反り腰は、女性に多いボディアライメントの崩れの1つ。一見きれいな姿勢に見えがちですが、過度に反った姿勢はぽっこりお腹や腰痛などのデメリットが生じます。
「反り腰」は体の要となる骨盤が傾いている状態のため、簡単には修正できず悩みますよね。日常動作のクセで反り腰になってしまう方もいるため、インストラクターによる生活動作指導も欠かせません。
この記事では
1. インストラクター向けに「クライアントに反り腰を改善したい」といわれたとき、みていくポイントを整理してお伝えしていきます。
2. 一般読者さんで現在反り腰にお悩みの方へは、おすすめのピラティスエクササイズ(+動画)をお伝えしているのでご参考にして下さい。
目次
1. 反り腰の原因
反り腰とは、その字の通り腰が反った状態。
腰が反っている時、骨盤は前に傾いていいます。これを「前傾」していると言います。ではなぜ、骨盤が前傾してしまい反り腰になるのでしょうか。原因は大きく2つに分類されます。
・筋力低下(腹直筋、ハムストリングス)
・筋肉の硬さ(脊柱起立筋群、ハムストリングス、腓腹筋)
考え方は簡単です。姿勢保持の要になる筋肉を考えましょう。
お腹になる腹直筋、背中にある脊柱起立筋、太ももの前にある腸腰筋、後ろにあるハムストリングス、ふくらはぎにある腓腹筋。これらの筋力が低下または硬さがあると骨盤が傾きます。
妊娠中の女性が悩む反り腰も同じです。
妊娠中お腹が大きくなりますね。お腹を支えるだけの腹筋力がないと背中の筋肉が頑張ります。すると、ふともも後ろの筋肉にも影響を及ぼし、ハムストリングスが硬くなります。結果、骨盤が傾き「反り腰」になってしまうのです。
インストラクターとして反り腰の原因を評価する場合、筋力低下している部位と、筋肉が硬くなっている部位を分けて評価するといいと思います。
2. 反り腰を改善しないと体はどうなる?
反り腰を放置すると、姿勢がどんどん崩れデメリットが多く生じます。
・O脚、X脚
・巻き爪
・腰痛
・首の痛み
・ぽっこりお腹
・お尻が垂れているのに大きくみえる
骨盤が傾いていることで、こんなにも多くのデメリットを生じます。
ピラティスに来る方の多くは姿勢改善や、ダイエットのご希望です。ですが反り腰の方は、まずは反り腰自体を改善しないとピラティスの効果を得ることは難しいでしょう。
インストラクターとして骨盤の傾きを評価し、反り腰の改善に必要なエクササイズ指導をしていく必要があると思います。
3. 反り腰はどうやって確認するの?
簡単ですぐにできるチェック方法をお伝えします。
仰向けに寝て確認する方法
①仰向けに寝て、ベッドと腰のすきまを確認します。
②ベッドと腰の間に手のひらを入れ、隙間を確認します。
※この時、手のひら1枚以上分のスペースがある場合反り腰のサインです。
立って確認する方法
①壁に背を向け立ちます。
②壁に後頭部、背中、お尻、踵をつけましょう。
③壁と腰の隙間を確認します。
※この時手のひら2枚が抵抗なく入る場合、反り腰のサインです。
座って確認する方法
①椅子にいつも通ります。
②椅子とお尻~太ももの加圧部位を確認します。
※この時、椅子のふち付近に圧を感じる人は腰が反っているサインです。
4. 反り腰改善のエクササイズ3選
・腹筋が低下し、脊柱起立筋群がうまく使えていない状態
・ハムストリングスが硬くなっている状態
これらが原因で反り腰になっている方を想定したエクササイズ案をご紹介いたします。
クライアント自身でも行いやすいエクササイズです。自宅でも継続するようにお声掛けできるといいですね。
テーブルトップポジション
これは腹筋が数回しか出来ない人にまずやってほしいエクササイズです。反ってしまう腰を修正しながら、腹部の筋肉をじわじわ使うエクササイズ。
ロールアップ
腹直筋を鍛えるエクササイズ。上半身を持ち上げてくる時に、ただ勢いをつけて起き上がるのではなく、背骨1つ1つ持ちあげてくるイメージをもつことがポイントです。
ハムストリングスのストレッチ
ピラティスエクササイズではありませんが、ハムストリングスに対する介入も必須です。筋肉が硬い状態でその他のエクササイズをするより、筋肉を伸ばし状態を整えてから行うほうが効果的です。
5. 反り腰改善の生活指導3選
必ず確認したい生活動作は
日々の座り方
日々の立ち方
使用している靴やカバンは?
詳しくみていきましょう。
①日々の座り方
一般的に姿勢が良い座り方って、背筋をピーンと伸ばした状態ですよね。でもこれ、反り腰の原因の1つです。
左右の座骨に均等に体重が乗っている状態をキープしましょう。
②日々の立ち方
立った時につま先で体重を支えている方は、その姿勢が反り腰の原因になっています。
人は重心が体の前に移動すると、転ばないように体を反らします。これによって太もも裏の筋肉(ハムストリングス)が硬くなり反り腰を助長します。
正しい立ち方は、左右の足指のつけね、踵の4点で体重を受けること。クライアントの姿勢評価をするときに、足の裏に絵具をぬり白紙の上に立ってもらう方法もあります。筋肉の状態から、重心位置を予測できない方は実際に足跡をみて評価してみましょう!
③使用している靴やカバンは?
インストラクターによる生活指導は、体だけに留まらずクライアントの使用している靴やカバンにも着目できます。
ヒールを履いている女性は反り腰の方が多いといわれています。他にも、重いカバンを体の前に下げていると背筋で姿勢保持を頑張るため、反り腰になります。
どれだけエクササイズを頑張っても、日々の生活習慣によるアライメントの変化で効果を半減している可能性もあります。
ヒールを履く頻度を減らす、カバンはお尻の方に回すなど…それだけで良いのです。教えてもらえるか、そうでないかは大きな違い。クライアントの生活習慣についてお聞きし、アドバイスできるように心がけるといいと思います。
6. まとめ【反り腰改善には、適切なエクササイズと生活指導が大切】
この記事では、
・反り腰の原因→筋力低下と筋肉の硬さ
・反り腰の確認方法→誰でもできる簡単なチェック方法
・反り腰改善に必要なエクササイズ→腹筋強化、ハムストリングスの柔軟性が大切
・反り腰改善に必要な生活指導→日々使用している靴やカバンにも着目してみよう!
このような内容をまとめさせていただきました。
インストラクターをしていると必ず出会う「反り腰」に悩む方。体の要が傾いているので、改善には時間と根気が必要です。
正しい評価と、適切な運動指導でクライアントの姿勢改善ができるといいですよね。
この記事が参考になると幸いです。