ピラティスマシンの中でも独特の存在感をもつバレル。マシンピラティスのグループレッスンを受けている方でも、意外と知らない人が多いのではないでしょうか。
実は、このバレル、背骨の柔軟性向上や姿勢改善に驚くほど効果的なマシンなのです。
この記事では、バレルの種類や効果、実際のエクササイズから自宅でのチャレンジ方法まで、リフォーマーやキャデラックとは一線を画す特徴を持つバレルの魅力を詳しくご紹介します。
ピラティス愛好家はもちろん、バレルでの指導を目指すピラティスインストラクター志望の方、実際にバレルを購入してみたい人にも、必見の情報が満載です。
バレルについて知ることで、あなたのピラティスライフに、新たな発見と刺激を加えてみませんか。
目次
ピラティスマシン「バレル」の特徴
引用元:Balanced Body
バレルは、ピラティスマシンと呼ばれる、ピラティスエクササイズを効果的に行うための専用マシンのひとつです。
主に、重力を利用した脊柱の屈曲と伸展をサポートとして用いられます。
アーチ状の曲線が特徴で、大きく3つのタイプがあります。
・スパインコレクター
・ラダーバレル
主に背骨の柔軟性向上に使用されます。猫背や腰痛に悩む方、姿勢改善を目指す方におすすめです。
ピラティスバレルの起源
バレルの起源は、ビール好きだった創始者であるジョセフ・ピラティスの興味深いエピソードがあります。
当時、ビールの樽は木製でした。空になったビール樽を見て、それを半分にして布で覆って作ったものがバレルだと言われています。
木製のビール樽
引用元:Amazon
エクササイズに合わせて、樽の高さや配置を変えていった結果、今のアークバレル、スパインコレクター、ラダーバレルという組み合わせや高さの違うバレルが生まれたと言われています。
また、ビール樽の周りについていた金属製のリングをもとにして作った器具が、マジックサークル(ピラティスサークル)の原型と言われています。
オリジナルに近いマジックサークル
引用元:Balanced Body
ピラティスバレルの種類と特徴
・重力を利用したマシン
・脊柱や体幹の柔軟性や強化に効果的
バレルは、アーチ状の丸みを帯びた形をしています。特に、背中や脊柱を伸ばす動きに適しています。
この形によって身体をしっかりサポートされるので、身体に負担の少ないリラックスした状態で身体を伸ばすことができます。
また、逆さ(頭よりも足が上)のポジションでのエクササイズでは、股関節周りに効果的にアプローチすることができるため、骨盤の歪み改善や安定性の向上に効果的です。
しかし、リフォーマーなどのマシンと比べるとエクササイズの数が少なく、できることが限られているため、ひとつのレッスンをこれだけで行うことは少なく、他のマシンと組み合わせておこなうことが一般的です。
ピラティスバレルの種類やその違い
アークバレル
引用元:Balanced Body
アークバレルは、別名「ベビーアーク」と呼ばれる小型のバレルです。バレルの中では最もコンパクトで、その名の通りアーチ状のシンプルな形をしています。
高さが低く、他の2つに比べてカーブも緩やかなため、身体の硬い人でも無理なく身体を伸ばすことが可能です。また、床からの高さがそれほど無く、他のバレルのように怖さを感じにくく、初心者でも始めやすいバレルでもあります。
スパインコレクター
引用元:Balanced Body
スパインコレクターは、背骨(スパイン)を矯正(コレクト)するという名前のバレルです。別名「ピラティスアーク」、または、クジラのような独特の形状から、「ステップバレル」と呼ばれることもあります。
クジラの尾びれに当たる部分が「ステップ台」です。このステップ台に座ることで、股関節が硬い人でもエクササイズが行いやすく、骨盤の安定なども意識しやすいといった特徴があります。
独特の形状とハンドルや指をかける持ち手がついているため、スパインコレクターでしかできないエクササイズもいくつかあります。
ラダーバレル
引用元:Balanced Body
「ラダーバレル」は、バレル(樽)にはしご(ラダー)を組み合わせた形のバレルで、3つの中で最も大きいです。アーチ状のバレル部分だけでなく、手や足を置くことができるラダー部分があるため、2つを組み合わせた多彩なエクササイズが可能です。
バレルとラダーの距離は調整でき、身長や柔軟性に合わせた、その人に合ったポジションでのエクササイズが可能です。
他のバレルと比べて高さがあるため、立った状態でストレッチが可能であったり、逆立ちポジションのようなよりアクロバティックなエクササイズができるのも特徴です。
