水泳は全身を使う運動として、ダイエット中の運動としても効果的だといわれています。
ただ、同じ有酸素運動であっても「わざわざ水着まで用意して泳ぎに行くのは面倒」だと考える方は多いのではないでしょうか。散歩がてらのウォーキングや時間を作って週2〜3回程度走っている方からすれば、水泳の魅力を感じられないかもしれません。
しかし、実際のところ水泳ダイエットは、総合的にかなりおすすめできる運動です。
今回は、水泳ダイエットを1ヶ月間おこなったら、どのくらい効果があるのかを検証していきます。水泳ダイエットが効果的な理由も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
種目別のカロリー消費量
まずは、水泳の種目別カロリー消費量を「METs(メッツ)」を使って解説します。
METsとは、運動や身体活動の強度の単位です。安静時(静かに座っている状態)を1としたときと比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。消費カロリーの計算式は、以下のとおりです。
消費カロリー=METs×体重(kg)×運動時間(時間)×1.05
METsは、国立健康・栄養研究所が作成した「改訂版|身体活動のメッツ(METs)表」を参考にします。
そして以下の表は、体重60kgの女性が1時間運動した場合の消費カロリーです。水泳とジムのトレッドミルを使用してのウォーキング・ランニングと比較しています。
種目 | METs | 体重60kgの女性が1時間運動した場合の消費カロリー(kcal) | 体重60kgの女性が週2回(月8回)1時間運動した場合の消費カロリー(kcal) |
クロール(ゆっくり) | 5.8 | 365.4 | 2,923.2 |
平泳ぎ(ゆっくり) | 5.3 | 333.9 | 2,671.2 |
水中ウォーキング(ゆっくり) | 2.5 | 157.5 | 1,260 |
ウォーキング(トレッドミル) | 3.5 | 220.5 | 1,764 |
ランニング(トレッドミル) | 8.0 | 504 | 4,032 |
各種目のMETsは負荷のかけ具合によって異なるので、上記は参考にご覧ください。一般的には、水泳よりランニングをおこなったほうが消費カロリーが大きくなることがわかります。消費カロリーが大きい順番に並べると、以下のようになります。
ランニング>クロール>平泳ぎ>ウォーキング>水中ウォーキング
また、一般的には体重1㎏落とすのに7,200kcal必要といわれています。そのため、上記運動をおこなうことで、170g〜550g程度の減量ができる計算です。
この計算はあくまで「週2回の運動」をベースにしたものであり、さらに頻度を上げれば数値を倍にすることも可能でしょう。
消費カロリーだけみると、わざわざ水泳をおこなう必要がないようにも見えてしまいます。にもかかわらず、水泳がダイエットにおすすめとされる理由はどこにあるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
水泳がダイエットに効果的な理由
水泳がダイエットに効果的な理由は、以下のとおりです。
- 身体への負担が少ない
- 効率よく全身を鍛えられる
- ダイエット効果以外の健康効果も期待できる
- 天候に左右されない
一つずつ解説していきます。
身体への負担が少ない
水中では身体に浮力がかかるため、陸上運動でかかる足腰や関節などへの負担を少なくできます。運動経験が少ない方が負荷の高い運動を続けると、怪我する可能性が高くなります。
その点、水泳は泳いでいるときはほぼ無重力になるともいわれていて、怪我する可能性が低いのが特徴です。運動初心者でも気軽に始められる有酸素運動としてもおすすめできます。
効率よく全身を鍛えられる
水泳は全身の筋肉を使って泳ぐため、効率よく全身を鍛えられます。
泳ぐときには、普段の生活ではあまり使わない部位の筋肉を使う可能性が高いため、陸上でおこなう有酸素運動よりも引き締まったボディラインを手に入れられるでしょう。
また、泳ぐときも決して早く泳ぐ必要はありません。ゆっくりと身体を大きく使って歩くだけでも基礎代謝の向上につながり、脂肪燃焼効果が期待できます。
ダイエット効果以外の健康効果も期待できる
水泳には、ダイエット効果以外の健康効果も期待できます。具体的には、以下のような効果です。
心肺持久力が高まる
心肺持久力とは、運動を長く続けられるスタミナや粘り強さのことです。水泳ダイエットを通して心肺持久力を高めれば、肺活量が向上しスタミナを鍛えることも可能です。
また、心肺持久力を高めておくことで、肥満や動脈硬化といった生活習慣病の予防になると考えられます。心肺持久力が高い人の方が低い人に比べて、死亡リスクが2倍近く低いという研究結果も出ています。
血流がよくなる
水泳には、全身の血流促進効果があるといわれています。水圧によって身体の抹消部分が圧迫されることで、血液の循環や老廃物の回収ができることが理由です。
血流がよくないと身体全身に栄養が行き渡りにくく、冷え性やむくみなどさまざまな症状で悩まされる可能性が高くなります。泳げない方でも水中ウォーキングから始めると効果が期待できます。
リラックスできる
