ヨガに興味を持って学ばれている方は、耳にしたことがある地名かと思います。
リシケシは、今日のハタヨガ、アシュタンガやアイアンガー、ヴィンヤサなど全てのヨガ流派の礎となった、古典ヨガの発祥の地です。
インドの北部ヒマラヤ山脈の麓にあるこの地域では、4500年以上もの昔から、師から弟子へと、門外不出の術として口頭によってヨガが伝えられてきました。
近代ではビートルズが瞑想の修行に滞在し、そこで多くの名曲を生んだことから、今やヨガ留学先として世界的に名を知られた土地となっています。
また、中心を流れているガンジス川にはヒンドゥー教のシヴァ神の妻パールバティにまつわる神話が残されているなど、その神秘的で聖なる雰囲気を体感するために世界中から巡礼者が訪れています。
そこで、インドへのヨガ留学をする際に
「リシケシとはどんなところなの?」
「本当に合宿や留学しても大丈夫なの?」
と思う方へ、リシケシの魅力や注意点などをご紹介していきます。
インドリシケシの基本情報
リシケシは、デリーから北東に車で約5~6時間。
飛行機だと50分、そこからさらに車で約45分ほどかかります。
気温は15度から20度くらいですが、夜は冷え込みますのでウインドブレーカーや防寒具があるとよいでしょう。
雨は少なく、日中は暖かいので、簡単に脱ぎ着できる装いがよいです。
ヒンズー教の聖地であるため寺院も多いので、行くときは長ズボンや長袖を用意しましょう。
インド全体として言えることですが、特に女性は露出は控えた方が良いです。
くしゃくしゃっと丸めてしまえる薄手のコットンの大判ストールをいつも持ち歩いていると、巻きスカートにしたり暑さ寒さ避けに羽織ったり、タオルにしたりと便利です。
観光の要と言えるのが、ガンジス河にかかるラクシュマンジューラー橋という吊橋です。(2023年3月時点、橋は工事のため閉鎖中です。)
橋を渡った先のたもとには大きなヒンドゥー教寺院、シュリ・トラヤン・バクシュワール寺院があります。
無料で参拝でき、最上階からのガンジス川を見下ろす景色はぜひご覧いただきたいです。
訪れる際には、露出を控えたボトムスにジャケットを持っていくとよいです。
向こう岸に渡るには現在下流にあと2つ、ラムジューラー橋とジャナキャジューラー橋があります。
こちらも歩行者と二輪車のみが通れます。
これらの橋を渡った向こう岸には見所が多く、ビートルズが瞑想合宿を行ったマハリシのアシュラムや店先に座る不気味なおじさんがトレードマークの観光客向けレストラン「Chotiwala」があります。
2017年頃のラクシュマンジューラー橋。
狭い橋を車は通れず、人と、自転車と、牛がひしめき合いながら渡っていました。
ガンジス川に沐浴に訪れた家族です。写真を撮っていると集まってきて、笑顔を向けてくれました。
リシケシの飲食店、食事事情
リシケシの街には、ベジタリアンやノンアルコールのお店が豊富です。
特に川沿いは、ピュアベジタリアン(ヴィーガン)のお店がほとんどです。
おすすめは、ラクシュマンジューラー橋近くにある「ガンガービーチカフェ」。
テーブル席とお座敷席があり、開放的なカフェからガンジス川を眺めながらのんびり過ごせます。
マンゴーラッシーなどのドリンクや軽食をいただきながら読書をして過ごす人の姿もありました。
坂の途中のチャイ屋さんを通り過ぎて。
テラス席。昼下がりの川沿い。
ガラス窓のない店内席。
靴を脱いで上がり、クッションが置いてあるお座敷でくつろぎます。
チョコレートシロップ入りのアイスコーヒーをいただきました。
奥に見えるのは、ラクシュマンジューラー橋。
リシケシのヨガの場所としての魅力
穏やかなガンジス川のエメラルドグリーンの川面。
その上でキラキラと跳ねる太陽の光。
白い小石の浜。
早朝の静かな森と小鳥のさえずり。
リシケシではインド都心部での車のクラクションや騒音から解放され、深い自然に囲まれた静寂さの中でヨガに集中することができます。
そうしたヨガの最中には、自然のエネルギーであるプラーナが自分の全身に降り注いでいる事に気づきます。
そして自然の時の流れ方や自分の周りを巡る万物の存在を感じることで、自分も自然の一部であることが思い出されます。
一人で誰とも話さずアーサナや瞑想をしていても、自然と一体であるため孤独ではないと、ここでヨガを行う多くの方が感じます。
著者が卒業したデリーに本校があるヨガスクールでも、このエネルギーを感じるために毎年リシケシにヨガ合宿を実施しています。
また、一躍リシケシを世界的に有名にするきっかけとなった、ビートルズが訪れた瞑想小屋。
リシケシにはそのような瞑想に集中できるアシュラムや伝統的なハタヨガ、アシュタンガなど多様なアシュラムが近い距離に存在しているので、様々なヨガを短期間で実際に受ける事ができます。
ドロップインを受け入れているアシュラムも多いので、いくつか回って受けてみて、気に入った所に通うということもできます。
リシケシにヨガ留学することのメリット4選
1.古典ヨガと現代ヨガ、どちらにも触れられる環境である
リシケシには多くのヨガアシュラムがあり、様々な流派の元であり2500年前から行われてきた、瞑想や哲学に重きを置いた古典ヨガと、アーサナに重きを置いた現代的なヨガ、どちらについても深く学ぶことができます。
