ヨガとピラティスは一緒に取り上げられることが多く、混同してしまいがちです。
体幹を鍛え、バランスの良い身体を作ると言う目的が同じなので、知らない人からは何が違うのかよくわからないと言う声も聞こえてきます。
ヨガとピラティスは、元々の考え方や目的が全く違うエクササイズです。ピラティスは、リハビリのために開発され、ヨガは呼吸や精神面をコントロールし健康を保つように考えられています。
今回は、呼吸法の違いなどからヨガとピラティスの違いについて詳しくみて行きましょう。
目次
ヨガとピラティスの違いとは?
ヨガとピラティスのレッスンを開催しているスタジオも多いですよね。共に体幹を鍛え、バランスの良い身体を作ると言う目的が一致しているので、同じようなエクササイズと勘違いされやすいですが、発祥の理由や歴史を見ると全く別のものだと言うことがわかります。
それでは、詳しくご紹介していきます。
ピラティスとは?
ドイツで従軍看護師をしていたジョゼフ・ヒューベルトゥス・ピラティス氏が負傷した兵士のリハビリのために考えたのが、ピラティスの始まりです。
激しい運動をしなくても筋力の強化ができるエクササイズで、高齢者や身体に不調のある人でも無理なく取り組めます。
筋肉を鍛えることにより体幹が鍛えられ、全身の血流もよくなるので、運動不足の人にもおすすめです。
リハビリの一環にも取り入れられているエクササイズで、深層筋肉などにアプローチをします。主に胸式呼吸で行われます。
ダイエット効果も期待できると日本でも人気のフィットネス となりました。
ヨガとは?
ヨガは、心の安定を目的とし、呼吸や瞑想、アーサナなどを行い、心身共に健康で充実した生活を送ることを目指しています。ヨガの発祥は、インドの紀元前4500年とも言われ、長い歴史の中育まれてきたのです。
その後、アメリカにヨガが広がり、よりフィットネスの要素に近づけた現代のヨガが爆発的に人気となります。現代のヨガでは、身体の体幹を鍛えたりとエクササイズの面を強く表し、世界へと広まって行ったのです。
ヨガの呼吸法は、「腹式呼吸」だけでなく、さまざまなものがあります。それこそ流派によっても意識する呼吸が違ったりもするのです。
ヨガは、自分の心の問題に気付けたり、忙しくて休めない身体をリラックスさせてくれたりと心への効果が期待できます。また、全身を使ったアーサナは、体幹を鍛え、コリなどによる不調を改善してくれると評判です。
きれいな身体と素敵な生活を送りたいと考える日本の女性にも人気となりました。
どんな効果や目的で身体を動かすのかを定めよう
体幹を作りバランス良い身体作りができる「ヨガ」と「ピラティス」。どちらを受けた方が良いのかよくわからなくなる方も多いようです。
「ヨガ」と「ピラティス」の効果には違いがあるので、どのような目的で受けたいのかを考えてみましょう。
例えば、普段から忙しく自分の身体を労ることができない方や、自分の感情に振り回される方、リラックスしたい方などは、「ヨガ」をおすすめします。
大人になって全く運動をせず、身体を支える筋力を鍛え、健康な自分を取り戻したい方には、「ピラティス」を頑張ってみても良いでしょう。
レッスンを担当する先生にもよりますが、ピラティスに筋力トレーニングに近いイメージを持つ方もいるようです。辛いイメージを持ってしまっては、効果も半減してしまうので、自分にあった先生やレッスンを見つけましょう。
年齢を重ねても、元気で楽しく過ごしたいなら、ヨガとピラティスのレッスンを、併用して続けていくのもおすすめです。
ヨガとピラティスの呼吸法「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の効果とは?
ヨガとピラティスの違いをあげる時によく取り上げられるのが「呼吸法」です。
ピラティスは基本的に胸式呼吸がメインとなります。ヨガでは、腹式や完全呼吸法が中心となって行われます。両方とも鼻呼吸を意識しています。
慣れないとどちらの呼吸法をするのかレッスン中も迷いがち。初めは、無理をせず呼吸止めないように気をつけましょう。
それでは、それぞれの呼吸法について詳しくみていきましょう。
ピラティスの呼吸法「胸式呼吸」とは?どんな効果があるの?
