こんにちは。ヨガ講師のHarukaです。
このコラムでは、生徒さんやフォロワーさんから寄せられた“日常で抱えるリアルな心のお悩み”に、ヨガ哲学の視点と私自身の経験を重ねて「心を整えるヒント」をお届けします。
今回いただいたのは、とても繊細で、でもきっと多くの方が密かに抱えているお悩み。
おばあちゃんから『声が小さい』と言われたことが今も心に残っていて…。
どうしたら、自信を持って声を出して話せるようになりますか?
声ってとても不思議なもので、まるで鏡のように心の内側をそのまま映し出してしまうもの。
きっと誰しもが一度は「うまく伝えられない」「表現するのが怖い」「自分の声が好きではない」
…そう感じたことがあるのではないでしょうか?
だからこそ、「声が小さい」という悩みは、単なる“声量の問題”ではなくて、もっと深いところに眠る“心の傷”や“自己肯定感”に関わっていることが多いんです。
まずは、勇気を出して相談してくれて、声を上げてくれたあなたに、心からありがとう!と伝えたいな。
声が小さくなる心理的な原因
はじめに、声の大きさや自信の有無に影響を与える原因となる“心のメカニズム”を紐解いてみましょう。
これを知るだけで、「私は責められても仕方ない存在じゃなかったんだ」と安心できる人もきっと多いはず。
過去の言葉が痛みとして残っている
子どもの頃にかけられた何気ない指摘の言葉には、“私はそのままでいてはだめなのかな”という思い込みをつくってしまうことがある。それは幼いあなたの胸にトゲのように刺さり、大人になるまでそのトゲが残ってしまったままなケースが多い。
自分を守るための“遠慮グセ”
優しい人ほど「人に迷惑をかけたくない」「場の空気を乱したくない」と自分の気持ちに蓋をすることで場の調和を保とうとしてしまう。
自信の揺らぎ・自己否定感
「間違いたくない」「失敗したくない」「評価されるのが怖い」…そんな気持ちは、声に力みを生んでしまう。
呼吸が浅くなる・身体の緊張
心がこわばると、呼吸も浅くなり、喉まわりや胸まわりも固くなってしまう。この身体が自分を守ろうとする“正当な防御反応”が、声の小ささや出しづらさに影響することはよくあること。
どの原因も決して“欠点”ではなく、あなたが今まで繊細に丁寧に生きてきた証。
この前提を大切にして、ここから先のコラムも読んでもらえると嬉しいです。
ちいさな声は、あなたのやさしさの証
ヨガの教えで、「声は心の状態の表れ」だと考えられていて。
不安なときは声が小さく細くなり、逆に、安心しているときは不思議とあたたかく柔らかくなるもの。
つまり、“声を整える”ということは、“心を整える”ことと全く同じ。
表面では声の問題のように見えて、実は心の問題であることが多いんです。
あなたが声を小さくせざるを得なかった理由は「弱さ」ではなくて、「周りを大切にする気持ちが強すぎたから」なのかもしれない。
だからどうか、コンプレックスのように見える声のことを、少しだけ別の角度から眺めてみてほしい。
「私はこの声を持って生まれてきた意味と理由が必ずある」
そう、自分を信頼できたその瞬間から、声が“コンプレックス”から、“かけがえのない自分らしさ”へと姿を変えてくれるはずだから。
私自身も向き合ってきた「声」のこと
私は比較的よく通る声で話すタイプ。だからこそ、ヨガを教え始めた頃はこのよく通る声をどう扱うか悩んだ時期がありました。
でも、ふと気づいたんです。きっと、いちばん自分の声を聴いているのは、他の誰でもなく“私自身”なのかもしれないなって。
呼吸が浅いと声は荒くなる。でも呼吸が深まると、同じ声でも穏やかに変わる。
声は「プラーナ(生命エネルギー)」の振動と揺らぎで生まれるもの。つまり、声とは自分の命そのもの。
たとえ声が小さくても、心から発する声には不思議と人の心を動かす力がある。だからこそ、大切なのは声の大きさではなく、「どんな想いで声を発するか」なんじゃないかな。
>>ヨガ八支則(はっしそく)とは?なぜヤマニヤマの教えは大事なのか
ヨガ哲学が教える“心の声”との向き合い方
ヨガ哲学の「スワディヤーヤ(自己探求)」は、外側に答えを求める前にまず“自分の内側を見つめる大切さ”を教えてくれます。
「どんな声を聴くと心がほっとする?」
「どんな言葉が、自分らしさを感じさせてくれる?」
「どんなときに、少しだけ自分の声を好きだと感じる?」
こうした小さな問いは、あなたの心の奥にある本音の声をやさしく教えてくれる。
そしてもうひとつ大切なのが「サティヤ(正直・誠実であること)」。自分自身の本音や本心にふれることで自分の感性や価値観、感情を信じられたとき、不思議と声にも芯が宿るはず。
>>0から分かるヨガ哲学【八支則⑨】スワディヤーヤは“自己対話”から本当の自分に気づくこと
サティヤ(正直・誠実であること)についてもっと詳しく知りたい方はこちらから
>>0から分かるヨガ哲学【八支則②】サティヤで素直に生きるとは?
今日からできる“声の整え方”
声を変えるための一歩は、とてもささやかな行動から始まるもの。
◎話す前に、“自分のためだけにゆっくりと深い呼吸を3回だけ”してみる
たったこれだけで、胸の緊張がふわっとほどけて声の響きもやわらかく変わる。
声帯は呼吸の質に正直なので、呼吸が深くなると声も自然と整っていきます。
これはヨガの「タパス(小さな鍛錬)」にもつながる実践で。自分のためだけに3回の呼吸を選べた日は、それだけで十分。
自分のための“ほんのちょっとしたチャレンジ”を積み重ねることで、「私の声も、なんかいいかも」という健やかな自己信頼につながっていくはずだから。少しずつ、自分の変化を感じながら楽しんでみてほしいな。
>>0から分かるヨガ哲学【八支則⑧】タパスは“そのままの自分”を信じる勇気をもつこと
まとめ|声を通して、自分そのものを愛でる
私たちはつい、「どう思われるか」にばかり気を取られてしまうけれど、本当に大切なのは、「内側から湧いてくる素直な声」に耳を傾けて寄り添うこと。
自分の声を好きになるということは、「その声を持つ自分自身」をまるごと愛することでもある。
だからどうか焦らず、比べず、今のあなたの声を少しずつ慈しんでみてほしい。
たとえ声が小さくても、震えてしまったとしても、あなたの声はあなたにしか出せないの。
誰かの真似をしなくてもいい。完璧じゃなくていい。
あなたの声は、世界にたったひとつだけの宝物だから。
それでは次回の「暮らしに活かすヨガ哲学」もお楽しみに!
Haruka
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