足を曲げ寝ころんだ「仰向けの英雄のポーズ」について、やり方と効果をご紹介します。
このポーズでは、ひざの痛み・反り腰が発生しやすいです。何のためにヨガをするのか、目的を理解することでケガを防ぐことができ、効果が実感できます。
仰向けの英雄のポーズのやり方
- 正座になり、かかとをお尻の横へ移動する(割座)
- 背中を後ろへ倒し、肩の下にひじを置き、手のひらは床へ置く
- 一呼吸し、余裕があれば背中を床に寝かせる
- 両手を頭の方へ伸ばし、左右のひじを抱える
- ゆっくり5呼吸する
仰向けの英雄のポーズの効果
足のむくみ解消
体のむくみはリンパの滞りによるものです。リンパ管は、自らリンパ液を流すことができますが、その流れはとても緩やかなものです。周囲の筋肉が伸び縮みすることで、ポンプの代わりとなりリンパ液の流れを促してくれます。
それとは逆に、筋肉がかたくなっているとポンプの役割を果たせず、リンパの流れが滞ってしまいます。こちらのヨガポーズでは、大腿四頭筋(太もも前側)の柔軟性を高めることで足のむくみを解消させることができます。
美脚/X脚・XO脚の改善
左右のひざが内側に向き合い、ふくらはぎが離れているX脚やXO脚は、日常動作や生活習慣などの筋肉のクセによって作られていることが多いです。放置してしまうと、ひざの軟骨がすり減り、痛みを引き起こす危険性もあります。
また、歩き方が悪くなることで、扁平足や外反母趾にも繋がってしまいます。足を組むクセがある人や、お尻の筋力が低下している人は、大腿四頭筋のストレッチをすることで美脚に近づくことができます。
反り腰の改善
ひざ関節と骨盤の傾きは連動しながら動いています。X脚やXO脚のように、ひざが内側に向き合っているときは骨盤が前に倒れています。骨盤は、前にも後ろにも自由に動かせることが正常です。
反り腰の人は、骨盤が前に倒れた状態が長時間つづいています。(※骨盤後傾でも反り腰は起こります。)これは、かたくなった大腿四頭筋に骨盤が引っ張られていることが原因です。柔軟にすることで骨盤の動きが自由になり、反り腰が改善できます。
気持ちが前向きになる
人間は不安や恐怖を感じると、体育座りのような姿勢をとったり、お腹を抱えるように体を丸める習性があります。心の状態は体に現れますが、ヨガでは体を変えることで心の状態を調整することができます。
このヨガポーズでは、太もも・お腹・胸などの体の前側を開くことで、閉じていた気持ちが明るく前向きになっていきます。
食べすぎによる苦しさを解消/消化力アップ
食べすぎてお腹が苦しいときは、腹部を伸ばすことで消化力が高まり回復が早くなります。お腹がパンパンに張った状態は、胃や腸に大きな負担がかかっています。
仰向けの英雄のポーズで内臓を刺激することで、働きがよくなり食べすぎによって発生した苦しさが和らぎます。日頃から胃・腸の働きをよくしておけば、便秘の防止やダイエットにも効果があります。
仰向けの英雄のポーズのコツ
運動して筋肉を温めておく
太もも前・お腹・胸といった体の前面の筋肉は、日常生活では縮まったままになっています。いきなり伸ばそうとすると、かたい筋肉に引っ張られ、ポーズが取りづらい・ひざや腰に痛みがでる等、効果が感じられなくなってしまいます。
特に、反り腰・腰痛がある人は、太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)のハリが強くなっています。このポーズをやる前に「橋のポーズ」や「船のポーズ」などで筋肉を温めておくことでストレッチが効きやすくなります。
腰を反りすぎない
仰向けの英雄のポーズでは、最終的にはお尻と背中を床に着けた状態で、腰と床の間には手のひら1枚分のスペースを空けることが理想です。それ以上に隙間が空いてしまうと、腰痛や反り腰になってしまう危険性があるので注意しましょう。
腰に隙間が空いてしまう場合は、ヨガボルスターや厚めのブランケットを腰から頭の下まで敷くようにします。この時、お尻は床へ着けましょう。
また、背中を床から浮かせたままポーズを保つ方法もあります。肩の真下にひじを置き、床を押すと体幹を安定させたまま太もも前側が気持ちよく伸ばされます。
片足ずつ慣らす
仰向けの英雄のポーズの完成形では両足を折り曲げていますが、この体勢は難易度が高いです。まずは片足ずつ、筋肉を伸ばすことに慣らしていきましょう。片足ずつ行う場合は、もう片方の足を伸ばすやり方もいいですが、ひざを立てて外側に開くのもおすすめです。
リラックスできるところを見つけ、穏やかな呼吸を流しましょう。
おすすめYouTube4選
【仰向けの英雄のポーズ/サドル・スプタヴィーラアーサナ/初心者ヨガ…】
仰向けの英雄のポーズの完成形を知りたい方は、こちらの動画を参考にしましょう。両ひざを曲げ、背中を床へ着けたポーズの取り方を確認することができます。
また、いきなり背中を床へ下ろさずに、一度ひじを着ける丁寧なステップを踏んでゴールを目指すことができます。難しい場合は、同チャンネルで軽減法も紹介されているのでチェックしてみてください。
【仰向けの英雄のポーズ】
こちらの動画は、両ひざを曲げる割座(わりざ)姿勢の取り方を丁寧に紹介しています。
ひざ・腰に不快感がある方や、太ももの伸びが感じられない方は、正しい割座を行うことでポーズが快適になります。動画の後半ではシャバーサナの時間も用意されています。
【陰ヨガ/サドルのポーズ 高西由貴子】
こちらの動画ではヨガボルスターやヨガブロックを使いポーズをとります。ヨガの種類の一つである〝陰ヨガ〟では「仰向けの英雄のポーズ」とは呼ばずに「サドルのポーズ」と呼びます。
陰ヨガは一つのポーズを保つ時間が長く、動画内でも5分ほど同じ姿勢をとります。じっくり時間をかけることで身体の深いリラックスが味わえます。
【筋肉痛の時のストレッチ/もも前・大腿四頭筋を伸ばす】
仰向けの英雄のポーズが苦手な方にはこちらの動画がおすすめです。ひじを床に着け、背中を浮かせた片足の仰向けの英雄のポーズが紹介されています。
ヨガポーズがメインの動画ではないですが、仰向けの英雄のポーズに関わる足首や太ももの柔軟性を高めることができます。完成形の準備運動としても効果的です。
仰向けの英雄のポーズに関するQ&A
このポーズでは「もも前側」「腹部」「胸」を伸ばしています。どこを何のために伸ばしたいのか細かく分け、他のポーズやストレッチなどで各部位の柔軟性を高めていきましょう。筋肉が伸びることに慣れてくると、いずれ仰向けの英雄のポーズが取れるようになっていきます。
チャレンジしたものの、思うような結果にならないことは日常生活でもしばしばあります。そんなときは、結果を受け入れる心の練習だと思ってヨガを行うといいです。
まとめ
仰向けの英雄のポーズは、太もも面前がストレッチされることで、下半身のむくみ、X脚・XO脚、反り腰などが改善されます。また、身体の前面を開くことで、心が前向きになったり、消化力が良くなります。
ポーズに入る前に準備運動をし、必要に応じて道具を使うことで腰の安定性が守られ、関節の痛みを防ぎ深いリラックスが味わえます。