「好きなことを仕事にしたい」と思っても、実際にそれを“職業”として安定的に続けていくのは簡単ではありません。
特にピラティスやヨガといった運動指導は、フリーランスや業務委託での働き方が多い世界。
そんな中、私は“正社員”としてピラティスインストラクターの仕事をしています。最初は自分でも意外な選択でしたが、今ではとても満足しています。
この記事では、これまでの経験とともに、正社員インストラクターとして働くことの魅力、実際の業務内容、そして感じている課題について、正直にお伝えしていきます。
ピラティスインストラクターを目指す方や、働き方に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
目次
作業療法士からヨガインストラクター、そしてピラティスの世界へ
もともと私は作業療法士として病院に勤務していました。
リハビリの現場では、脳卒中や骨折、さまざまな障害を抱える方と向き合い、身体機能の回復をサポートする毎日。
仕事にやりがいはありましたが、同時に「もっと前の段階、病気やケガをする前の体づくりに関わりたい」という気持ちが芽生えていきました。
そんな中、自分の心と体のためにもヨガを学びたいと思い、RYT200を取得。その後、フリーランスのヨガインストラクターとして活動を始めました。
自分のペースでレッスンを組み、好きな時間に働ける自由さは魅力でしたが、同時に収入や集客、将来への不安も常につきまとう働き方でもあります。
そんなとき、登録していたエージェントサイトを通じて「ピラティスインストラクター(正社員)」としてのスカウトメッセージが届きました。
ピラティスの経験は全く無かったものの、「身体の専門職としての知識を活かせるかもしれない」と感じ、思い切って挑戦することに。
正社員インストラクターの1日と、仕事のやりがい
現在はピラティス専門スタジオにて、正社員として勤務しています。
レッスン自体はスクリーンで流される形式で、お客様はその動画に合わせて動いていきます。私たちインストラクターは、その動きが適切に行えるよう、ひとりひとりの身体に合わせてサポート(アジャスト)をする役割です。
スタジオの清掃や準備なども業務の一部ですが、お客様との会話も重要な仕事。体の不調やその日のコンディションをヒアリングし、安心してレッスンを受けていただけるように関わります。
空き時間には自分の身体を動かすこともできるので、日々のメンテナンスや自己実践にもなり、体力・体調管理にもつながっています。
日々の業務の中で、自分自身の姿勢や呼吸にも自然と意識が向くようになりました。
お客様の動きをサポートするには、まず自分の体の状態を整えることが大切。その積み重ねが、自分の姿勢や体調の変化にもつながっています。
「教えること=学ぶこと」だと実感する場面が多く、レッスンのたびに新しい発見があります。
現場デビューはすぐそこ。学びながら成長できる環境
入社後は研修に参加し、基本的な業務やサポート方法を学んだうえで、すぐに現場デビューとなりました。
最初は不安もありましたが、先輩インストラクターが日々の疑問や悩みに丁寧に答えてくださる環境があり、実践を重ねる中で少しずつ自信がついてきました。
正社員という形で働くことで、毎日現場に立ち続けられることは大きな強みだと感じています。
たくさんの身体を見て、触れて、観察する中で、「この動きのときにこういう癖が出やすい」といった体のパターンが自然と身についていきます。
また、同じスタジオ内で働く他のインストラクターとの日々のやり取りも刺激になります。
「こういうとき、どう対応してる?」「この動き、ちょっと難しそうだったけど何か工夫してる?」と、何気ない会話の中に学びが多く、ひとりでは得られない実践知が蓄積されていきます。
インストラクター同士のチーム感があるのも、正社員ならではの安心感かもしれません。お互いの得意分野や経験を共有し合いながら、「もっとこうしたらよさそう」と意見交換できる環境は、自分の成長を後押ししてくれる大きな要素です。
「予防」に関わる今の仕事の魅力
作業療法士としての仕事は、病気や障害を持った後の“回復”を支えるものでした。一方、今の仕事はその前段階、日々の体の使い方や不調に目を向けて、「そもそも病気や痛みにならないように」サポートしていくもの。
これはまさに“予防医療”の一端だと感じています。特別な症状があるわけではないけれど、肩が凝りやすい、腰が痛くなる、姿勢が気になる…そんな方に寄り添い、「日々の体との向き合い方」を伝えることができるのが、この仕事の醍醐味です。
正社員インストラクターとしての課題と学び
もちろん、良いことばかりではありません。私自身が感じている課題もいくつかあります。
ひとつは、「サポート(アジャスト)」がメインとなるため、自分でレッスンを組み立てたり、構成を考えたりする機会が少ないこと。どうしても自己流のサポートに偏ってしまいがちで、スキルアップには意識的なインプットが必要です。
そのため、月に一度の社内研修には積極的に参加し、知識や技術の更新を心がけています。
実技だけでなく、解剖学や運動学の基礎を見直す機会もあり、作業療法士としての知識が改めて活かされていると感じる場面もあります。
また、正社員という形で働いていると、時間的にはどうしても「拘束される感覚」があるのも事実です。
自由にスケジュールを組めるフリーランス時代とのギャップに戸惑うこともありますが、その分、毎月安定した収入があることや、継続的にお客様と関われる喜びも感じています。
自分にとって何を優先したいのか、働き方の選択には常に自分軸が必要だと感じています。
ピラティスを仕事にしたい人へ、伝えたいこと
正社員として働きながらも、副業はOKな環境なので、今後は自分でレッスンを企画したり、自主開催のイベントを行ったりと、少しずつアウトプットの場を広げていきたいと思っています。
ピラティスは、未経験からでも始められるものです。
私自身も最初は「本当にできるのかな?」と不安がありましたが、毎日実践する中で自然と動きが体になじんでいきました。
「まずは自分がやってみること」、そしてその中で「この動き、気持ちいいな」「体が楽になるな」といった感覚を味わっていくことで、自然と伝えたいことが見えてくるはずです。
お客様との会話やコミュニケーションも、その感覚を共有することから始まります。
インストラクターとして大切なのは、完璧であることよりも、「自分も日々成長中」という感覚を持ち続けることだと思います。
一緒に変化していける存在であることが、お客様の信頼につながっていくと感じています。
おわりに
ピラティスインストラクターという仕事には、華やかな面もあれば、地道で丁寧な積み重ねが求められる面もあります。
けれど、自分の体と向き合いながら、それをお客様にも届けていけるというのは、本当に素敵な仕事だと感じています。
この仕事を続ける中で実感しているのは、「伝える側こそ、まず自分自身が整っていることの大切さ」です。
日々の実践や、お客様とのやり取りの中で、体だけでなく心にも変化が生まれます。
「安定した働き方をしながら、運動指導の現場で成長したい」「体に関わる仕事を長く続けていきたい」そんな方には、正社員インストラクターという道も、きっと選択肢のひとつになると思います。
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