ヨガの代表的なポーズの一つ、鳩のポーズ。名前の通り鳩が胸を膨らませたような姿は、雑誌などで見かけるとついマネをしたくなりますよね。SNSの映え写真にもオシャレでおすすめです。
しかしこの鳩のポーズ、実は身体を複雑に動かしており難易度の高いポーズなんです。
マネをしてできなくても全く落ち込む必要はありません!
むしろ「私はできるよ!」と自信満々の人には、ご自身のポーズに危険性がないかきちんとチェックをしてほしいところです。今回はそんな鳩のポーズのやり方と効果をご紹介します。
目次
鳩のポーズとは
ヨガのポーズには動物の名前がついたものが多いですが、この鳩のポーズもそのひとつです。身体を反らして胸を広げていく様子が鳩のように見えることからつけられたものと言われています。
そんな鳩のポーズにはたくさんの効果があります。座って行うポーズですが、その動きから様々な部位へ様々な効果を与えることができます。
まずは、鳩のポーズの様々な効果とやり方をご紹介します。
鳩のポーズの主な効果
鳩のポーズでは、複数の身体の動きが組み合わされています。そのため、全身の至るところに様々な効果があります。
その中でも特徴的なのが、胸と股関節の柔軟性でしょう。ここが自由に動けると、腰や骨盤の安定性が高まり姿勢やホルモンバランス等が整っていきます。
肩こりの解消
肩から背中の筋肉のこわばりによって起こる肩こり。その原因は、手元にあるスマホを見るために顔を下向きにする姿勢が続いたり、重たい買い物袋を持つことで肩に力が入ること等が考えられます。
日常生活のなかで身近な習慣がこの不調につながっていますが、胸を広げること、そして肩甲骨や背中の筋肉をつかい血液の巡りをよくすることで改善できます。
お腹のひきしめ
体の仕組みとして「胸を開くと、お腹の力が抜ける。」といった特徴があります。鳩のポーズは胸を開くポーズのため、お腹の力が抜けやすくなります。
そのため、見よう見まねでこのポーズをやってみると、お腹はひきしまるどころか力が抜けて腰痛などを引き起こしかねません。自然に任せるだけがヨガではないんですね。
お腹を引き締めたいなら、自然や重力を跳ね返すような力を発揮することも大切です。背骨を上に引き上げようとする意識を持つことで体幹が使え、ウエストが引き締まっていきます。
腰痛の改善
鳩のポーズでは左右で足の使い方が異なります。前に出し膝を曲げている足は、お尻の横側の柔軟性を高めてくれます。ここが硬くなっている人は、腰の痛みに関係する「坐骨神経」が筋肉に圧迫されていると考えられています。
お尻の横側をストレッチすることで、圧迫されていた神経が解放され不調が和らぐ可能性があります。また、体幹を必要とする鳩のポーズでは、ほぐれたお尻を守りながら姿勢を維持するインナーマッスルを鍛えることもできます。
むくみ解消
鳩のポーズでは後ろの足のバリエーションが2つあります。真っすぐ伸ばしたパターンと、足を手でつかむ(または、ひじに掛ける)パターンです。
どちらにしても、骨盤よりも大きく太ももを後ろに蹴り出しています。骨盤と太ももの間には、体で一番大きなリンパ節があります。
リンパは老廃物を運ぶ電車のようなもので、リンパ節はそれらが集まる駅のようなスポットです。リンパ節周辺の循環をよくすることでむくみがスッキリします。
老廃物は疲労感にも関係しているため、リンパの流れをよくすることで疲れも解消できます。
不安感がなくなる
足を後ろに蹴り出す体勢では、メンタルの安定性をとり戻す効果もあります。私たちは突然、何かに襲われそうになると全身を小さく丸めて命を守ろうとする本能をもっています。
お腹が痛いときも、膝とお腹を近づけて背中を丸めようとしますね。身の危険を感じたとき、足とお腹を近づけるために「大腰筋」という筋肉が縮まります。
この筋肉は、精神的なストレスから身を守りたいときにも縮まり、すでに安全な状況に戻っていても、この筋肉が縮まっていると脳は「危険だ!」と勘違いをして不安感はそのまま残ってしまいます。
足を大きく後ろに伸ばし、大腰筋に柔軟性を与えることで、本来の安心した精神状態に戻ることができます。
できるコツは、体のパーツごとに柔軟性を高めておくこと
鳩のポーズでは左右で足の形が違うため、一度に両足のポイントを抑えようとすると難易度が高くなります。
一気にやろうとすると、体のどこが伸びているのか分からなくなり効果も半減してしまいます。
前に出す足、後ろに蹴り出す足、そして上半身といった具合に、体のパーツを1つ1つ分けてほぐしておくことで、鳩のポーズをとった時にどこにストレッチが効いていればいいのか判断ができ、体の安定するポジションを見つけやすくなります。
鳩のポーズのやり方
・四つん這いの姿勢になる。
・右脚を前に出し、膝を外側に向ける。左脚は後ろへ伸ばす。
・左ひざを曲げ、足の甲を左手でつかんで引き寄せる。
