真理
みなさん、こんにちは!
横幕 真理です!
今回は、オーダースーツブランド「Re.muse」を運営する株式会社muse代表取締役で、SNS総フォロワー数60万人以上(2024年2月現在)の勝友美さんにキャリアについて貴重なお話を伺いました!!
実は、わたしも社長としてメディアに出るときにメインで着ているスーツは、Re.museさんのヴィクトリースーツなんです!(お世話になっています!)
今日は、事務所もお互い銀座で近いという事もあり、Re.museさんの店舗に直接お邪魔させて頂き、お話を聞かせて頂きました!
勝友美さんのプロフィール
勝友美(かつ・ともみ)
株式会社muse代表取締役
兵庫県宝塚市出身。アパレルメーカーにて販売員を務め、入社初日にトップセールスとなる。その後、スタイリストとして海外ポータルサイトの新規事業立ち上げに参画したのち、オーダースーツ業界へ転身。最高峰の技術を習得し、2013年に『Re.muse』を創業。2018年より、テーラー業界では日本初となるミラノ・コレクションへの3度の出展を果たす。
2023年に世界最高峰のファッションショー、パリ・コレクションへ出展し、ミラノに続き業界初の快挙を遂げる。
Re.museのスーツは着る人を自信で包む”ヴィクトリースーツ”と呼ばれ幅広い世代からの人気を博している。また、市場がない中でレディーススーツのマーケットを独自で切り開き牽引する存在であり、女性活躍の発展にも貢献している。
女性起業家として業界の枠を越え多くのメディアに出演すると共に、自身の経験を基にYouTubeなどを通じ精力的に配信を行っている。
SNS総フォロワー86万人(2024年1月時点)
著書
・営業は「バカ正直」になればすべてうまくいく(出版社:SBクリエイティブ)
・人は自分に嘘をつく(出版社:KADOKAWA)
横幕 真理のプロフィール
インドでのヨガの修行により人生が変わる体験をしたことをキッカケに、インド・オーストラリア・バリ島の3ヶ国でヨガ留学を経験してRYT500を取得。
その後、今度は自分が「誰かの人生を変えるキッカケになりたい」そんな想いで2018年、株式会社MAJOLIを設立。ヨガ・ピラティスの資格取得をメインとするキャリアアップスクールを経営し3,000名以上の卒業生を輩出。
スクール事業、メディア事業、コミュニティ事業、すべてのプロダクトの開発から運営までのプロデュースを手掛ける。
2021年、著書「New Me-わたしだけの新しい人生の見つけかた-」を出版。
勝友美社長のキャリアとは?
真理
勝さんのキャリアについて、まずスーツ業界で仕事をするようになったキッカケを教えて下さい。
勝さん
もともとファッションが大好きで、ファッション業界に就職しました。当時、販売員として入社初日からトップセールスとなり、それからずっとトップを走っていました。その後、ヘッドハンティングを受けてスタイリストとして海外ポータルサイトを立ち上げる仕事をしていたのですが、その渦中に父が他界し、いったんすべてから身を引いたんです。ですが、ファッション業界から離れてしまうことは自分の人生に大きな影響を与えるなと思い、もう一度戻ろうと決心しました。そのとき、たまたまオーダースーツの販売員募集と書かれた小さな求人広告が目に止まったんです。今思えば、それは本当に運命の出会いでしたね。
真理
そこからオーダースーツの世界へと導かれたわけですね。実際にスーツ関連のお仕事をして、どのように感じましたか?
勝さん
思っていたのと、まったく違いました。Tシャツとデニムで働く人が増えてスーツ離れが起きていたんです。スーツがどんどん衰退していって、社会的にもスーツを着ないほうが格好良いという風潮が生まれているときでしたね。
真理
そんな風潮だったんですね・・・。スーツ離れが進んでいた原因って、何があったのでしょうか?
勝さん
当時はファストファッション(大量生産された低価格のファッション)の流れが非常に強くなっていました。スーツというのはビジネスシーンでの戦闘服だし、自分を表現する大切な一着なのですが、安く売るためには接客時間を短くして回転率を上げることが優先され、お客様の目的に寄り添ってスーツを提供することができなくなってしまっていたんです。だから私はスーツ離れを起こした原因は、スーツ業界の人たち自身だなと思ったんです。
真理
なかなか難しい状況ですね。そんな中、どのように考え行動されたのでしょうか?
勝さん
ある日、スーツの工場に行ったんですね。そこで職人さんたちに、どんな思いで長年仕事を続けてきたのか聞いてみたんです。すると「この服をどんな人が着るのだろうと、着る人のことを考えて仕事をしています」という答えが返ってきました。その言葉を聞いたとき、「この温度を冷ますことなくお客様に届けるのが私たちの仕事」だと痛烈に思いました。それから技術伝承のため独学で勉強し、夜になったら色彩の学校に通ったりしました。そして、知識や技術に自信がついたところで起業へと踏み切ったんです。
真理
素晴らしいですね。そこで、28歳にして起業という道を選んだのはなぜなのでしょうか?