提供される場所は、ホテルのプログラムなど観光客が気軽に参加できるようなクラスから、本格的なアシュラムまで様々です。
2.ヨガに精通した恩師に出会える
リシケシには現代ヨガに多大な貢献をしたスワミ・シヴァナンダ(1887-1963)が設立したシヴァナンダヨガのアシュラムがあります。
このシヴァナンダ・アシュラムがある敷地内には、フォレスト・アカデミーというヨガの総合大学も在り、現在でも多くの出家者やヨガ修行者が学んでいます。
卒業後はアシュラムでヨガを教えていたり、修行を続けたりと様々あるようです。
そのように本格的にヨガを学んだ熟練ヨギに教えを授かる機会もあります。
3.世界中からのヨガ仲間に出会える
リシケシの町を歩くと、ヨガ留学に訪れているヨギやヨギーニがあちこちにいることに気づきます。
著者が訪れた際にも、何組ものヨギー二のグループに出会いました。
みなさん異なる国からリシケシに訪れて、ここで仲良くなったようでした。
「ヨガの修行や観光を一緒にして過ごしているんだ」と話してくれた多国籍の女性たちの弾けるような笑顔が今でも印象に残っています。
帰国後もこういった仲間や恩師とSNSで繋がって、お互いに刺激しあったり学んだことの復習をしたり、ヨガの学びへの意識を継続することもできます。
お互いにヨガを学んでいるからこそ分かり合える、一生の良き友や師と出会えるかもしれません。
4.あのガンジス川で沐浴できる
同じガンジス川でもリシケシは、火葬場があることで有名な“バラナシ”よりも上流にあるため水が綺麗です。
そのため、不衛生な環境に弱い日本人でも、ガンジス川で沐浴することができます。
沐浴する場合には、タオルを忘れずに。
毎夜あるガンジス川へのお祈り『アールティ』に参加する際にも、座る場所が濡れている場合があるのでタオルがあるとよいです。
気温は高く、空気も乾燥していてかなり暑い日だったのですが、水はものすごく冷たくて驚きの表情。
デメリットや注意点
インドが暑いのは周知のことかと思いますが、4〜5月の暑さには特に注意です。
服装は上記のシーズン以外でも、昼は日除け、サングラス、日焼け止め。
夜は寒さ避けのご用意を。
トイレ設備が整っていない場所があるので、気になる方はトイレットペーパーとサニタイザーを持参すると安心です。
前出の通り、ヒンズー教の聖地であり寺院も多いので、長ズボンや長袖を用意すると良いです。
夜間の外出は観光客が多いので比較的安全な方ではありますが、女性単身での夜間外出は控えた方がいいでしょう。
また、牛や野生の猿が多く、油断すると食べ物を狙って接近してくることがあるため、食べ物が見えるような持ち方をして歩かないようにしましょう。
バイクかと思ったら、牛!なんてことも。
初めてでも安心して参加できるヨガ留学先5選
「機会があれば一度はリシケシを訪れたい!」
「訪れたいけど言葉も環境も違いすぎて少し不安…。」
「まずはお試しで短期のヨガ留学をしてみたい。」
そう思われている方でも安心して参加できるヨガ留学やリトリートを開催しているヨガスクールをご紹介します。
どちらのスクールも、インド在住歴の長い日本人女性ヨギーニが主催しており、少人数でアットホームな雰囲気でリシケシ滞在中も一緒に過ごしてくれるのでとても心強いです。
Gangamaa Yogi’s home
1年の半分をリシケシで暮らす桜井友美さん主催のアーユルヴェーダとヨガのスクール。
リシケシリトリートでは、シヴァナンダアシュラムに滞在しリトリート修了証が発行されます。
本場インドのヨガティーチャーやアーユルヴェーダDr.とも連携し、ヨガ講座やヨガクラス、アーユルヴェーダ講座やマントラとヒンドゥー神話講座などをお届けします。
Namah Shivaya Yoga
全米ヨガアライアンスのアドバイザリーも務めたテージ・モンガ氏が主宰するヨガスクール。
インドのデリー本校にて、RYT資格取得コースを定期開催。
ディープなヨガ哲学を学び、個人の内面からの成長を促すプログラムになっています。
年に数回、日本及びデリー発着のリシケシリトリートを実施。
テージ氏の奥様であり、ご自身もインド政府公認ヨガ講師及びE-RYT講師であるAya先生が同伴します。子連れでの参加も可能です。
HP内にある美しい動画でも実際のリシケシリトリートの様子を知ることができます。
1ヶ月以上滞在して、リシケシでヨガ資格を取りたい、という方は以下のようなスクールもありますので、ご参考になさってください。
International Sivananda Yoga Vedanta Centres(シヴァナンダ・アシュラム)
https://sivananda.jp/ttc/#ttcschedule
Yoga Niketan Ashram(ヨガニケタンアシュラム)
http://www.yoganiketanashram.org(英語HP)
Yogashala(ヨガシャラ)
https://www.rishikesh-yogashala.com/ヨガ指導者養成コース/ryt500認定取得コース-2019-2月開講-インド/インドryt200認定取得コース/
まとめ
去年から徐々に海外への渡航のハードルが下がり、インドを訪れる日本人の姿も増えてきました。
日本の日常を離れて、ヨガの聖地でご自分を見直す旅というのはいかがでしょうか。
この記事が皆さまのヨガ留学のご参考になれば幸いです。