ピラティススタジオではなく、すべての女性が心安らげる「ケアスタジオ」にしたい。
そんな思いでピラティス&オイルトリートメントのスタジオ「am+(アムプラス)」を設立した西林さきさんに、活動の原点やスタジオ運営までの道のりについて聞きました。
西林さきさんのプロフィール
ヨガ・ピラティスインストラクター/スタジオam+代表
大手ヨガスタジオで年間500本以上のレッスンを担当後、子どもや女性の心と体に寄り添いたいと考えフリーランスに転向。
現在はメディア・教育機関・企業などで活動し、2025年にピラティス&オイルトリートメントのスタジオ「am+(アムプラス)」を設立。“今の自分にちょうどいいケア”を届けている。
YouTube「さきヨガちゃんねる」登録者数32万人超。2023年に著書『90秒で体が変わる ほぐしヨガ』を出版。ミス・ワールド2018 ミスヨガ賞受賞。
横幕 真理のプロフィール
株式会社MAJOLI代表取締役
幼少期より太っている自分への強いコンプレックスから、無理なダイエットを繰り返す「万年ダイエッター」だったが、ピラティスとヨガに出会い、無理なく自然に理想のスタイルへ変化。カラダとココロを整えることで人生まで大きく変わり、「新しい自分」に出会う経験をする。
29歳で株式会社MAJOLIを設立し、これまでに累計4,000名以上の卒業生を輩出(2025年1月現在)
アメリカ・ラスベガスでピラティスを学び、独自のカリキュラムを加えた1日5分でどこでも実践できる「ちょこっとピラティス(通称ちょこピラ)」を開発。「自然に、しなやかに美しくなる」メソッドを忙しい現代人に提案し、多くの支持を集めている。
2025年2月3日発売!新刊「ちょこっとピラティス」

運動と癒しを一つの空間で。スタジオ「am+」に込めた想い

真理
まずは、現在の活動内容について教えていただけますでしょうか。

さきさん
現在は、約2ヶ月前にオープンしたピラティスとオイルマッサージのスタジオ「am+(アムプラス)」での活動が中心です。主にパーソナルレッスンを担当させていただいており、その他にはイベントへの出演や、自身のYouTubeチャンネルの更新などを行っています。

真理
ピラティスとオイルマッサージを組み合わせたスタジオというのは、非常に珍しいですね。

さきさん
そうなんです。ピラティスと整体の組み合わせはよく見かけますが、私の場合は少し違います。もともとマッサージが好きだったことと、以前ヨガインストラクターとして活動していた時、レッスンの最後にお客様の首や頭を少しマッサージさせていただいた経験が元になっています。


真理
それはすごく嬉しいサービスですね!

さきさん
特にお子様がいらっしゃるお母様方がその時間を非常に喜んでくださいました。ご自身の時間を作ることが難しいからこそ、ほんの数分でもマッサージの時間があることが、とても嬉しかったようです。その経験から、一つの場所で運動も癒しも提供できれば、心身が揺らぎやすい女性の体調や気持ちに寄り添えるのではないかと思ったのです。
活動の原点にある「お母さんのケア」と、その先の大きな夢

真理
そのようなスタジオの構想は、もともとお持ちだったのですか?

さきさん
はい。いつか作れたらいいな、と。さらに言いますと、私の長期的な目標として、お子さんがいるお母さんが気軽に遊びに来られるような、あるいはすぐに助けを求められるような福祉施設を作りたいという夢があります。

真理
素晴らしいですね。

さきさん
高齢者向けのデイケアセンターのように、お母さんたちにもそのような場所があればいいのに、と思うのです。周りの方々から産後の睡眠不足が本当に辛いと聞きます。そのような時に、たとえ30分でも気軽に子どもを預けられる場所があれば、多くの人の救いになるのではないかと。このスタジオはその構想の「第0号」のような位置づけです。最終的には一つの施設の中に、運動ができる場所、子どもを預けられる場所、そしてネイルサロンのように、女性が自分自身の楽しみを取り戻せるような場所も作りたいと考えています。


真理
そうした考えに至ったきっかけは、大学で福祉を学ばれていたことと関係があるのでしょうか。

さきさん
最初のきっかけは、社会福祉学部に在籍中に児童養護施設へダンスを教えるボランティアに行ったことでした。そのうち、「そもそも、なぜ傷つく子どもたちが生まれてしまうのか」という疑問に突き当たり、その保護者、主にお母さん自身のケアが必要なのではないか、という結論にたどり着いたのです。

真理
根本的な原因に目を向けられたのですね。

さきさん
はい。お母さんのケアをすることが、結果的に子どもたちの幸せにつながるのではないか、と考えるようになりました。それが、現在の私の活動の軸となっています。
挫折、ヨガとの出会いを経て。点と点が繋がった瞬間

真理
そして、ヨガとつながり、ヨガ関連の会社に就職されたという流れですか?