ピラティスの呼吸法「胸式呼吸」では、空気を鼻から吸って口からゆっくりと吐き出します。ピラティスは、常に身体を真ん中に置くことを意識します。お腹周りの深層筋肉インナーマッスルを働かせ、しっかりと呼吸を入れていくことが大事なのです。
「胸式呼吸」は、お腹を引き締め、胸を横や後ろに広げるイメージで行います。背中を広げる感覚は少し難しいかもしれませんが、意識を向けるとだんだんと動くようになって来ますよ。息を吐く時は、広げた肋骨を萎ませていくようにしましょう。
また、横隔膜を下げずに、肺を広げる「胸式呼吸」では、周囲の筋肉も刺激され、交感神経が優位に立ちます。
ピラティスを初めてやる方は、いつも使わない筋力を使っていることで、うまく胸式呼吸を意識しにくいかもしれません。呼吸を止めてしまわないように気をつけてくださいね。
「胸式呼吸」練習の仕方
背中を伸ばして胸まわりが広げやすいように姿勢良く座ります。
お腹を引き締め、丹田を引き締めましょう。
鼻から息を吸って、胸の広がりを意識します。
口から吸った時の倍の時間をかけて吐き出しましょう。この時首や肩に余分な力が入らないようにします。
ヨガの呼吸法「腹式呼吸」とは?どんな効果があるの?
ヨガの呼吸法は「腹式呼吸」を意識することが多いですが、胸式と腹式両方を同時に行う「完全呼吸法」もよく行います。
「腹式呼吸」は、横隔膜を動かし自律神経にアプローチすることで、副交感神経を優位にしてくれます。ストレスの緩和や身体の緊張を解すといった効果があり、仕事や人間関係で悩む現代でも良い効果をもたらしてくれます。
「完全呼吸法」は、ヨガではプラーナヤーマと呼ばれ、自律神経を整え心と身体をつないでバランスを整えてくれるのものです。レッスン内容によって、どの呼吸法が良いか変わってくるので、インストラクターの指示に従いましょう。
ヨガには、クンダリーニの「火の呼吸」や、音を出して行う「はちの呼吸」などさまざまな呼吸法があります。まずは、腹式呼吸や完全呼吸に慣れていくことをおすすめします。
また、ヨガのポーズによっては、お腹を引き締め「胸式呼吸」を行うことだってあります。ヨガのレッスン全体を通して様々な呼吸法が行われているのです。
ヨガの呼吸法とアーサナを通して、心と身体全体のバランスを整えることで、素敵な生活を送れるようになりたいですね。
「腹式呼吸」の練習法
両手をお腹に置いて、息を吐き切り、おへそを凹まします。
鼻から息を吸って、おへそで手を押し返すように意識します。
鼻からゆっくりと倍の時間をかけて吐き切りましょう。
気持ち悪くなければ、お腹をしっかりと背中の方まで引き込むようにします。
何度か繰り返したら、両手を外しても行います。
呼吸法の違いをしっかりとマスターしたい!インストラクターにとって大事なこと
普段自然としている呼吸に意識を向けている人は、どれくらいいるでしょうか?呼吸は、生物が生きる上で大事なこと。呼吸が浅くなると、睡眠不足や冷え、自律神経の乱れを引き起こすことだってあります。
ヨガでは、心と身体の繋がりを意識して、呼吸を特に大事なことの一つとして捉えています。また、ピラティスでも、筋肉への効果をしっかりと出すには、呼吸が大事だとされています。なぜなら、浅い呼吸では、筋肉に緊張がしたりして、狙った効果が出にくいのです。
インストラクターにとって、生徒さんの呼吸を導くことはとても大事なことです。
ヨガやピラティスでは、ポーズによっては思った通りの呼吸ができないものもあります。意識を向ける方法や、呼吸の通り道などイメージを通して伝えていかなければいけません。
呼吸法の違いをポーズごとにしっかりと把握したいところです。
ポーズに意識が向いてしまい、浅い呼吸を繰り返している人もいます。ヨガやピラティスの効果を最大限得るためにも、しっかりと伝えましょう。
呼吸を意識してエクササイズに取り組もう
ヨガとピラティスの違いについてご紹介しました。エクササイズに重要な呼吸法は、身体に必要な酸素やガスの交換、血流を流し、身体を温めてくれる効果ももたらします。
呼吸法をうまく活用して、集中力を高めたり、リラックスしたりとコントロールすることも可能です。レッスンを受けて練習をしながら、普段にも活かせると良いですね。呼吸法を深めたいと考えるなら、瞑想やヨガのレッスンがおすすめです。
せっかく身体の健康を願ってエクササイズを行うなら、その効果を最大限引出したいですよね。ポーズやトレーニングの内容にあった呼吸法を行えるように、まずは基本となる「胸式呼吸」や「腹式呼吸」に慣れて行きましょう。