ)
膝を痛めないために、膝の向きと足先の向きは同じ向きになるようにしましょう。骨盤底筋群にしっかりとアプローチするために、骨盤は床に対して垂直にし、お尻が背中側に出ないように注意します。
4. トリコーナアーサナ(三角のポーズ)
両足に均等に体重を乗せ、股関節を外旋していきます。足先を掴むことを目標とせず、両方の体側が縮まらないように、股関節から倒していくようにします。
5. パールシュボッターナアーサナ(脇腹を強く伸ばすポーズ)
両足に均等に体重を乗せ、骨盤の位置が左右にずれないように、前足側のお尻を後ろに引くようにして、骨盤の位置を整えるように意識しましょう。
6. アンジャネーヤアーサナ(三日月のポーズ)
骨盤を立てて背骨はまっすぐにし、腰をそらさないようにし、胸を広げる意識で行いましょう。
7. サイドランジ
伸ばしている足の膝が内側に向かないように意識しましょう。
8. マラーアーサナ(花輪のポーズ)
背骨を真っ直ぐに保ち、肘で膝を軽く押し広げます。骨盤底筋を引き上げ、胸を開いてゆっくりと呼吸をします。
体重を移行して、左のサイドランジ(⑦の動き)。以降、⑥から①の順で行う。
オススメYouTube動画7選
月礼拝のオススメYouTube動画を紹介します。ご自身がしっくりくる動画を選んでやってみてください。
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月ヨガは、女性のためのシークエンスです。夜、時間が空いた時に月を思い浮かべながら月礼拝をお試しください。特に満月の日は、月の恩恵を最大限に受け取ることができますので、ご自身の感覚を研ぎ澄ませて味わってください。
月の満ち欠けを意識して、自然の大いなるエネルギーと調和しながら生きることで、身体も無理のないリズムを刻むのです。私たちの祖先が大切にしてきた月のリズムに寄り添い、自然と調和した毎日を楽しみましょう!
ヨガ【月礼拝】のやり方についてはこちらでも詳しく解説しております。
→満月・新月の日におすすめ!ヨガ【月礼拝】のやり方をマスターしよう!