ウェルネスストーリーでは毎月1回、ヨガ・美容・健康に関わるプロフェッショナルなゲストをお呼びして、セミナーを行っていきます。
今回はその第一弾!
「管理栄養士さんから学ぶ、今日から使える美腸食とは!?」をテーマに腸活ダイエットについて講義していただきましたので、その内容を掲載します。
以下はセミナーのダイジェストです。
ゲストスピーカーのプロフィール
大学卒業後、病院の管理栄養士として、生活習慣病をはじめ、腎臓病、クローン病などの消化器疾患、神経性食欲不振症など、多様な疾患をもつ患者さんへの栄養相談を実施。
環境や生活背景に寄り添ったアドバイスを心掛けた。
また、入院患者さんの栄養管理にも従事。
同じ治療内容でも個々の状態によって効果は異なり、あるいは、体力や栄養状態が十分とみなされるまで、治療を始めることが困難な場合もある。
栄養管理は、できる限り栄養状態を改善させ、治療効果を上げることが主な狙いとなる。
また、院外活動への参加も積極的に行った。
その後、2019年に開院した糖尿病・内分泌内科専門クリニックにて、立ち上げ準備やシステム構築に携わる。さらに、通院が困難な方への在宅診療に同伴し、医師の診療サポートや、摂取栄養量の把握および栄養状態の評価を実施した。
予定していた海外渡航時期まで勤務。
海外での生活に身を置き、自分がどのように成長できるのか試してみたいという思いから、2020年にオーストラリアへ渡航。健康志向がますます高まる雰囲気を肌に触れながら「食」を探求中。
日本のヨガスタジオのワークショップイベントとして、不定期でオンライン栄養クラスを実施している。
心地よいと感じる理想の食生活に近づくためには、様々な視点から栄養の理解を深めることが大切だと考える。皆さまが、身体もココロも健やかに過ごせるようサポートすることを目指し、活動中。
《資格》
・管理栄養士
・病態専門管理栄養士
《経歴・実績》
・大学病院勤務(〜2018年)
・糖尿病・内分泌内科専門クリニック勤務(2019年)
・特定保健指導(厚生労働省プログラム)
・栄養相談 約2500時間以上
・医学/栄養関連の学会での症例報告
・市民公開講座・糖尿病患者会 講師を担当
・料理教室イベントでの講演
腸活とは!?
腸活とは、“身体とココロの健康”に対して腸からアプローチすることです。
腸は消化・吸収以外にも重要な機能を担っています。
腸内環境の乱れは様々な不調や病気に繋がり、さらにはココロにまで影響します。
美しい腸へと育てることでカラダ全体の体質が変わり、病気になりにくい身体づくりだけでなく、アレルギー改善、美肌やダイエットなど美容への嬉しい効果も盛りだくさんです。
では、理想の腸内環境とはどのような状態をいうのでしょうか?
改めて腸のしくみや働き、免疫力との関係を知り、まずは腸への理解を深めていき、そこから腸が喜ぶポイントを探っていきましょう。
ダイエットに取り組みたい方はもちろん、体質改善が目的の方も、今すぐ「腸活」を始めたくなるはずです。
すでに、腸のために積極的に摂っている食べ物や、意識している習慣があれば、「その食べ物が実際に腸でどういう働きをしてるのかな?」と考えてみると、より腸活の手助けになります。
管理栄養士さんから学ぶ!今日から使える美腸食!のイベントがございます。ぜひチェックしてみてください。
→第1弾特別イベント!「腸活」〜ダイエットのカギは腸が喜ぶ食習慣〜(イベントは終了しました)
腸のしくみと働き
美腸を目指すにあたり、まずは腸の構造や、基本的な働きをおさらいしておくことは欠かせません。
小腸は6〜7m、大腸は1〜2mもあります。
小腸粘膜には、「腸絨毛」という突起が無数にあります。腸絨毛をさらに拡大すると微絨毛という細かい突起があります。このような構造よって表面積が大きくなり、たくさんの栄養素が腸の血管に入っていきます。
そして、腸内には腸内細菌が約1000種類、約100兆個も生息しています。びっしりと生息している様子がお花畑のようにみえることから「腸内細菌叢」や「腸内フローラ」と呼ばれます。「マイクロバイオータ」と言われることもあります。
腸の主な働きには次のようなものがあります。
・一部のビタミンの合成
・神経伝達物質の合成
・免疫調節
・短鎖脂肪酸の生成
このような全ての働きも、腸内環境が整っていればこそ期待できるものです。
身体だけでなく“ココロ” への影響があるのはなぜ?
