今回は「肩立ちのポーズ」のやり方と効果をご紹介します。
いくつかの呼び名があり「ショルダースタンド」「ヨガの女王様」「ヨガの母」と呼ぶこともあります。
ヨガの語源であるサンスクリット語では、Slamba Sarvangasana(サーランバサルヴァンガーサナ)と呼び、「体の全てが支えられたポーズ」という意味があります。
肩立ちのポーズのやり方
- 背中が床に着くよう寝ころがる
- 両手はお尻の横へ置き、手のひらを床へ着ける
- 手で床を押し、両足を頭の方向へ倒す
- 両手で腰を支え、腕と肩を安定させる
- 足先を天井へ伸ばし、5呼吸する
肩立ちのポーズの効果
甲状腺機能をよくする
肩立ちのポーズでは首周りに刺激が入るため、のどに位置する甲状腺の働きがよくなります。甲状腺ホルモンの乱れは、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や、橋本病(甲状腺機能低下症)に関わります。
肩立ちのポーズをすることで、甲状腺に関わる病気の予防や改善に期待できます。肩立ちのポーズでは首の後ろを伸ばすため、それとは反対に、のどを伸ばす「魚のポーズ」と組み合わせることで更にバランスがよくなります。
代謝が上がる
甲状腺ホルモンは血液の流れによって全身の細胞に影響を与えます。甲状腺が刺激されることで脂肪や糖分が燃焼され、新しいエネルギーを作り出すサイクルが生まれ、新陳代謝が促進されます。
また、ホルモンだけでなく、筋肉においても体幹を強く使うため、燃焼力の高い遅筋(赤筋)が活発になり基礎代謝を高めることができます。
便秘解消
日頃、重力によって下がりがちな内臓を正しい位置に戻すことで、胃・腸の働きがよくなり、消化力を取り戻すことができます。何も食べていないのにお腹が張って苦しいとき、ガスが溜まっているとき等にもおすすめです。さらに、胃下垂による暴飲暴食を防ぐこともできます。
ストレス解消
強いストレスを感じると、お腹が痛くなったり、便秘や下痢になってしまうことがあるように、ストレスと内臓には密接な関係があります。内臓の働きが正常になることで、溜め込んでいたストレスも解消されていきます。
また、首周りをアプローチするため、自律神経の調整によってもストレスが軽くなります。
美容/アンチエイジング
ホルモンバランスが整うことや、新陳代謝が上がること、そして腸内環境が良くなることは、美肌や若々しさにも効果を発揮します!顔・頭に血液がしっかり流れることで、酸素や栄養素が行き渡り、シワや白髪を減らすとも言われています。
下半身には古くなったリンパ液が溜まっているため、心臓よりも高くすることで毒素の排出も促してくれます。
禁忌
次のような症状がある場合は、肩立ちのポーズは控えましょう。
・生理中
・頭痛
・下痢
・高血圧
・心臓疾患
・妊娠中(後期)
注意:首を動かさない
ポーズの最中は、首を動かさないようにしましょう。首は面積が狭く不安定でありながら、脳から全身へ指令を送る神経が通る重要な部分です。
肩立ちのポーズのコツ
ひじで床を押す
ついつい足を上げることに気を取られてしまいますが、ポーズ名の通り「肩」が大きなポイントとなります。肩で全身を支えるには、腕の安定性が欠かせません。肩甲骨を軽く寄せ、ひじの位置は八の字ではなく「=(イコール)」になるよう左右を並行にします。
ひじで床を押すことで、腕・肩でも床を押しやすくなり、その力が足を持ち上げてくれます。
お腹の力でお尻を浮かせる
反動で足を上げる初心者さんが多いですが、お腹の力が抜けていると、思うように足が持ち上がりません。
ポーズに入る段階の「肩立ちのポーズのやり方:③」を行う前に、一度ひざを曲げ、お腹の力を使ってひざをアゴの方へ近づけるようにしてみましょう。
マットからお尻が浮く感覚を覚えることが目的です。お腹の力でお尻を浮かせられるようになると骨盤が起き上がり、足もキレイに伸ばすことができます。
道具を使う
首から背中にかけて痛みがある場合や、ストレートネックの人は、ブランケットを使いましょう。ブランケットを使う際は、頭はマットへ着け、肩から背中にブランケットが当たるようにします。首のカーブが穏やかになり、首への負担を減らすことができます。
お尻が持ち上がらない・足を天井へ伸ばせない、そんな場合はイスや壁といった道具を使い、体へ感覚を覚えさせていきましょう。
おすすめYouTube3選
【肩立ちのポーズ/ヨガポーズ解説/運動学・解剖学の説明】
ポーズをとる前に筋肉や内臓のイラストが紹介されており、頭の中でイメージしやすくなります。ポーズについても細かく説明があり、ヨガ初心者さんでも挑戦しやすいです。
【甲状腺機能改善/ヨガ,肩立ちのポーズ,鋤のポーズ/やり方/サルヴァンガーサナ…】
こちらの動画では、肩立ちのポーズと組み合わせて行うことの多い「鋤のポーズ」と一緒に、2ポーズをつなげて行うことができます。特に、甲状腺機能を高めたい方におすすめの動画です。
【RESOLUTION YOGA 2020/肩立ちのポーズ&ヘッドスタンド】
初めて肩立ちのポーズをする場合は、怖さがあったり、筋力不足によって勢いをつけて行ってしまうことが多いです。こちらの動画では初心者さんに向けて、壁を使った練習法が紹介されています。
また、デリケートな首を守るためのブランケットを使用した方法や注意点を確認することもできます。
肩立ちのポーズに関するQ&A
まとめ
肩立ちのポーズでは甲状腺が刺激され、ホルモンバランスの調整・代謝アップ・アンチエイジングに効果が期待できます。さらに、内臓機能・自律神経系の働きがよくなることで、ストレス解消・便秘解消にもつながります。
生理中、高血圧の人は控えた方がいいように、注意事項などもあります。
日々のヨガポーズで体幹を鍛え、肩周りを柔軟にしておくことがポーズのコツです。ブランケットや、壁を積極的に使った練習がおすすめです。