・足先をもったまま左ひじを上に向け、右手も左手と同様に足をもつ。
・胸を引き上げながら、頭頂部を足に近づける。
・深い呼吸を続ける。
・息を吐きながら手をほどき、左脚も下ろす。
・手をついてお尻を持ち上げ、四つん這いの姿勢に戻る。
・反対側も同様に行う。
鳩のポーズに向けた準備ポーズ3選
薪のポーズ/アグニスタンバーサナ
<ここに効かせる!>お尻の横側のストレッチ
このポーズは、鳩のポーズの前に出す足の準備になります。骨盤が安定することで背筋がきれいに伸び、胸の開きやすさにも繋がります。
②両手を、左右それぞれのひざの20~30㎝ほど前に置きます。腰が丸まらないように、胸は床へ向けずに両手の間へ向け背筋を伸ばします。
③背筋を伸ばしたまま、ゆっくりとお腹を足に近づけていきます。お尻のストレッチを感じながら5呼吸しましょう。
このポーズが難しいときは…
・ひざへの負担が大きい体勢です。このポーズでひざに痛みを感じる場合は、あぐらで大丈夫です。あぐらで余裕があれば、クロスしている足首をお腹から遠ざけるように左右のひざの間に調整すると効果が上がります。
・②ですでにお尻にストレッチを感じる場合は、③は不要です。ムリに倒れようとして腰が丸まると効果が弱まってしまいます。背筋が伸ばせるところでストップし、深い呼吸をしましょう。
半分のカエルのポーズ/アルダベーカーサナ
<ここに効かせる!>太もも前面のストレッチ
このポーズは、鳩のポーズの後ろに伸ばす足の準備になります。骨盤が立ちやすくなり体幹への意識も高まります。
②片方のひじを肩の真下に置き、その手のひらを顔の前に来るようにします。反対の手で、その手と同じ側の足をつかみます。
③つかんでる足のかかとをお尻に近づけていきます。太もも前面のストレッチを感じながら5呼吸しましょう。
このポーズが難しいときは…
・胸を起こすのが辛いときは、胸を床へ下ろし、おでこを手の甲に乗せるといいです。
余裕があれば、体幹にも効かせよう
・胸を起こせる人は、腰を反りすぎないようにお腹を背中の方へ引き寄せましょう。体幹への効果がアップします。
座った側屈を伸ばすポーズ/パールシュヴァスカーサナ
<ここに効かせる!>胸の横側のストレッチ、みぞおちのツイスト
このポーズは、鳩のポーズの一番の特徴である胸の開きの準備になります。
横に倒すことで肋骨まわりにストレッチが入り、みぞおちからツイストすることで胸椎(背骨の胸周辺)の柔軟性が高まります。「横に倒す」「ねじる」この2つを行うことで胸の反りが気持ちよくできるようになります。
②片手をお尻の横20~30㎝ほど離れたところに置きます。反対の手を天井へ伸ばし、床についた手と同じ方向へ倒します。
③上げているひじ越しから天井を眺めて5呼吸しましょう。
このポーズで起こりやすいミス…
・体を横に倒すと骨盤の安定性が弱くなり、足を曲げている方のお尻が浮きやすくなります。重心は左右のお尻に均等にキープしましょう。
・肩が丸まりやすいです。真横に倒れる意識をもち、顔だけではなく胸から天井を見上げるようにしましょう。すると、肋骨のストレッチと胸椎のツイストが深まり気持ちよく鳩のポーズをとることができます。
鳩のポーズのバリエーション
鳩のポーズには、難易度の低い様々なバリエーションがあります。まずは難易度の低いポーズから練習してみるとイメージがつかみやすく、理想的なポーズに近づくことができます。
眠った鳩のポーズ
眠った鳩のポーズは身体を持ち上げるのではなく、前に倒してうつ伏せになるポーズです。前脚側のお尻の筋肉をストレッチすることができます。
・四つん這いの姿勢になる。
・右脚を前に出し、膝を外側に開いて床につける。左脚は後ろに伸ばす。
・両手を前方に伸ばして背骨を長く保ち、息を吐きながら上体を倒していく。
・深い呼吸を続ける。深められそうであれば、さらに胸を床へと近づける。
・息を吸いながら両手を使って上体を起こす。
・四つん這いの状態に戻る。
・反対側も同様に行う。
小鳩のポーズ
曲げた後ろの足を肘でひっかけて持ち上げるポーズです。体側を気持ちよく伸ばすことができます。
・四つん這いの姿勢になる。
・右脚を前に出し、膝を外側に向ける。左脚は後ろへ伸ばす。
・左ひざを曲げる。左ひじを後ろにまわし、左の足先を引っ掛ける。
・右腕を持ち上げ、肘を曲げて右手と左手の指を絡める。
・胸を開いて深い呼吸を続ける。
・息を吐きながら両手、左脚を解放する。
・四つん這いの状態に戻る。
・反対側も同様に行う。
まとめ
鳩のポーズは、様々な部位の柔軟性が求められるポーズです。いきなり挑戦しようとせず、まずは簡単なポーズでひとつひとつの部位を丁寧に動かし練習してみましょう。
スムーズに動く身体で行えば、理想の鳩のポーズに近づくことができます。無理をせず、自分の身体と対話しながら行ってみてください。