ヨガスクール卒業後の新たなチャレンジ
ヨガスクール卒業後、私は約2か月間スクールに併設されているヨガスタジオにて、ヨガの練習をほぼ毎日行ってきました。その活動の中で、私自身の目指すヨガインストラクターの形がはっきりと見えてきたのです。
それは理学療法士としての知識や技術、ヨガインストラクターとして心と身体を丁寧に扱う練習、それらを融合させて新しいものを作り出していくことであり、私たち日本人に合った方法を多くの人たちの健康に役立つヨガを伝えていくことでした。
私は自分を表現するための新たなチャレンジをしてみようと思い、ヨガのお仕事を得るためのオーディションを受けることにしたのです。さて、今の私がどこまでやれるのでしょうか?
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田舎と都会の差
時間や交通費もかかることからまずは地元で動きだしてみましたが、実際田舎でインストラクターとして活動していくことはとても難しい状況でした。
何故ならその当時、私の住んでいる地域にはホットヨガスタジオが1~2件しかなく、更に地元に根差した古くからある数件のスポーツクラブには、長年活動されているインストラクターがたくさん在籍していることから、私のような駆け出しのインストラクターに与えるお仕事は少なく、地元でヨガインストラクター1本でやっていくのには厳しい状況だったからです。
そこで、私は生活を維持しヨガスタジオに通い続ける資金を得るために、地元でまた理学療法士としてのお仕事をさせて頂くことにしました。今度は新たな場所で自由に動いていくために、アルバイトとして活動することを選びました。
治療現場で身体の機能や関節の構造、筋肉の状態を再び学びながら、その学びを私自身のヨガの練習やヨガインストラクターとしての指導に活かしていきたい、そんな思いでこの世界に戻ることを決めたのです。
やっと心身ともに健康になり、自ら社会復帰しようと決めた節目の出来事でした。
理学療法士に戻ることでヨガインストラクターとしても学びが更に深まることとなり、私にとっては理学療法士とヨガインストラクターを、自分の中で組み合わせて新しいものを作り上げていく素晴らしい機会となったのです。
都会でのオーディションとその後
これからヨガの練習を継続していくことを考えてみると、自宅から約2時間かけてヨガスタジオに通い続けるためには、ヨガスタジオの月々の会員料金や電車代などの交通費が必要だということに気づきました。
私はもっと練習したい、ヨガインストラクターとして活動したいという思いがあり、往復約4時間かけて通うことも承知の上で、都会でのヨガインストラクターのオーディションを受けることにしました。
何故ならこのオーディションに合格すると、そのお仕事で得たレッスン代や交通費を使って、お仕事の後にスタジオで自分の練習が出来るというメリットもあるからです。何とかオーディションに合格するほか方法はありませんでした。
ある日、ホットヨガスタジオのオーディションを受けるチャンスがあったので、私はためらうことなくそのオーディションを受けました。
オーディション当日はヨガウェアを着て、ヨガマットや飲み物などを持参して参加します。オーディションは面接をして下さる方と、スタッフでお客様の役をしてくださる方と私の3人で行い、その内容は初心者の方に指導するヨガといったテーマで行われました。
私は緊張していましたが、この時はお客様役が1人だったのでマンツーマン的に行え、相手に対して丁寧に声をかけながら指導することが出来ていました。面接官の方からは「わかりやすいレッスンを有難うございました」と言って頂き、その場で合格となったのです。
ここで私は初めてヨガインストラクターのお仕事を得ることが出来ました。今後しばらく研修があるとは言えども、私はとても嬉しくて、オーディションの後すぐには帰らず飲みに行き祝杯をあげました。
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怖い指導者
ヨガスクールの時に一緒だったインストラクター仲間に合格したことを報告したところ、実はこのホットヨガスタジオの研修先には、とても厳しく怖いことで有名な指導者がいるらしいことを聞いてしまいました。
歴史は繰り返されると言いますが、本当に時々こんな厳しいご縁が待っています。何故でしょうか?すんなりといったことがありません。私はまた切り替えて、それなりの準備をして挑むこととなりました。
研修当日、私は本当にその先生が怖い方だということを知ります。まずスタジオに着いた時、挨拶をしてスタジオに入りましたが、名前を名乗らなかったことでその先生からお叱りを受けました。こちらの配慮が足りなかったのだと理解するようにしました。
ただ問題は、その後の研修での出来事です。
研修が始まって先生が準備していた資料の説明を聞き、質問がないですかと問われた時に、私の隣の方が先生に質問したのですが、ここで驚くべきことが起きたのです。
彼女が資料の中のヨガポーズに対する説明文が少なかったことから、「先生は、このポーズについてどう考えますか」と先生の見解をお聞きしたところ、「あなたは日本語が読めないの、そこに書いてあるでしょ」と怒鳴りながら強く発言したことでした。
どう見ても質問をした彼女の方がまともで、質問に対して見当違いな返答や怒鳴ることしかしない先生が私には異常に見えました。
またこのスタジオには私を含めて6~7人程研修に参加していましたが、その時私たちやその周りにある空気も含めて全ての物が凍り付くように冷たく硬くなり、皆緊張してしまい、その後、誰1人として先生に質問する方はいませんでした。
この時私は心の中で思っていました、この先生がどんなにヨガアーサナやその指導が上手くても、この人は決してヨギーニ(ヨガを愛し、ヨガとともに生きている女性のこと)ではないということを。
研修が終わって、先程質問をしていた方とスタジオの外に出て駅まで歩きながら話をしました。私は彼女がとても辛い思いをしたのではないかと思い、話を聞くことで少しでも慰めることが出来たらと思っていました。