ただし、高さがあるため落下の危険があったり、慣れていないと怖さを感じることもあるなど、注意が必要です。
ピラティスバレルのメリット、デメリット
・猫背や疲労姿勢などの姿勢改善
・受動的なリラックスした状態でのエクササイズが可能
・深い呼吸を促進することでの、リラックス効果
・体幹の強化と安定性の向上
アーチの部分に身体をあずけることで、自然と力が抜きやすくなります。これにより、普段意識しにくい筋肉への刺激、筋肉バランスの調整、柔軟性の向上などに効果的です。
他のピラティスマシンと比べて、脊柱の伸展(身体を反らせる)エクササイズが多いため、猫背の人が多い現代人にピッタリです。
身体の中心(体幹部)を積極的に動かすエクササイズが多く、腹筋や背筋を集中的に鍛えることができるため、コアの安定を実感しやすいのも特徴です。
全身を統合しバランスを整える役割もあるため、レッスンの最後に用いられることも多くあります。
・サポートやアシストが少なめ
・エクササイズによっては危険なものもある
・どちらかといえば、初心者向きではない
他のピラティスマシンと違い、スプリングがありません。
そのため、その人に合わせたスプリングの強さを調節したり、スプリングによる動きのサポートがなく、初心者や慣れていない人にとっては難しい場合があります。
スパインコレクターとラダーバレルは、バレルのカーブがかなり急なこともあり、身体が硬い人にとってはストレッチだけでも大変なことがあります。
他のピラティスマシンのように決まった動きを誘導してくれるものがないため、ひとりでは正しいフォームでおこなうのが難しいため、インストラクターの適切な指導が必要です。
ピラティスバレルでのエクササイズがわかるYouTube動画
実際のレッスンや動きを紹介します。代表的なエクササイズと、どんなふうにバレルを使っているのか、参考にしてください。
以下の動画は英語ですが、動きだけでもかなりわかると思いますよ。
Articulated Bridging on the Ladder Barrel
ラダーバレルでのブリッジング
マットやリフォーマーでも行なうエクササイズ「ブリッジング」のバレルバージョンです。この動画から、「慣れていないと怖いと感じてしまう」という点がわかるかもしれません。
Basic Pilates Ladder Barrel Stretches for Men
男性向け、ラダーバレルでのストレッチ、基本編
ラダーバレルを使ったストレッチがどんなものか知りたい方におすすめの動画です。15分と少し長めですが、バレルを使用した様々なストレッチが紹介されています。
Balanced Body® Ladder Barrel: Horseback
ラダーバレルでのホースバック
バレルからはイメージしづらい「ホースバック」というエクササイズです。
一見地味に見えますが、実は見た目以上に、難易度が高く、内ももや骨盤へのアプローチ、身体を引き上げる感覚を養うのに効果的なエクササイズです。
個人的に好きなエクササイズのひとつです。
Balanced Body® Ladder Barrel: Scissors and Handstand
ラダーバレルでのシザーズとハンドスタンド
バレルの上級エクササイズのひとつ「ハンドスタンド」、「ショルダースタンド」と言ったりもします。
習得するには時間がかかるかもしれませんが、エクササイズの効果と達成感でスッキリし、気持ち良くなれるエクササイズです。
ただ、危険を伴うため、チャレンジする際には必ずインストラクターの指導のもとで行ってください。
ピラティスバレルの価格(値段)
購入するとなると、どれくらいの金額がするのでしょうか。
安いものだと15万円から、平均的には30万円〜。
スパインコレクター:
安いものだと数千円から、プロフェッショナルなものだと3万円から20万円程度。
アークバレル:
安いものだと数千円から、プロフェッショナルなものだと3万円から
・海外から取り寄せる場合は、手数料か関税などが別途かかることも
・注文から納品までにかなりの時間がかかることも
また、大型のマシンは、高層階など搬入する場所によっては別途料金が発生することがあります。
最近は、日本国内でもピラティスマシンを製造、販売する企業が増えているため、代金と送料のみで購入できますが、海外から取り寄せる場合は、代理店を通すと手数料が、直接注文すると関税がかかることもあります。
→ピラティスマシンの購入方法と種類を紹介
ピラティスバレルにチャレンジするには?