水泳では、水中の浮力により「抗重力筋」の緊張が解けることでポジティブな気分が増加し、心身のリラックス効果が期待できるといわれています。
ダイエット中は、必ずしも楽しいことばかりではありません。ときには我慢を強いられる場面もあるでしょう。そのため、水泳による気分転換は、ダイエットを続けていく上でも大切なことといえるでしょう。
天候に左右されない
ジムに通っている方であれば天候が悪い日でも運動できるかもしれませんが、必ずしも全員がジム通いしているわけではありません。屋外で運動するとなると、天候の影響を受けやすくなります。
その点、一般的にダイエット目的で水泳をおこなう場合は、屋内施設の利用が想定されます。天候に左右されず運動できるため、スケジュール調整をしやすいメリットがあります。
水泳ダイエットを効果的におこなうためのポイント
では、水泳ダイエットをより効果的におこなうためには、どのような工夫が必要でしょうか。具体的には、以下のようなポイントをおさえていきましょう。
- 入水前にはストレッチをおこなう
- 泳法を変える
- バランスよい食事を心がける
- 筋トレも同時におこなう
一つずつ解説します。
入水前にはストレッチをおこなう
入水前にはストレッチをおこないましょう。ストレッチによって筋肉や関節を意図的に伸ばし、筋肉や関節の柔軟性を高めることで怪我防止にもなります。
また、ストレッチ自体が2.3METsの運動なので、身体を温める効果も期待できるため、入水前のウォーミングアップとして最適といえるでしょう。
参照:国立健康・栄養研究所|「改訂版|身体活動のメッツ(METs)表」
泳法や強度を変える
泳法や強度を変えることで、消費カロリーも変わってきます。以下では、上級者向けの泳法「バタフライ」と強度を上げた場合の消費カロリーを紹介します。
種目 | METs | 体重60kgの女性が1時間運動した場合の消費カロリー(kcal) | 体重60kgの女性が週2回(月8回)1時間運動した場合の消費カロリー(kcal) |
バラフライ(全般) | 13.8 | 869.4 | 6,955.2 |
平泳ぎ(全般) | 10.3 | 648.9 | 5,191.2 |
クロール(ふつうの速さ、45.7m/分未満) | 8.3 | 522.9 | 4,183.2 |
水中ウォーキング(ほどほどの労力、ほどほどの速さ) | 4.5 | 283.5 | 2,268 |
参照:国立健康・栄養研究所|「改訂版|身体活動のメッツ(METs)表」
表では「体重60kgの女性」「1時間」「週2回(月8回)」としていますが、体重の増減や運動時間、頻度によって数字は変わります。自分の運動レベルに合わせて、楽しく水泳ダイエットを続けていきましょう。
バランスよい食事を心がける
ダイエット中は運動するだけではなく、食事面も気をつけましょう。バランスよい食事を心がけることが必要です。参考にできるのは、農林水産省が公開している「食事バランスガイド」です。
画像引用:https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html
食事バランスガイドでは、毎日の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳」「乳製品」「果物」の5つの料理グループに区分しています。区分ごとに「つ(SV)」という単位を用いて、1日の目安が示されています。
上の図はコマの形を示しています。食事のバランスが悪くなると倒れてしまうことや、コマは回転(=運動)することでバランスを確保できることから、食事と運動の両方が大切なことを表現しています。
また、お水やお茶などの水分も1日の食事のなかで欠かせません。そのため、身体の主要な構成要素という意味からコマの軸とされています。
そして、お菓子や嗜好飲料は「楽しく適度に」というメッセージを添えてコマのヒモとされています。バランスよい食事をとるための参考にしてみてください。
筋トレも同時におこなう
水泳は、有酸素運動に分類されます。有酸素運動は脂肪燃焼効果があるとされていますが、筋肉量の増加が見込める筋トレなどの無酸素運動と組み合わせることで基礎代謝が高まり、ダイエット後も太りにくい身体を維持しやすくなります。
なお筋トレと有酸素運動の順番は、先に筋トレして有酸素運動をあとにするのがおすすめです。中性脂肪の分解が進んだ状態で有酸素運動に移った方がより効果的に体脂肪を燃焼できます。
時間があれば、水泳ダイエットに取り組む際は、無酸素運動と組み合わせて効率的に体脂肪を燃焼させましょう。
水泳以外の運動も取り入れてみよう
水泳ダイエットは、泳げない方でも気軽に始められるダイエット方法の一つです。泳法や強度を変えることで消費カロリーを増やせるだけでなく、陸上運動より身体への負担を少なくして効率よく全身を鍛えられます。
また、水泳ダイエットの効果をより上げるためにも、水泳以外の運動を取り入れてみるのもよいでしょう。ピラティスであれば、インナーマッスルに働きかけて身体の柔軟性を向上できます。代謝アップが期待でき、全身の筋肉が引き締められる効果もあるためおすすめです。
水泳ダイエットを取り入れたいと考えている方は、同時にピラティスを一緒に始めてみることもご検討ください。
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