脳と腸は、自律神経系や内分泌系(つまりホルモン)、免疫系を介して密接に関わっており、これを「脳腸相関」と呼びます。
ストレスや緊張が原因でお腹の調子が悪くなったり、腹部症状が出ることがありますよね?
そのような、脳から腸に向かっていく信号だけではなく、腸の乱れが最初の発起点となって脳に伝わり、精神的ストレスが生じる場合もあります。
そして、このストレスがまた消化管へ伝達され、消化管の異常を悪化させるという、負の連鎖に繋がることもあるんです。
また、リラックスや幸福感などの感情を生む神経伝達物質に「セロトニン」があります。
興奮物質であるノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑える働きがあります。感情をコントロールする物質ですので脳にありそうなイメージですが、このセロトニンのモトは約90%が腸に存在します。
そして、セロトニン産生に、腸内細菌が関与しているのです。
腸内環境が整っていると十分な量のセロトニンが産生されて精神状態が安定し、反対に、腸内環境が乱れているとセロトニンが足りずイライラや不安感、不眠の原因になります。
腸内細菌と免疫・体質
腸内環境と関わりが深い不調・病気
アレルギー、肌荒れ、不眠症、認知症、肥満、糖尿病、がん、炎症性腸疾患…、たくさんあります。
たとえば皆さんが気になる、肌のトラブルの原因の一つは便秘です。便秘になると、アンモニア、フェノール、硫化水素などの腐敗物質が腸内に蓄積され、それが吸収されて血液にのり全身に行き渡ることで、肌荒れを引き起こします。
また、腸が慢性的な炎症状態にあることで、病気を引き起こすとも考えられています。
「炎症」というと、スポーツで痛みや腫れが出たり、風邪をひいて熱が出ることが思い浮かぶかもしれません。
このような明らかな症状が出るもの以外にも、炎症というのは身体の至るところで起こり、大きな炎症だけでなく、自覚症状が無いような小さな炎症が長期的に続くこともあります。これが慢性的な炎症状態ということになるのです。
理想の腸内細菌の割合
善玉菌、悪玉菌、日和見菌が2:1:7の割合。菌の総重量は1.5kgにもなります。
善玉菌は、腸内を酸性にすることにより、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にし、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、発がん性をもつ腐敗産物の産生を抑制する腸内環境を作ります。また、腸内でビタミンを産生します。
悪玉菌は、細菌毒素や発がん性物質を産生したり、ガスを発生させたりします。
そして、日和見菌はというと、何もしないのかなと思いきや、善玉菌か悪玉菌、優勢なほうに味方します。私たちのカラダが健常なときはおとなしくしていますが、免疫力が低下していると体を攻撃します。
腸内環境は、食事や運動、睡眠などの影響で変化してします。また、抗生物質を内服したり、手術、食中毒でも大きく変動します。
「痩せ菌・デブ菌」ってどの菌のこと?
腸に着目してダイエットに取り組んでいると、痩せ菌、デブ菌というのを耳にすることがあるかもしれません。痩せ菌を増やすことで食べても太りにくいカラダづくりを目指すことです。
日和見菌のうち、バクテロイデスという種類を痩せ菌、ファーミキューテスという種類をデブ菌としています。
鍵となる「短鎖脂肪酸」
そもそも、太るというメカニズムは、脂肪細胞が血液中の脂肪を取り込むことで肥大化するという状態です。この脂肪細胞にブレーキをかけるのが短鎖脂肪酸。
脂肪細胞は、短鎖脂肪酸の存在をセンサー(受容体)で感知すると脂肪の取り込みを停止します。
また、短鎖脂肪酸は交感神経に働き、全身の代謝を活発化させます。
この重要な短鎖脂肪酸を、実は一部の善玉菌が作り出しています。
肥満の人では、そうでない人と比べて短鎖脂肪酸をつくる善玉菌が少ないとされています。
美腸作りには「多様性」も重要
腸内フローラは人それぞれ違いますが、美腸に共通しているのは「多様性」があるということです。腸内細菌は約1000種類とお伝えしましたが、それぞれの菌で好みのエサも異なってきます。
ですので、例えば食物繊維にしても、ペクチンやグルコマンナン、β-グルカンをはじめ、たくさんあり、少ない種類を多く摂るより、多くの種類を摂ることが重要です。
同じ食べ物やサプリメントを摂取しても、効果が人によって違うということがありますよね。効果が腸内細菌を介して発揮される場合、効き目は人それぞれ変わってくると考えられます。
腸が喜ぶ食習慣とは!?