バレルでのレッスンが受けられるスタジオ
バレルのグループレッスンを行っているスタジオは限りなく少ないため、マンツーマンのパーソナルや、少人数でのセミパーソナルでのレッスンがおすすめです。
バレルのレッスンを受けることができるスタジオをいくつかご紹介します。
また、パーソナル中心の個人スタジオでもバレルを導入していることが多いので、お近くにピラティススタジオがある場合は、確認してみるといいかもしれません。
自宅でチャレンジするには?
気軽に始めるのであれば、クジラ型のピラティスバレル(スパインコレクター)がおすすめです。
引用元:Balanced Body
スチロール製のものであれば、比較的低価格で、軽量かつコンパクトなため移動しやすく、ストレッチ器具としても重宝します。
Amazonなどでも比較的安価なものを見つけることができますよ。
ピラティスバレルがわかるおすすめYouTube&サイト
実際に自宅でもできるバレルでのエクササイズを紹介しているサイトや動画をいくつかご案内します。
おすすめYouTube
背骨矯正アーク★ピラティスの最強の小道具 猫背改善
スペイン・バルセロナでピラティススタジオを経営しているNORIKOさんのオンラインピラティスレッスン。
スパインコレクター、ピラティスアークを使ったピラティスレッスン。10分ちょっとと短いながらも、バレルの基本的なアプローチを紹介してくれています。
ほんわかとした、やさしいNORIKOの声にも癒されるレッスンです。
【ピラティス道具】スパインコレクターで背骨を正す
山口県でピラティススタジオを経営しているNorikoさんのスパインコレクターを紹介してくれるレッスン。ストレッチを中心としたレッスンのため、ピラティスに慣れていない人にも日々のメンテナンスとして使える内容です。
スパインコレクターをストレッチのツールとして活用したい人におすすめのレッスンですよ。
【おうちでマシンピラティス】小型のピラティスマシン「スパインコレクター」を使って背骨を伸ばそう(45分)姿勢改善、ストレッチにも最適
ハワイ在住のピラティス インストラクターさおりさんのスパインコレクターでのピラティスレッスン。45分と少し長めで、強度の高いエクササイズもあるため、少し慣れた人におすすめの内容です。
リズミカルにテンポよく進んでいくので、しっかり動きたい人にもおすすめのレッスンです。
おすすめサイト
フレックスバレル®(くじら型)の使い方
>>https://www.santeplus.jp/exercise/fb-whale-pilates/
ストレッチツールとして有名なフレックスクッションのサンテプラス株式会社。
スパインコレクターの進化形として作られたフレックスバレルの使い方を紹介するページです。
ピラティスだけでなく、フレックスバレルを使ったストレッチやファンクショナルトレーニングも紹介していますので、ピラティス以外にも使ってみたい人にもおすすめです。
バレルの指導するためのピラティスインストラクター資格
インストラクターとしてバレルのエクササイズや指導方法を学ぶには、団体によって異なる2つのパターンがあります。
コンプリヘンシブコース
バレルだけでなく、リフォーマー、キャデラック、チェアなど他のマシンも含めた総合的なコースの一部としてバレルを学ぶ。
そのため、バレルだけが学べるコースはない。
オプションコース
マットやリフォーマーなどの基礎となる資格を取得した後、段階的な学習のひとつとしてバレルだけを学ぶオプションのコース。
バレル以外のピラティスマシンについても段階的なコースになっていることが多い。オプションを含めた、全てのマシンのコースを取ることで、フル認定(コンプリヘンシブ)になる。
金額や日数など、団体によって大きく異なるため、資格取得を検討している方は各団体に確認することをおすすめします。
ピラティスインストラクター資格を取得したいならこちらをチェック!
>>ピラティスインストラクター資格はどこがいい?種類、選び方、PMA団体をご紹介
ピラティスバレルのまとめ
ピラティスのバレルは、背骨の柔軟性向上や姿勢改善に効果的なピラティス専用マシンです。
アークバレル、スパインコレクター、ラダーバレルの3種類があり、それぞれ特徴的な形状と効果があります。
・姿勢改善
・体幹の強化
・リラックス効果
バレルは他のマシンやエクササイズと組み合わせて使用されることが多いため、体験するにはバレルが用意されているピラティススタジオでのパーソナルレッスンがおすすめです。
実際に受けてみるのは難しい方も、スパインコレクターを使った簡単なストレッチであれば、自宅でも可能ですので、この記事を参考にチャレンジしてみてはどうでしょうか。