クリパルヨガは、インドのスワミ・クリパル師によって確立され、弟子のヨギ・アムレット・デサイ師によって1960年代からアメリカで広められました。
1971年には、米国ペンシルバニア州に「クリパル・ヨガ・アシュラム」が建てられました。その後も現在に至るまでクリパルヨガは、多様性に富んだ現代社会の中でヨガを通してより自由で豊かな生き方を探究し続けています。
それでは、クリパルヨガについて効果や特徴など詳しくみていきましょう。
クリパルヨガとは?歴史や特徴を知ろう
クリパルヨガは、インドのスワミ・クリパル師(1913-1981)によって確立されました。
古典ヨガと現代のハタヨガが違うものと認識されていく中で、相互的に補うことができるものと考えたスワミ・クリパル師。そこからクリパルヨガの歴史は始まります。
クリパルヨガの歴史
インドにはヨガに影響の大きい哲学がいくつかあります。
アシュタンガなどの考えの元となるサンキャ哲学
現代のハタヨガに通じるタントラ哲学
これらの考えは、別のものとして捉えられていましたが、スワミ・クリパル師は相互補完しあうものとして考え、様々な考えを統合してクリパルヨガが生まれました。
弟子のヨギ・アムレット・デサイ師は60年代にアメリカに渡りヨガを広め、自分のグルであるスワミ・クリパル師の名前にちなんでクリパルヨガと名付けました。
クリパルは、サンスクリット語で「慈悲」という意味をもち、慈悲の心を育む教えを大事にしています。
クリパルセンターは1971年には、米国ペンシルバニア州に、アシュラム(道場)として建てられましたが、1983年にマサチューセッツ州にクリパルセンターとして移転し、現在は、北米最大級のホリスティックセンターとなっています。
クリパルヨガの特徴
様々な考えを補完し新しい教えに辿り着いた「クリパルヨガ」とはどんな特徴があるのでしょうか?
現代に住む人々にも大きな影響を与えているヨガの1つとも言える「クリパルヨガ」について見て行きましょう。
今あるがままのことに向き合う
クリパルヨガは、ポーズや呼吸を取っていく中で、今起きていることに意識を向けていくことを重要としています。
身体には恒常性を保つ機能が備わっており、身体や心はその作用を受けています。本来の自分の望みは知っているはずですが、現代は様々な刺激があるが故にわからなくなりやすいのが現実です。
クリパルヨガでは、本来の自分にアクセスし、自分の人生を自分らしくより豊かに過ごせる術を学んでいくのです。
生徒自身の体験を尊重し、さらに選択することへも目を向けています。「出来るから良い」のではなく、違う方法で行ってみることでどのように感じるかを受けとること。自分で選ぶことでの個々の主体性や必要性を尊重しています。
自身が選択したことを受け入れ責任を持つヨガでの体験は、現代にも当てはめることができます。その経験を活かし、人生をより豊かなものへと導いてくれるでしょう。
クリパルヨガの構成
クリパルヨガには独自のメソッドがあり、3つのステージに分かれています。
初めは自分自身の体験へと意識を向けて、「気付き」の体験をしていきます。次に、ポーズを保つことでわき起こる自身の内面へと集中し、慈悲と共に寄り添う心を養います。
最後のステージでは、自身を自然に委ねて動くことで、全ての動きを見守り、動く瞑想へと導いてくれるでしょう。
個々の体験を活かし現実に反映させること。クリパルヨガを通して教え学んでいくことができます。
クリパルヨガの効果とは?3つのポイント
個々の体験を大事にしているクリパルヨガ。その効果について考えてみましょう。
瞑想と集中力の強化
クリパルヨガでは、自分の感じていることに集中するために、ポーズを丁寧に取り組みます。ポーズを取ることより内面へと集中を向けていくことで、瞑想を深めることができます。さらに、習慣化することで集中力の強化にも繋がるでしょう。
ヒーリング効果
瞑想の時間は副交感神経が優位になり、癒しの時間ともなります。頭の中で考えていることを整理したり、考えに気づくことでストレス軽減に。
ポーズもゆっくりと取り組むことで、負担になることない程よい刺激となりリラックス効果を上げてくれるでしょう。
日常の生活を豊かに
個の尊重を重視するクリパルヨガの教えは、アメリカで始まりました。アメリカでは指導者の一方的な講義ではなく、自分で体験することを中心に学んでいきます。
まずは自分で体験し、シェアすることからヨガを学びを導き出す。自分自身の選択に責任を持って取り組むことは、日常にも応用ができますね。
日常生活の中でもその体験が何であれ、そこから自分が何かを学び、必要な成長をしていく貴重な体験なのだと理解し始めるとき、ヨガは本当に自分の暮らしに役立つものなっていくのでしょう。
ヨガ初心者にもおすすめのクリパルヨガ
クリパルヨガは、丁寧にポーズに取り組むので初心者でも始めやすいヨガです。無理なポーズに挑戦をするのではなく、自分の様子を伺うことに集中します。
また、クリパルヨガでは、ゴールを設定せず、いろいろな道を探し出来ることを増やしていくことを目的としています。自分を理解し、人とのコミュニケーションをよりよくしたい人にもおすすめです。
体験した人たち1人1人が違う感想を持っていて当たり前です。気持ちよく感じる人もいれば違和感を覚えることもあります。それはなぜ自分の中で起こっているかを観察していくのです。クリパルヨガを体験した人は、今までのヨガとは違うと行った印象を持つことが多いようです。
今の自分を受け入れ、選択していくことでより豊かな人生を探してみるのも良いかもしれませんね。
クリパルヨガのインストラクターに大事なこと
クリパルヨガを教える上で大事にしていることがあります。それは生徒のエンパワーとなることです。教え指導するのではなく、生徒の自主性を促すことでより良いヨガの時間を体験してもらえます。
そんなクリパルヨガの教えを伝える上で、インストラクターとして注目したいことがあります。
勤勉であること
生徒さんにこうすれば良いということだけを教えてもただ真似するだけになってしまうでしょう。簡単ではありませんが、コミュニケーションを取りながらどのように感じたかをシェアしていくことも大事です。
また、インストラクターとしての資格を取ったとしても、ヨガの世界は奥深く日々の体験は、そのまま生徒さんへの指導へと繋がっていきます。インストラクターとしても常にヨガについて学ぶことはたくさんあります。
クリパルヨガを日常に活かそう!
他のヨガより精神的なヨガの効果を実感しやすいと人気のクリパルヨガ。ゴールを設定しないで、様々な道を模索していくことは、人生にも置き換えやすく、より豊かな時間を過ごすことに繋がります。
自分への理解や意識を深め、日常生活に活かしていくことはクリパルヨガの最大の目的と言えるでしょう。
日本の「クリパル・ジャパン」は、90年代より20年来アメリカの「クリパルセンター」や「フェニックス・ライジング・ヨガセラピー」と親交をかわし、クリパルヨガ指導者養成講座を手掛けています。
オンラインでのレッスンも開催しているので、試しにお家でレッスンをくけてみるのも良いかもしれませんね。