代表的な5つのヨガの呼吸法をご紹介
今、話題になっている「鬼滅の刃」では、鬼を倒すために習得する数々の呼吸術がありますね!
登場人物である剣士たちは、通常では到底敵わない鬼を倒す力を、それぞれの流派の呼吸を習得することによって得ていきます。
古くからヨガも同様に、型とも言えるアーサナ(坐法)、呼吸法(調気法)を習得し心身を安定させ、五感を統制し、集中力を養うことで瞑想がおこり、その瞑想が極まった状態・サマディ(三昧・悟り)に至るための修行法として伝えられてきました。
現在は、ヨガと言えば様々なポーズをおこなうことで得られる健康増進、ダイエットや美容効果などが有名ですが、ヨガの最も重要とも言える練習方法がプラーナヤーマ・呼吸法です。
「鬼滅の刃」では作品に多くの呼吸法が登場しますが、ヨガにも多くの呼吸法が存在し、数ある呼吸法のなかでも特にヨガクラスで頻繁に練習される呼吸法が、
そして、今回ご紹介する呼吸法・浄化法である「カパラバディ」です。
ヨガにおける呼吸法とは、プラーナヤーマと呼ばれ、私たちの心と身体を動かすプラーナと呼ばれる気・生命エネルギーを体内に巡らせる方法であり、調気法とも呼ばれています。
「鬼滅の刃」の日の呼吸に近いのではないかと言われています。
「鬼滅の刃」で、剣士たちが呼吸を習得することで力を得るのと同じように、ヨガ練習者たちは呼吸をコントロールすることで、心と身体の気・エネルギーの巡りを促しコントロールし、集中力や精神力、健やかさや生命力を養っているのです。
呼吸器系の浄化法・カパラバディとは?
鼻から「フッ、フッ、フッ」と勢いよく吐き出す呼吸法をヨガクラスで練習したことがある方も多いかもしれません。最初はその力強さに驚いたり、気恥ずかしさを感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
この力強く鼻から息を吐き出していく呼吸法は「Kapalabhati(カパラバディ)」と呼ばれ、カパーラが「頭蓋骨」、バティ(バーティ)が「光る、輝く」という意味になり、直訳すると「輝く頭蓋骨」となります。
実際に練習してみると、身体が温かくなり、鼻の通りが良くなることで心と身体の重だるさが改善され、頭がスッキリした感覚を味わうことができたり、思考が明晰になり集中力とやる気がみなぎってくる感覚があります。
このカパラバディは、内側に溜まっている不純物を排出するようにイメージしながらおこなうとより効果的ですが、実際にハタ・ヨガでは「シャット・カルマ」と呼ばれる肉体を浄化する方法の一つでもあり、肺・呼吸器系の浄化法として重要とされています。
ちなみにその他の浄化法は、ダウティ(内臓などの洗浄・浄化法)、バスティ(直腸の浄化法)、ネーティ(鼻うがい・鼻孔の浄化法)、トラータカ(視力強化・眼の浄化法)、ナウリ(内臓マッサージ・腹筋の強化)があり、身体を清めるために内側の不純物を排出し、浄化する方法は古くから優れたヨーギー(ヨガ行者)により尊ばれ、秘密にするものとされていました。
これらのシャット・カルマはアーサナに比べると危険なものや現代では不自然に思うものもあり、本場インドでも適切な指導ができる指導者は少ないようです。
しかし、カパラバディは日本でもヨガクラスでおこなわれることが多く、適切な実践により多くの効果が期待できます。
カパラバディの効果と注意点
呼吸法であり、浄化法の一つであるカパラバディには、
・腹筋の強化
・腹部の脂肪燃焼効果
・内臓のマッサージ効果
・消化促進
・鼻の通りが良くなる
・呼吸器系の浄化
・思考の明晰化
・やる気・元気を引き出す
・眠気覚まし
・ストレスの解消
などの効果が期待できます。
カパラバディは鋭く吐き出す力強い呼吸法のため、間違ったおこない方や無理におこなってしまうと、酸欠のようになり頭がクラクラしたり、めまいを起こすこともありますので、必ず指導者の下で練習するようにしてください。
また、下腹部を強く収縮させるため、食後を避けて必ず空腹時に練習するようにしてください。
その他、高血圧、心臓疾患などをお持ちの方、術後すぐの方、ヘルニアなどの酷い腰痛をお持ちの方、妊娠中や生理中の方などはカパラバディの練習は避けてください。
カパラバディの練習方法
(安楽座やあぐら、蓮華座など無理のない坐法を選び、ヒップの下に坐布などを置いて土台である骨盤と支柱である背骨を安定させましょう。)
② 目を閉じ、数回深い呼吸を繰り返しリラックスしましょう。
③ 鼻から息を吸ってお腹を膨らませます。鼻から「フッ!」と力強く短く息を吐きながら、お腹(下腹部)を背中の方へ引き込みます。
④ 自然に入る息に任せお腹が膨らむのを感じ、また鼻から「フッ!」と力強く短く息を吐きながら下腹部を引き込みます。
⑤ ③~④を1秒に1回程度のペースで繰り返してみましょう。
⑥ 慣れないうちは10回程度繰り返したら、鼻からたっぷりと息を吸い、口から「はあ~」と吐き出し、
その後は自然に任せた深い呼吸をおこなってカパラバディの余韻や効果をしっかりと味わいましょう。
⑦ ③~⑥を3セット程繰り返して練習をしてみましょう。
この呼吸法は腹筋をしっかり使っておこなうことが重要ですので、お腹の動きがわからない場合は手を下腹部に当てて、勢いよく鼻から吐き出すときに下腹部がへこむのを確認しながらおこなってみてください。
吸うときはしっかりと吐き出した反動で自然に息が入ってきますので、下腹部へ意識を置いて短く強く吐き出すことに集中してみてください。
また本来、カパラバディは熟練した指導者の下で練習をすることがおすすめです。慣れないうちは急いだり、力んだりしないよう、肩の力を抜いて、ゆっくりとご自分のペースで練習なさってくださいね。
カパラバディでスッキリ!集中力と生命力を鍛えましょう!
「鬼滅の刃」はもちろんのこと、様々な武道ではまず型を整え、そして呼吸を整えることで身体と精神が整い鍛錬されていきます。
ヨガも同様に「ヤマ(禁戒)」「ニヤマ(勧戒)」と呼ばれる心の在り方を整える方法、安定した身体を養う「アーサナ(坐法・ポーズ)」、呼吸と生命エネルギーをコントロールする「プラーナヤーマ(呼吸法・調気法)」、あちらこちらに飛び回る思考を鎮めるための五感のコントロール「プラティヤハーラ(感覚制御)」、集中力を養い精神統一をするための「ダーラナ(集中)」、その集中が極まった「ディヤーナ(瞑想)」、そして瞑想が極まり悟った状態「サマディ(三昧)」と段階を踏みながら心身魂を整えていきます。
今回ご紹介したカパラバディは力強く鋭い呼吸によって、内側に熱を作り出し不純物を排出するとともに、頭や心の中のモヤモヤを手放して力強く進んでいくためのエネルギーを与えてくれます。
新型コロナウィルスの蔓延などによって、心身ともにストレスを抱えたり、先行きの不安や心配に押しつぶされそうなとき、このカパラバディを試してみてください。
ヨガは身体だけではなく、心理的な側面にも大きな恩恵を与えてくれます。大きな試練のときも、ヨガで集中と平静さ、生命力を鍛えて、この荒波を一緒に乗り越えていきましょう!