ヨガのポーズは100、200あるとも言われています。
その中の一つである「英雄のポーズ」は、ヨガのレッスンでもよく見かける代表的なポーズです。
サンスクリット語では、Virabhadrasana(ヴィラヴァドラ・アーサナ)。英語では、ウォーリア1,2,3と聴き慣れている方も多いと思います。
今回は、股関節の柔軟性にも効果のある「英雄のポーズ」についてご紹介します。
目次
英雄(Virabhadrasana ヴィラヴァドラ・アーサナ)のポーズとは?
ヨガの代表的なポーズである英雄のポーズは、初心者でも練習のしやすい、勇敢でダイナミックなポーズです。名前の由来は、他のポーズとは違い神話が基になっているそうで、シヴァ神の髪の毛から生まれた戦士を模しているのだとか。
英語ではWarrior=戦士、日本語だと英雄のポーズ、戦士のポーズと訳されていることが多いようです。
今回は、英雄のポーズ1〜3のバリエーションの基礎とそこから展開するポーズについてお話していきます。
英雄のポーズの効果
有名なポーズでレッスンでもよく出てきますが、英雄のポーズにはどのような効果があるのかみていきましょう。
体幹を鍛え姿勢をよくしよう
英雄のポーズは、体幹を支える背骨やお腹まわりの筋肉を鍛えることができます。加えて、両足を大きく開いてバランスをキープすることで、内ももにも意識を向けます。
体幹が安定することで、背筋がスッと伸びてきれいになるでしょう。
体幹は体をささえる重要な筋力です。体幹を鍛えて、疲れにくい身体を手に入れてみませんか?
代謝のアップが期待できる
代謝の向上には、筋力を使ったり、鍛えてあげることが必要です。英雄のポーズは全身を使い、呼吸を深めることで代謝の向上が期待できます。
呼吸をするのも筋肉でできた膜=横隔膜が動きます。ランニングのように激しい運動ではありませんが、ヨガは静かな動きの中でも、身体を使っているのです。
背中や肩のこりを解消
英雄のポーズでは、腕を上に持ち上げ、肩甲骨や肩を動かします。さらに深い呼吸に入ることで、背中や肩周りの筋肉をほぐしてくれるのです。
背中や肩は、動かさないでいると酷くなりがち。コリをほぐすためにも呼吸で血行を促進し筋肉を温めてあげたいですね。
血行促進
英雄のポーズは、股関節を広げ深い呼吸ができるので、リンパや血液の流れを促進してくれます。
疲れやむくみなどの改善にも効果があるのも嬉しいポイントです。
ストレス解消
ヨガのポーズの中でも、自分自身で快適なポイントを探しやすい英雄のポーズは、呼吸はもちろん、自分自身の身体にも意識を向けやすくなります。
集中すること・深い呼吸をすることは、ストレスの解消にも効果的。初心者でも行いやすいポーズなので、ストレス解消におすすめです。
股関節の柔軟性
一歩引いている片足をしっかりとマットにつけ、上半身を上に引き上げていくことで、股関節をしっかりと伸ばすことができます。
股関節が硬い人は痛みが強いと感じることもあるので、自分に合った歩幅をキープすると良いでしょう。
英雄のポーズは、全身を使い大きく足を開いて置くことで、下半身の引き締めや骨盤矯正が期待ができるポーズです。よく出てくるポーズだからこそ、しっかりとアライメントを抑えて取り組みたいですね。
英雄のポーズは身体のどこを使うのか?
1〜3のバリエーションによっても使われる部位に違いがありますが、主に下半身の筋肉を鍛える要素が多いと言えるでしょう。
また、英雄のポーズ3では、体幹やバランスにも効果があるポーズです。
・臀筋
・ハムストリングス
・下腿三頭筋
・大腿四頭筋
・腸腰筋
身体を支える中心にあるような筋肉ばかりです。普段から鍛えることが必要になる部位なので、ヨガでもよく使うと歩くのが楽になったりと良い効果が生まれます。
全身を引き締めて、爽快な気分になれるそんなポーズなのです。
英雄のポーズはこんな人におすすめ!