勝さん
もともと起業したい思いはありましたが、それ以上に大きかったのは職人さんの文化を継承していきたいという思いと、お客様に対して自信をもって一着を提供したいという想いです。
誰もやらないなら、自分がやらなければ
真理
スーツへの想いには、やはり特別なものがあったんですね。
勝さん
たとえば世界中の人が、どこかの国の民族衣装を着るということはないけど、スーツは世界中の人が着るじゃないですか。スーツというものは絶対に世界からなくなる日は来ません。でも、当時はまだまだ女性が自分らしく生きるために必要なスーツがなかったんです。だからこそ、女性が自分に自信をもてるような、社会で戦っていけるようなスーツを、誰もやらないなら自分がやらなければと思ったんです。
真理
その思いからレディースのオーダーメイドスーツへと、繋がっていったんですね。
勝さん
そうですね、当時のファッション市場の売上げはワンピースが1位で、レディースのフォーマルウェア市場は10パーセント以下でした。でも、私は残りの90パーセントが「可能性」だと思ったんです。ここをひっくり返すことができれば世の中が変わる、世界が変わるはずだと思いました。だから私はレディースのオーダーメイドスーツという文化をつくろうと決心し、女性のフィッターが活躍できる会社をつくろうと思ったんです。
真理
社長として、今はどんな会社を目指しているんでしょうか?
勝さん
スーツを着ない、着たくないと言っている人が欲しいと思うスーツ屋を目指しています。「自分の未来に対する投資」というところまでスーツを昇華しないと、そうはならないと思うんです。「普段スーツは着ないけれどもmuse(ミューズ)のヴィクトリースーツは着たい」と思ってもらえるような会社にしたいですね。
勝友美社長のスタッフさんへのマネージメント
真理
私もRe.museさんでスーツをつくらせて頂きました(今日の真理衣装も、もちろん、Re.museのヴィクトリースーツ)が、そのときスタッフの皆さんがみんなキラキラして、楽しそうに働いている姿がとても印象に残りました。勝さんは普段、社長としてどのように社員に接しているのでしょうか?
勝さん
4つのことを大事にしています。許容すること、信頼すること、支援すること、愛することです。起業してからの8年間は、人の出入りが非常に激しかったんです。全くうまくいかなくて「もうなんなんやろ」と、「経営者は向いていないから販売員に戻って良いですか?」くらいの感じでした(笑)
真理
大切な4つのこと、とてもわかりやすいです。
勝さん
今は安定していますが、当時と何が違うのかなと考えると、この4つをどのくらいのレベルでできているのかだと思うんです。もちろん、当時も愛していたし、許容も信頼もしているつもりでした。でも、それをどれだけ本当に腹の底から思えているのかが、今と当時では違うのかなと思っています。
真理
すごく心に染み入ります。
勝さん
例えばお店に入ったときに散らかっているとするじゃないですか。そうすると昔は非常に気になって、「ネクタイとかめっちゃ汚いやん。ちゃんと並べてよ」と思っていたんですが、今はそれを見たときにスタッフたちが愛しくなるんですよ。仕事のできる彼女たちが片付けられへんということは、すごく忙しくて、ここを片付ける暇もないほど一生懸命なんやって思えるからです。だから見えないところで相手をどれほど信頼できるかが大切で、それは相手にも伝わるのだと思います。
真理
社員の方々へのあふれるばかりの愛を感じますね。
勝さん
スタッフが遅刻して「二日酔いです」と言われたら、普通の上司は怒りますよね。でも私は生きていてくれてよかったとしか思わないんですよ。今日も元気に生きていてくれて、その子が人生を楽しく過ごしていることが幸せなんですよね。今は自分が愛しているということだけで、もう満たされている状態です。
真理
私なら間違いなく怒ってしまうと思います(笑)
勝さん
会社は、スタッフに働いてもらうためにあるのではなく、働いている人たちの人生を支援するためにあると思っているんです。立場や仕事にこだわるのではなくて、まず愛すこと、人に優しい心を持って接することが大事ですね。私が大事に守っている4つのことは、そうした普遍的なことばかりなんです。
Re.museを100年先まで愛されるスーツブランドへ!
真理
起業してから最も大変だったことを教えてください。
勝さん
大変なことは山ほどありました(笑)お金も人脈もない中で借金を背負って起業して、東京に進出したときやコロナのとき、パリコレをやったときなど、大変だと思うことはキリがないほどあります。でも、最もつらいのは仲間がいないことだと思うんですよね。自分が目指しているゴールに到達するのを何人の人が信じてくれるかで、夢の叶うスピードが変わると思っています。夢を心底信じてくれて、一緒に走ってくれる仲間がいないとしたら、最もしんどいですよ。
真理
やっぱり、仲間や人を本当に大切にされているんですね。では、勝さんが“怖い”と感じることはありますか?
