身体の不調やケガの早期回復に貢献できる「柔道整復師」の資格。
あらゆる場面で活躍できるやりがいのある仕事ですが、まだまだ資格や内容については多くは知られていません。
また、資格に興味があっても、次のような疑問や不安を抱えている方も多く居ます。
「資格はどうしたら取れるの?」
「柔道整復師の仕事内容は?」
「柔道整復師は需要があるの?」
そこで、今回柔道整復師である私が、柔道整復師を目指す方の不安や疑問を解消していきます。
具体的には資格や年収、専門学校の選び方など、今から柔道整復師を学ぼうとしている方に有益な情報をお伝えします。また、柔道整復師と仕事内容が似ている理学療法士や整体師との違いについても詳しく説明します。
柔道整復師は、学び方や仕事内容を理解すればするほど大変魅力的な資格です。
ぜひ、こちらの記事を最後までお読みいただき、柔道整復師について理解を深めていきましょう。
目次
柔道整復師はどのような資格?
柔道整復師は、国家試験を受けて合格すると厚生労働大臣免許がもらえる国家資格です。
仕事内容は、主にケガや交通事故など外傷性が明らかな原因で起こる骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などに対して治療を行います。
なお、日本では「治療」の言葉は、医師が患者に対して行う行為のみ使われるため、柔道整復師が行う行為は「施術」を用います。
柔道整復師がおこなう施術である柔道整復術は、日本古来の武術に由来しており、さらに武術には「柔術」があります。
柔術とは素手や武器で戦う武術のことです。
何らかの原因で人が損傷した骨・関節・筋肉・靱帯などに対して武術を施すのが、柔道整復師の役割になります。
柔道整復師になるには?
柔道整復師は国家資格のため、厚生労働省が実施する国家試験に合格しなければなりません。
試験資格を得るには、次の2種類の方法があります。
・文部科学省が指定した4年制大学で臨床系専門科目を履修
履修内容は、生理学や解剖学などの身体の仕組みや外科学や整形外科学などのケガに関する知識を座学で学習します。
また、骨折や脱臼の整復や包帯実技、その他実習なども行います。
その後年に1回、国が定める3月に国家試験を受験して合格することで、晴れて柔道整復師の資格を得ることになります。
柔道整復師の国家試験合格率は毎年変動はあるものの約60%前後になり、合格への道は決して難しいものではありません。
なお、学校にもよりますが授業時間は、1日3時間程度で週5〜6日。コースは午前や午後、18時以降の夜間があります。
私は、夜間コースで専門学校に働きながら3年間通いましたので、社会人でも仕事と両立しながら通うことができます。
資格取得後は、実務経験と研修の受講により保険適用で施術が行える「接骨院」や「整骨院」で開業ができます。
理学療法士や整体師とどう違うの?
柔道整復師の仕事内容は、他の資格と良く似ているところがあります。
次に紹介する理学療法士や整体師は、柔道整復師と仕事内容が似ていますが、全く別物になります。柔道整復師と理学療法士や整体師の違いを確認していきましょう。
柔道整復師と理学療法士の違い
柔道整復師と理学療法士はどちらも国家資格でリハビリテーションの現場で活躍する共通点があります。
両者の違いを次にまとめます。
柔道整復師
- 外傷治療を自己判断によって行う
- マッサージなどの手技療法を行う
- 接骨院や整骨院として開業ができる
理学療法士
- 医師の指示の下、治療を行う
- 主に動作練習や歩行練習のリハビリを行う
- 病院や整形外科で働くことが多い
柔道整復師と整体師の違い
柔道整復師と整体師は、どちらも施術者である点では共通してますが、次のような違いがあります。
柔道整復師
- 資格には国家資格が必要
- 保険適用で施術ができる場合がある
整体師
- 国家資格がなくてもできる
- 施術は実費のみ
特に、国家資格の有無は大きな違いです。柔道整復師は医師の同意があれば骨折や脱臼の施術ができます。また、接骨院や整骨院では、骨折、脱臼、打撲及び捻挫の施術を受けた場合に保険の対象になります。
一方、整体師は民間資格で基本的に誰でもなれるため、技術や知識の個人差も大きくなります。
気になる柔道整復師の給料は?
柔道整復師で働いたら、いくらぐらい給料がもらえるのか気になるところですね!
