エアリアルヨガとは
1-1. エアリアルヨガとは
エアリアルヨガとは、天井からぶら下がったハンモックを使い空中で行うヨガです。
1990年代のアメリカで考案された比較的新しいヨガで、他には「空中ヨガ」「アンティグラビティヨガ」「フライングヨガ」などの名称で呼ばれることもあります。
吊るしたハンモックは微妙に揺れ不安定な状態ですので、そうしたなかでヨガのポーズをとることで、知らず知らずのうちに体幹が鍛えられます。
一見、アクロバティックでハードな印象ですが、ハンモックを補助として無重力状態でポーズをとるため、身体が硬い人でも無理なく挑戦できるヨガといえます。
また、通常のヨガでは味わえない独特の浮遊感も魅力のひとつです。
1-2. エアリアルヨガで使うハンモックの種類
ハンモックには大きく分けて以下の2種類があります。
2)本体のみのハンモック
ハンドルやグリップがついたものは、手や足を掛けることができるようになっており、開脚や股関節の可動域を広げたりするのをサポートしてくれます。
ハンドルやグリップがついたものは、通常のハンモックではできないポーズなどもとることが可能となります。
多くのスタジオが本体のみのハンモックでのレッスンとなりますが、様々なポーズに挑戦してみたい方は、ハンドルやグリップがついたハンモックを採用しているスタジオをおすすめします。
また、ハンモックを天井1か所に吊るすか、2か所に分けて吊るすかでもできるポーズが異なります。
1-3. エアリアルヨガの効果
1)重力によって圧迫されていた脊柱や内臓の解放
普段は直立歩行で重力により圧迫されている脊柱や内臓を、ハンモックを使い無重力状態にすることで、解放することができます。骨盤のゆがみも調整され、正しい位置に筋肉がつき、腰痛予防などにも効果的です。
2)体幹の強化
ハンモックを使い、全身のバランスをとりながらヨガを行うことで体幹やインナーマッスルが効率的に鍛えられます。体幹トレーニングが苦手な方も、ハンモックを使うことで楽しみながら取り組むことができます。
3)冷えやむくみの解消
ハンモックを使うことで、簡単に逆転のポーズをとることができるため、血液を身体の上にいきわたらせることができます。これにより血行が促進され冷えやむくみの解消につながります。
4)ホルモンバランスの改善
逆転のポーズは、脳に血液を巡らせることで脳を活性化し、ホルモンバランスの改善や自立神経の調整などにも効果があります。
5)ストレス解消
独特の浮遊感は、普段は味わうことのできない非日常体験となり、リフレッシュできます。また、ハンモックにすっぽりと包まれる感覚は、まるで母親の胎内にいるような感覚です。
実際、エアリアルヨガでは、ハンモックに包まれて瞑想するポーズをウンブ(子宮)と言います。母親の胎内にいるような感覚を味わいながら瞑想を行うことで深い呼吸がうまれ、ストレスを解消します。
エアリアルヨガを体験する
2-1. エアリアルヨガが体験できる場所
日本エアリアルヨガ協会がまとめた全国のエアリアルヨガができるスタジオ一覧を参考にしてみると、お近くのスタジオが見つかります。
2-2. 体験の際の注意点
1)エアリアルヨガをおすすめできない方
以下の方には、エアリアルヨガはおすすめできません。気になる方はスタジオに問い合わせてみましょう。
・乗り物酔いをしやすい方(三半規管が弱い方)
・めまいを起こしやすい方
・妊娠中の方
・目に疾患がある方
・ヘルニアの方
・骨粗しょう症の方
また、上記に該当しない方でも、体験中に独特の浮遊感により気持ちが悪くなってしまう場合があります。そうした際にはすぐインストラクターに伝え、無理をせず休みましょう。
揺れを少なくするなどのサポートをしてくれる場合もありますので、不安のある方は事前に伝えることも大切です。
2)飲食について
ヨガの前には当然飲食を控えますが、逆転のポーズが多くなるエアリアルヨガでは特に気をつけましょう。
3)服装について
ハンモックに触れることが多いため、あまり露出の多いウエアだとハンモックと皮膚が擦れてしまうことがあります。