しかしながら彼女は意外と落ち着いていて、指導にあたっていた先生のことやその気質を既に知っていたらしく、いつもあんな感じだと普通に話していました。この方はとても強い方でした、私も見習わないといけませんね。
色々とありましたが、私も何とかヨガインストラクターとしてデビューすることが出来ました。ここからがまた新たなスタートです。
新たな機会
その後、理学療法士とヨガインストラクターの両立の日々が続いていきました。
私はヨガの練習を続けながら、その学んだことを含めてプログラムを作り実際に指導をする、インプットアウトプットを繰り返しながら実践力を付けていきました。
そういった日々が半年位経った頃、ようやく地元に新しいスポーツクラブが出来ることや、そのオーディションが近々行われることを知りました。
私は地元でもヨガインストラクターとしてお仕事が出来るかもしれないと期待をし、このスポーツクラブのオーディションに臨みました。
結果は合格、これまでのオーディションや研修、ヨガインストラクターとして約半年間実践しながら学び続けたことで、今回地元の新しいスポーツクラブでも、ヨガのお仕事が出来ることとなったのです。
ただこのスポーツクラブでも勿論研修があり、ここでも新たな試練が私を待っていました。
悔しくて泣いたこと
お仕事をさせて頂くこととなった、地元の新しいスポーツクラブの研修に参加しました。
研修に参加するインストラクターの人数は私を含めて5~6人でした。顔ぶれやお話を聞いているとインストラクター歴が10年以上の方々ばかりで、皆自信に満ち溢れているように見えました。
今までとは違った、また更に厳しいプロの雰囲気を感じましたが、私は今の私が出来ることをするほかないと心に決めて、研修に臨むことにしました。
スタジオには指導して下さる数名の先生方がおられ、その先生方が私たちインストラクターの能力を見てスタジオのプログラムを担当させて良いかどうかを判断することがこの研修の目的でした。
そのため、1人ずつ順にインストラクターとしてレッスンを行い、その他のインストラクターたちはお客様役をしてレッスンに参加するといった方法で進められていきました。
挨拶、ウォーニングアップから始め、その後先生方から指示されたヨガのポーズを見せながら、声をかけて指導する、実践的に行うといった内容でした。
インストラクターの方々は特に緊張しているような様子は無く、先生から言われたことをスムーズにこなしていました。彼女たちはきっとこういった場をたくさん経験してきたのでしょう、余裕が感じられました。
一方私はというと、全てのポーズをしっかりと表現し、指導出来るところまで至ってはいなかったのでとても緊張していましたし、その場の空気に自分自身を慣れさせるだけでも、私にとっては大変なことでした。
そして、私の番が回ってきました。
皆の前で先生に言われたポーズを見せて、そのポーズの指導方法についても説明を行いました。しかしながらその様子は、自信の無さが明らかであり、説明もたどたどしく、決して先生方の求めるレベルには達していないということをやっている私自身も感じていました。
全員のチェックが終わり、先生方から私たちに今後ヨガプログラムを任せるかどうかについての結果報告がありました。
告げられた内容は、私以外のインストラクターは合格で、来週からヨガプログラムを任せるということ、私はまだヨガプログラムを行わせるレベルではないため、他のスタッフでも指導が可能である基本的なストレッチプログラムなら担当しても良いということになりました。
研修を終えた後、私以外のインストラクターの方々は皆ほっとした表情で「お疲れ様でした」と明るく声をかけながら帰っていきました。
私は1人の先生から、「これからしっかり練習をして、準備が出来たらもう1度テストをしましょう」と声をかけて頂き、そのままスタジオを後にしました。
車に乗って家に帰る途中、何年ぶりでしょうか、私は大声を出して泣いていました。とても悔しかったのです。
この世界では理学療法士であろうが、経験があろうがなかろうが、そういったことは雇う側は一切関係がなく、大事なことは要求したこと以上のパフォーマンスが出来るかどうかなのです。
プロの世界の厳しさを実感した出来事でした。
その後、私は数か月間そのスポーツクラブで与えられた基本のストレッチプログラムだけを週に数回、ひたすら行うこととなったのです。
それは、周囲のスタッフの方々から既にヨガプログラムを担当している他のインストラクターと比べられることにもなり、私にとってはとても辛く厳しく、また振り返ってみても、その後のインストラクター人生に影響を与えた深い学びの日々となったのです。
私はありのままの自分を受け止め、それ以上の欲は手放し、そして与えられたプログラムを自分自身が心から納得出来るよう、毎回丁寧に行っていきました。
そんな日々を過ごしていると、気持ちに寄り添って下さるかのように、私のプログラムの時間になると多くのお客様が集まって下さるようになりました。
そして「先生の声を聞いていると安心します」「丁寧で癒されます」「よく眠れるようになりました」など、とても嬉しい感想を聞かせて下さったのです。
その後私は、もう1度ヨガプログラムのテストにチャレンジし合格することが出来ました。初めてヨガインストラクターのお仕事を得た時もそうでしたが、今回も私は自分自身にご褒美を与えるように祝杯をあげました。
これを機に、その後どんどんヨガインストラクターのお仕事が増えていきました。
初心者のためのヨガレッスン、肩こりや腰痛などの身体の不調を改善するヨガ、有酸素運動的に動き続ける中級のクラスなど、様々な種類ヨガプログラムを担当させて頂くようになり、周りのスタッフやインストラクターの方々の私の見る目もどんどん変わってくるようでした。
ようやく、ヨガインストラクターとして活動出来るようになりました。
石の上にも3年というように、その後約3年間、私はヨガインストラクターとしての経験を積んでいきます。
次回は、いよいよ本当に最終回となります。だんだん寂しくなってきました。
最後まで見届けてくださいね。
幸せを願って。
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