ポイントは、「善玉菌そのもの」と「善玉菌の栄養源」の両方を摂ることです。
善玉菌そのものは「プロバイオティクス」と呼ばれ、発酵食品や整腸剤がこれに当てはまります。
発酵食品には、ヨーグルトや納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなどがありますね。
一方、善玉菌の栄養源となるものは「プレバイオティクス」と呼ばれ、水溶性食物繊維やオリゴ糖が当てはまります。
食物繊維は、食物繊維は腸で水分を吸収してカサを増し、排便を促すといった物理的な働きだけではないんです。
水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになることで善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸を産生させます。豆類、いも類、根菜類、海藻類、適度に熟した果物などに含まれます。
そして、オリゴ糖も腸内細菌によって利用されます。
アスパラガス、玉ねぎ、ブロッコリー、ゴボウ、アボカド、にんにく、バナナ、蜂蜜などに多く含まれます。
市販のオリゴ糖製品を利用する場合は、オリゴ糖の他にブドウ糖が多く含まれている製品もあるため、原材料やエネルギー量表示を確認してみてくださいね。
短鎖脂肪酸は、直接食べ物から摂取するのが難しく、含まれているものを挙げるとすれば、ぬか漬けがあります。ですが、毎日欠かさず食べる方は多くないでしょうし、塩分の摂りすぎに繋がる可能性があります。
ですので、腸内細菌に作り出してもらうのが効率良い方法といえます。
どんなことから始めようか、迷ったら
とは言え、毎日の食事を整えるのは簡単ではありませんよね。そこで、ちょっとした工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
主食のご飯を工夫してみる
ご飯が食卓を占める割合は比較的大きいので、いつもの白ご飯を、玄米やもち麦ご飯に変えてみると、食物繊維の摂取量を簡単に増やすことができます。玄米に多く含まれるのは不溶性食物繊維、もち麦には水溶性食物繊維(特に「β-グルカン」)が豊富に含まれています。
ミューズリーを朝食にプラス
ミューズリーとは、オートミール(オーツ麦を脱穀したもの)にナッツやドライフルーツを加えて食べやすくしたもの。不溶性と水溶性の食物繊維がバランス良く含まれています。
グラノーラはシロップでコーティングされているのでカロリーが高めですが、ミューズリーと混ぜてカサ増ししたり、ヨーグルトに入れてみるのはいかがでしょうか。
メニューに困ったら具だくさんのお汁物
野菜料理で悩んだら、とりあえずお汁物にするのも一つの方法ですよね。
納豆やキムチなどを冷蔵庫に常備
発酵食品である納豆やキムチは気軽に常備しやすいですね。
腸が乱れる習慣を避けることも大切
ここまでは、摂るものに着目してきました。反対に、減らしたい食材や気を付けたい食習慣へ意識を向けることも重要になってきます。
◎食事時間が不規則。夕食から就寝までの時間が十分でない。
寝ている間に腸は活動し、翌朝の排便の準備をします。
◎肉食に偏っている。
動物性たんぱく質や脂質の多い食事に偏ってしまうと、悪玉菌のエサになり、有害物質が増加します。
◎白砂糖の摂りすぎ
白砂糖も悪玉菌の大好物です。
◎お酒の量が多い。
◎抗生物質を飲み続けている。
抗生物質は腸内環境を乱します。もちろん治療のために抗生物質を内服することは必要なので仕方がないのですが、必要でない場合は中止しましょう。
まとめ
これまでは、腸に効く食材といえばコレ、という風に、単体で言われることも多かったですが、重要なのは「多様性」です。
また、腸に良い食材を摂っても便秘がなかなか解消されないという場合は、腸が乱れる習慣が一因の可能性もあります。
食習慣をちょっとだけ見直し、小さなコツを生活に取り入れ、内側から美しさを手に入たいですね。
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