柔道整復師の賃金相場について、残業手当などは省いて「求人ボックス」のサイトを参考におおよその平均給料をお知らせします。
柔道整復師の仕事の平均年収は、約368万円。月給で換算すると31万円、初任給は26万円です。
また、アルバイト・パートの平均時給は1,096円、派遣社員では1,500円となります。柔道整復師は接骨院や整骨院で開業できるメリットがあり、人気院になると年収1,000万円も夢ではありません。
(参考URL:求人ボックス給料ナビより)
専門学校の選び方
ここからは、資格を取るために大切な専門学校などの養成施設の選び方についてお知らせします。
学校選びには次のようなポイントがあります。
- 授業カリキュラムが充実な学校
- 働きながら通いやすい学校
- 就職先が安心な学校
- 安く通いたい
それぞれの特徴を紹介します。
授業カリキュラムが充実な学校
授業カリキュラムが充実している学校には、次のような特徴があります。
- 週6日コース
- 医師など専門の先生が多い
- 資格対策がしっかりしている
授業に時間をかけることで、一つ一つの理解度を深めていきます。また、先生の質も高く各授業に専門の先生が授業を行います。
国家試験の合格率は高いですが、その分授業料も高くなります。
働きながら通いやすい学校
働きながら通いやすい学校には、次のような特徴があります。
- オンラインを利用した学校
- 夜間部コースがある
- 補講がしっかりしている
基本的には週5〜6日の学校が多いですが、オンラインと通学を合わせた学校もあり、社会人の方でも通いやすいです。私は夜間部コースでしたが、働いている生徒が多く、みんなモチベーション高く勉強していました。
就職先が安心な学校
就職先が安心な学校には、次のような特徴があります。
- 生徒数が多い
- 柔道整復師以外もコースが充実
- 柔道整復師以外の技術習得ができる
生徒数が多いと言うことはそれだけたくさんの就職先があり、そこからの求人募集が望めます。また、柔道整復師以外のセミナーが充実していると、他の手技療法のアイテムが増えるため即戦力で働きやすくなります。
安く通いたい
安く通う方法や学費の心配がある方には、次のような方法があります。
- 教育訓練給付制度を使う
- 各種奨学金を使う
柔道整復師は、厚生労働大臣指定専門実践教育訓練給付の対象講座に選ばれています。学校によっては条件を満たせば安く通うことができます。授業料も奨学金制度を利用すると金利も安いため、安心して通えます。
柔道整復師に向いている人と向いていない人とは?
柔道整復師の資格を取っていざ働いてみると、思い描いたイメージと違って資格が活かせなくなると非常に残念です。
そこで、柔道整復師が向いている人と向いていない人について説明します。もちろん当てはまらない場合もありますので、参考程度にしてください。
柔道整復師に向いている人
下記に、柔道整復師に向いている人について紹介します。
- 手先を使う作業が得意な人
- 技術向上に勉強熱心な人
- 人とお話するのが好きな人
- 観察力がある人
- 清潔感がある人
- 他人に寄り添う気持ちがある人
柔道整復師は、ケガや痛みなどで悩みを持っている人を相手にします。そのため、他人を不快にさせない外見はもちろん、相手に寄り添う気持ちが大切です。
技術は日進月歩のため、向上心があれば年々良い施術家になれます。
柔道整復師に向いていない人
次に、柔道整復師に向いていない人について紹介します。
- 結果がでないと落ち込んで立ち止まる人
- 不潔な人
- 時間にルーズな人
- 勉強が嫌いな人
- 体力に自信がない人
柔道整復師は、痛みや不調で苦しむ人の手助けになる仕事です。時には、ご自身が思う結果にならないこともあるでしょう。
そこで落ち込むのは人間だからあることですが、立ち止まることなく進む姿勢が大切です。
また、柔道整復師は基本的に立ち仕事や同じ姿勢が多いため、体力に自信がないと仕事に大変さを感じるかもしれません。
柔道整復師は需要があるのか?気になる就職先とは?
柔道整復師を取得した後、どのような職場で働けるのか、あるいは現在どれだけの需要があるのか気になりますね!
次に、柔道整復師が求められる職場についてお伝えします。
- 接骨院、整骨院
- 整形外科
- 介護や福祉施設
- スポーツトレーナー
それぞれの内容を確認していきましょう。
接骨院・整骨院
接骨院や整骨院は、柔道整復師の多くの人が働く地域密着型の場所です。
子どもから大人まで日常生活やスポーツ場面で起きた捻挫や打撲など、ケガの回復に訪れます。また、慢性的な肩こりや腰痛などで困っている患者さんが、身体のメンテナンスのために訪れる場合もあります。
接骨院や整骨院では独自のメソッドを教えてもらえることも多く、働いてからも技術向上が目指せます。
なお、接骨院、整骨院ともに呼称が異なるだけで、どちらも柔道整復師が開業した施設になり大きな違いはありません。
整形外科
病院やクリニックでも柔道整復師が活躍しています。特に、多いのが整形外科です。医師や理学療法士など他の専門職と連携しながらリハビリやマッサージ業務を行います。
さまざまな症状のケガや病気の人が訪れるため、幅広い視野で多くのことを学べるメリットがあります。
介護や福祉施設
デイサービスや特養などで機能訓練指導員として活動します。
主に、高齢者の利用者がいつまでも健康で自立した生活ができるように、一人ひとりに合ったプログラムを作成、実施します。また、高齢者ができる体操や運動を一緒に行います。
介護や福祉施設はこれからも高齢化社会が続くため、ますます需要は増えるでしょう。
スポーツトレーナー
スポーツで起こる突然のケガに対する応急処置や身体のメンテナンスに必要なストレッチなどは、知識や技術が求められます。そのため、身体のことを詳しく熟知している柔道整復師を取得している人は、スポーツトレーナーとして多く活躍しています。
まとめ
今回は「柔道整復師の資格とは?理学療法士との違い、年収、専門学校の選び方をご紹介」しました。柔道整復師は従来、接骨院や整骨院で開業する人が多く居ました。
現在、柔道整復師の魅力は開業だけではなく資格を拠点として、幅広い活動を増やすこともできます。
例えば、柔道整復師と健康や美容、パーソナルトレーニングや講師活動などを組み合わせると可能性は無限大です。
資格取得までに養成施設で最低3年の期間が必要ですが、その間も知識や技術、仲間などかけがえのないことを多く吸収できます。
あなたが描く理想の柔道整復師を目指して、未来を切り開いていきましょう。