勇ましい英雄をイメージしたポーズは、元気をくれるだけでなく股関節や下半身の動きが少ない人におすすめです。
・デスクワークが多い
・姿勢が悪い
・やる気が起きない日が多い
・足腰の筋力を付けたい
一日中デスクワークで股関節を曲げたままだと、下半身からの水分や血液が滞りがちです。足の裏でしっかりとマットを踏みしめる英雄のポーズは、足先へも動きを作り股関節を開くことで流れをよくしてくれます。
1日の始まりや休憩などに、3〜5分ほどストレッチをしながらポーズをとって見るのもおすすめです。
英雄のポーズのやり方とコツ
それでは、基本の1〜3のバリエーションと上半身を引き上げるリバースウォーリアのやり方とコツをみていきましょう。
1.英雄のポーズ1(ウォーリアー1)
ポーズのコツ
・反り腰にならないように下腹部を引き締め腰をささえる
・前足を曲げたときに、ひざと爪先が同じ方向へ向くようにする
・両足でしっかりとマットを踏み締め後ろ足が浮かないように
ポーズの効果
・骨盤矯正
・お腹を支える腹横筋、腹直筋の強化
・股関節のストレッチ
・肩こりや腰痛の改善
ポーズで注意したいこと
股関節や膝、足首を痛めている方は、無理にポーズを取らないようにしましょう。また、腰を痛めている方は反り腰に注意してください。
ポーズのやり方
2.後ろ足の爪先を斜め45度くらい外側に向けてセットする
3.両手を骨盤に置いて、左のお尻を正面に近づけて骨盤を正面と並行に近づける
4.腰が反らないようにおへそを後ろへ。尾骨を下げる
5.吸う息で両手を上へ上げる(合掌orばんざい)
6.吐く息で前の膝をつま先と同じ正面へ曲げる
7.肩の力は抜いて目線を天井もしくは親指を見つめて呼吸を5呼吸キープする
8.反対側も行う
2.英雄のポーズ2(ウォーリア2)
ポーズのコツ
・上半身が前のめりにならないよう中心にバランスを持っていく
・肩の力をぬく
ポーズの効果
・股関節の柔軟性Up
・ハムストリングの強化
・骨盤矯正
・腰痛の改善
ポーズで注意したいこと
股関節や膝、足首を痛めている方は、無理にポーズを取らないようにしましょう。腕が上がらない時は両手を腰に置いておくと良いでしょう。
ポーズのやり方
2.前膝をかかとの上に来るように曲げる。この時まだ膝を曲げられそうならさらに足を広げる
3.上半身が前のめりにならないように下腹部を引き締め骨盤を立てる※反り腰にならないように注意
4.肩の力を抜いて両手を肩の高さに広げる
5.吸う息で背筋を伸ばし上半身を重心の真ん中におく
6.吐く息で両足を均等に踏み土台を安定させる
7.目線は前の手中指へと集中し、5呼吸キープする
8.反対側も行う
3.英雄のポーズ3(ウォーリア3)
ポーズのコツ
・後ろに伸ばしている足の爪先は床に向けておくと骨盤が開きにくい
・初めは下半身の安定を重視するので、両手は腰に置いてやると良い
・手と足で引っ張りあうイメージで真っ直ぐにしよう
ポーズの効果
・体幹の強化
・姿勢改善
・バランス感覚と集中力のUp
・ハムストリングなどの下半身の強化
ポーズで注意したいこと
バランスに不安がある方は、無理をしないで近くの壁などを利用して落ち着いてポーズを取れるようにしましょう。膝や足首に痛みがある方は無理に行わないように気を付けます。
ポーズのやり方
2.両手を頭の上に伸ばし、かかとから頭頂まで真っ直ぐにキープする
3.後ろ足をしっかりと伸ばしたまま、ゆっくりと身体を傾け、床と水平を目指す
※バランスが取りにくい時は無理をせず、手を壁に置くなどする
4.骨盤が開かないように足の爪先を床に向けておく
5.目線を親指もしくは前へ向ける
6.呼吸キープする
7.反対側も行おう
4.天を仰ぐ英雄のポーズ(リバースウォーリア/シャンティヴィラバドラーサナ)
ポーズのコツ
骨盤を自然にひらき、股関節はしっかりと開く
ポーズの効果
・姿勢の改善
・肩コリの改善
・体側のストレッチ
・股関節の柔軟性Up
ポーズで注意したいこと
首や腰を痛めている人は反りすぎたりしないように気を付けましょう。膝や足首に痛みがある方は無理に行わないようにしましょう。
ポーズのやり方
2.マットの前にタダーサナで立ち、左足を大きく一歩後ろに引いて後ろ足をマットと平行に90度にしておく
3.前膝を膝がかかとの上に来るように曲げる。この時まだ膝を曲げられそうならさらに歩幅を広げる
4.左手は後ろの腿の上に添えたまま、手のひらを上に向けた右手を上げていく※腰を反りすぎないように下腹部はしっかりと締めておきましょう
5.胸の中心が上に上がるようイメージしながらゆっくりと呼吸を入れる
6.呼吸キープして反対側も行う
同じ姿勢でできるポーズ
英雄のポーズは、さまざまなヨガのポーズへとつなげることが可能です。トリコナーサナやパールシュヴァコナーサナへの展開など、下半身は同じまま次のポーズへと移ることができるポーズばかり。
インストラクターとしても、アーサナをきちんと抑えておきたいです。さまざまなシークエンスをできるポーズだからこそ、怪我のないよう安全に行いましょう。
英雄のポーズのインストラクションをするときの注意
インストラクターが英雄のポーズを伝えるときに気をつけて欲しいのが、膝や股関節、腰の向きなどです。
また、軽減法で伝えることも大切。意外とできると頑張らせてしまい、怪我につながることも少なくありません。
人によっても注意点が変わってきます。弱い部分や骨格の違いなどがあるのに、みんなが同じようにできるはずがないのです。
まずは、本当に骨盤の向きが正面に向いていた方が良いのか?
そんな疑問を持ってみるのも大事かもしれませんね。
特に英雄のポーズ1は膝にねじりが入るので、膝が弱い方には、歩幅を広げたり、狭めたりするインストラクションが必要です。
身体への負担を軽減して、そのとき求める効果を最大限に生かしてあげましょう。
英雄のポーズがうまくできない時の対処法
インストラクターとして前に立つ時は、英雄のポーズがなぜうまくできない理由を探しましょう。
股関節の柔軟性が足りない時は、足を少し外に出しておくと両足のバランスが取りやすくなります。また、イラストのようにポーズの下半身のみを行うこともおすすめ。
腹筋やお腹周りの筋肉が弱く下腹部への力が入れにくい方も多いです。ポーズに入ると、反り腰になりやすいので注意が必要となります。
骨盤の向きに気を付けながら深く踏み込まないようアシストしてあげると良いですね。
原因を探り、本来の効果を得たいポーズのポイントを身につけていくことは大切なことですね。
骨盤矯正にもなる英雄のポーズを身につけよう
英雄のポーズはほとんどの方が挑戦したことのあるポーズでしょう。バランスや下半身の強化は他のポーズにも繋がるヨガでも大事なポイントです。
英雄のポーズは、骨盤周りのストレッチや強化にも効果があるので骨盤矯正にも効果が期待できます。きれいな姿勢を作るヨガの代表的なポーズ。
自分にあった形から始めましょう。