もちろんエアリアルヨガに使うハンモックは肌触りの良い生地でできていますが、なるべく全身を覆うウエアを身に着けるようにしましょう。
逆転のポーズなども多いので、身体にある程度フィットするウエアのほうがおすすめです。また、ピアスやネックレス、指輪などはハンモックにひっかかってしまうことがあるため、すべて外してから行います。
ヨガインストラクターにとってのエアリアルヨガ
3-1. ヨガインストラクターにとってのエアリアルヨガのメリット
1)負荷のかからない練習
筋肉や関節に負荷がかからず、効率よく体幹を鍛えることができるため、ヨガインストラクターにありがちな練習のしすぎによる故障を防ぐことができます。
2)難易度の高いポーズの練習が可能
逆転のポーズなど、マットの上では難易度の高いポーズもハンモックがあることで簡単に挑戦できるため、実際にポーズをとってみることができます。エアリアルヨガでの実践により、マットの上での感覚をつかむことができます。
後屈もハンモックのサポートによりやりやすくなりますので、後屈が苦手な方はエアリアルヨガで練習することで身体の動きなどを細かく確認することができます。
3)ポーズの精度向上
普通のヨガとは全く違った感覚を味わえるエアリアルヨガ。無重力状態で浮遊感を感じるなかで、新しい次元の身体の動きを実感できます。
また、ハンモックは常に微妙に動いているため、身体も微調整をしていかなければならず、身体の細かな動きに理解が深まります。
4)ヨガの楽しさの広がり
マットの上で行うのとは全く違った動きとなるため、身体的にも精神的にも新しい発見があり、ヨガの世界が広がります。新たな動きによる新たなインスピレーションを得ることでヨガの楽しさを伝える言葉にも深みがでます。
クラスのなかでもただただ難易度の高いポーズに挑戦するのではなく、ヨガの楽しさを伝えることで生徒さんにとってもご自身にとっても気持ちの良いクラスになるのではないでしょうか。
3-2. エアリアルヨガインストラクター資格取得
徐々に広まっているエアリアルヨガ。最近では、スポーツクラブやホットヨガスタジオでもハンモックの設備を備えているスタジオがあるなど、指導者の需要は増えています。資格の取得も、比較的短期間でとれることが特徴です。
ここでは、以下の団体をご紹介しますが、他にも多くのスタジオで養成講座が開催されています。
日本アンティグラビティ協会NAVI
エアリアルヨガの創始者とも言われているクリストファー・ハリソン氏が考案し、世界的に広まっている「アンティグラビティフィットネス」の日本で唯一の公認団体です。資格はニューヨーク本部の共通マニュアルに則って指導が行われます。
ティーチャートレーニングは5日間のプログラムです。
→https://antigravityfitness.jp/
日本エアリアルヨガ協会
日本におけるエアリアルヨガの講師育成や活動支援を行う一般社団法人です。インストラクター養成講座には3級・2級・1級の3段階で構成されています。インストラクターとして指導するには、3級・2級までの受講で可能です。3級・2級までであれば4日間のプログラムとなります。
さらに高度なポーズを指導する場合は1級を受講します。
【ご参考】エアリアルヨガクラス開催時の注意点
エアリアルヨガインストラクターの資格を取得後、エアリアルヨガクラスを開催する際には、クラス名に注意しましょう。
クラス名に「エアリアルヨガ」とつけることは可能ですが、冒頭でお伝えしたその他の呼び方のうち、「ハンモックヨガ」と「空中ヨガ」は商標をとられている方がいるので、クラス名に使うのは避けましょう。
おわりに
様々な効果があるエアリアルヨガ。
空中で行うと聞くとアクロバティックで難しそうに思ってしまいますが、ハンモックにサポートしてもらいながらポーズを練習することができるので、初心者にもおすすめでスタジオも増えている注目のヨガです。
布に包まれてふわふわする独特の浮遊感は、普段はなかなか味わえない特別なものですので、ぜひ一度試してみてください。
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