勝さん
自分が納得できる答えを出し続けることができず、私が私でいられなくなることですね。自分が自分のことを信頼できなくなること以外、怖いことはないんです。どんなに大変なことが起きても、気持ちさえ折れなければまた立ち上がれるし、「何度立ち上がることができるか」が勝負だと思います。大変でも自分の夢だし、自分がつくった会社やから自分が諦めへん限りやれるよね、ということだけわかっていればいい。一つ一つの出来事にブレたくないので、ゴール以外は見ないんですよ。
真理
勝さんにとってのゴールとはなんですか?
勝さん
100年先まで愛されるブランドをつくることです。私の見たい景色は100年先なので、ゴールテープを切ることができないということを最初に決めて走っているわけです。すべてはゴールを目指すための通過点にすぎないと思い、走っています。
真理
その考え方はまさにヨガの教えに通じるものがあります。ヨガを学んでいない人でもヨガの考え方で生きている方がいらっしゃって、私は勝手にナチュラルヨギーと呼んでいます。勝さんもナチュラルヨギーの人だなって嬉しくなりました(笑)
自分の“トリセツ”をつくる
真理
自分が見たい未来に近づくために、必要なことってなんでしょうか?
勝さん
今、自分が何をやっているのかを理解できているかどうかだと思います。たとえば私は「100店舗を展開したい」とか、「年商何百億の会社をつくりたい」とかは、まったく思っていません。100年先まで残る文化をつくりたいんです。でも、ゴールに向けて自分が今何をやっているのかを理解できていないと、ブレてしまいます。自分が文化を創ろうとしているのに、年商や店舗数、社員数などを追いかけるのは矛盾してきますよね。私は「まだmuseに来たことがない人でさえ、museのスーツを着れば自信に包まれると思ってもらえるようなブランドにしたい」という思いから、この仕事を始めました。でも、消費者が同じ価値にたどり着き、そのことが共通認識になるまでには非常に時間がかかります。
真理
そうですよね。そうなると、もし会社の目先の利益だけを考えるなら違う選択になってしまいますよね。
勝さん
そう、だから何年先まで会社のことを見て、今の自分がやらなければならないことは何なのかを理解してやっているかどうかは、非常に大切です。現在やっていることが、自分がつくりたい未来の景色と乖離していないかどうかを100回でも1万回でも繰り返し確認したときに、自分の見たかった未来が近づくのだと思います。
真理
すごく力づけられました。そのためのコツみたいなものはありますか?
勝さん
苦手なことをきちんと把握した上で、まず自分の“トリセツ(取り扱い説明書)”を作ることが大事なのかなと思います。
真理
なるほど、予め決めておけば悩まなくて済みますよね。そもそも勝さんがこうして起業家として活躍されているのも、自分の“トリセツ”に従ったからですか?
勝さん
はい。私のトリセツによると、まだ見たことのない世界を見たいという思いが私を頑張らせる原動力になるんです。自分のトリセツとスーツ業界のことやブランドをつくりたいことなどが、全て合致したからこそ起業した感じです。
著書、「貫く力」を出版へ!
真理
最後に、“自分らしく生きたい”と願う読者の方へアドバイスをお願いします。
勝さん
世の中や社会が定義した成功や幸せの形がありますが、それに従うのではなくて、自分なりに定義をつくる必要があると思います。何が成功で何が幸せなのかは、人によって全く違います。たとえば私の成功は、心や人生の豊かさであり、それによって周りの人も一緒に幸せになっていくことです。最も大事なことは、そもそも人は幸せになるために生まれているということです。でも、そのために自分が必要とするアイテムが何なのかを知らなければ、絶対にゴールに到達できません。
真理
ちなみに、勝さんにとっての「幸せ」は何ですか?
勝さん
私は幸せは感謝だと思っています。人は同じことで二度は感動できないんですよ。仕事で「やった!この売上を達成できた」と思った10年後、再度その売上を達成してもあまりうれしくないですよね。なので、幸せというのは感じた瞬間にもう消えていくものなんです。では、どうすれば消えずにいられるのか。それは感謝することなんです。そうすれば感謝してありがたいと思う度に幸せじゃないですか。ですから私にとっての幸せは、感謝だなと思っています。
真理
すごく素敵です。最後に、このたび本を新たに出版されます。どんな著書なのか教えてください。
勝さん
『貫く力』というタイトルの本です。多くの人が迷ってばかりで決断力の不足に悩んでいますが、SNSの影響や他人との比較によって生じる「何かをしなければいけない」という強迫観念が影響しているように思えます。本当に重要なのは自己肯定感です。どんな自分であれ、自分を信頼することが大切です。「自分のことは何パーセント好き?」と聞かれたなら、私は絶対に120パーセントなんですよ。成功体験も何にもない自分のことを手放しに好きなんて、そんなおこがましい人は私以外、あまりいないのかな(笑)そこで本のなかでは「自己効力感」についてふれています。他にも決断を貫き通すことの重要性や成功への道を歩むためのヒントを提供しています。ぜひ手に取ってみてください。
「貫く力」3/14発売(先行予約受付中)
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