さきさん
いえ、実は逆なのです。一度、大学を卒業するタイミングで、その道を挫折しかけています。あまりにも壮絶な子どもたちの過去に触れ、自分には何もできないと心が折れてしまったのです。それで一度は一般企業へ就職し、そこでたまたま出会ったのがヨガでした。当時は「ヨガの先生くらいなら、私でもできるかもしれない」というのが最初のきっかけでした。勉強もゼロからでしたが、ヨガを続けるうちに食生活などが健康的になり、「運動は心も整えるのではないか」と気づいたのです。そこで初めて、大学時代に学んだ福祉の知識と結びつけられるのではないか、とひらめきました。その発見をした翌日には、もう上司に「辞めます」と伝えていました。幸い、その会社は前向きな退職を応援してくれる社風で、円満にフリーランスの道へ進むことになりました。

真理
本当にすごい決断力と行動力ですね。何がその決断力の原動力になっているのですか?

さきさん
人生いつ何が起こるか分からないと思っているからです。だから、先延ばしにして良いことは何もない、と。やりたいこと、伝えたいことは「今」やる、という気持ちが強くあります。

真理
それは何かきっかけがあったのでしょうか。

さきさん
学生時代に祖父が急逝したことが大きなきっかけです。私はおじいちゃん子だったのですが、あんなに大好きだったのに、「いつでも会える」と思って会いに行っていなかった自分に気づきました。その経験から「やるべきことはすぐにやらなければ」と強く思うようになったのかもしれません。

真理
でもそう思っても、なかなか行動に移せる人は多くないと思います。そこが本当にすごいなと、カッコイイなと思います。

さきさん
実際に挑戦して後悔したことは一度もありません。「怖いけれど、飛び込んでみればきっと良いことがある」という確信が自分の中にあります。

「有名になる」ための苦悩と、言葉にし続けることの大切さ

真理
独立されてから、具体的にどのような活動に力を入れてこられたのですか?

さきさん
まずは無名の状態よりも、ある程度知名度のあるインストラクターが発信する方が想いが届きやすいと考えました。そこで、まずは「有名になろう」と決めたのです。そのために、YouTubeを始めたり、大きなイベントに出演したり、ミスコンテストに出場したりと、まずは自分を知ってもらう活動に力を入れました。好きでやっていると思われがちですが、実は私は根っからのインドア派で、人前に出るのはかなり苦手です。

真理
全然そんな風には見えません。意外です。

さきさん
当時は使命感で活動していましたが、精神的に辛い時期もありました。ただ、その中でも一貫して、出会った方々に自分の夢や想いを伝え続けていました。すると、不思議と皆さんがご縁を紹介してくださり、遠回りに思えた活動が、徐々に本当にやりたいことへと繋がっていきました。

真理
すごいですね。やはり、自分の想いを言葉にして伝えることは、本当に大切ですね。ただ、そういった時、心が折れそうになることはありませんでしたか?

さきさん
それはもう、何度も…。特に最初は、目に見える成果がなかなか現れず、自分の活動に意味があるのかと悩んだ時期がありました。その時に、あるジムのオーナーから「パーソナルレッスンをやってみたら?」と提案されたのです。パーソナルなら1対1で目の前のお客様の変化を直接見守ることができます。その経験は私にとって非常に大きなもので、自分のやりたいことがお客様に届いていると日々実感できるようになり、心のバランスを保てるようになりました。

真理
なるほど。そのお気持ち、すごくよく分かります。私も、どれだけ組織が大きくなっても、目の前の一人ひとりとの繋がりを大切にしたいです。

「運動嫌い」だからこそ響く。すべての女性が心安らげる場所へ

真理
少し話は変わりますが、ピラティスを始められたきっかけについて、お聞かせいただけますか?

さきさん
はい。私は昔からずっと体型にコンプレックスがありました。幼少期からダンスをしていた影響で、筋肉質でがっしりした体型だったのです。ヨガである程度体は引き締まったのですが、細かい部分での悩みは解消されませんでした。そんな時、友人のピラティスインストラクターの体験レッスンに参加したのが始まりです。ピラティスを続けるうちに、理想のボディラインに体が変化していくのを感じました。特に骨盤底筋など、女性の体にとって重要な内側の筋肉を意識することの素晴らしさを実感し、これは妊娠中や産後の女性にも絶対に良い影響があるだろうと確信したのです。自分の伝えたいターゲット層が明確になってきた時期とも重なり、「これは学ぶしかない」と思いました。

真理
それでは、YouTubeチャンネルについてお伺いします。30万人以上の登録者数は本当にすごいことですが、支持されている理由をご自身ではどう分析されていますか?

さきさん
私はもともとコンプレックスが多く、その上、実は運動が大嫌いなのです。

真理
全くそう見えないので意外です…!

さきさん
こういう仕事をしていると、「好きでストイックな生活を」と思われがちですが、全くそんなことはありません。三日坊主ですし、お菓子も大好き。できることなら運動はしたくない、というのが本音です。しかし、そんな私でも運動やクリーンな食生活で心身ともに良い変化がたくさんありました。その経験から、「運動嫌いで怠け者の自分」だからこそ発信できることがあるのではないか、と思って続けています。

真理
なるほど、それが多くの方の心に響いているのですね。では、「am+(アムプラス)」は、どのような方におすすめのスタジオですか?

さきさん
働く女性、これから妊娠を考える女性、妊娠中や産後の女性など、あらゆるライフステージの女性が、心安らぐ居場所だと感じられるようなスタジオを目指しています。年齢を問わず、どんな女性にも気軽に訪れていただきたいです。

真理
「ピラティススタジオ」ではなく「ケアスタジオ」と謳われているのも、そうした思いからなのですね。

さきさん
はい。目指しているのは、近所にある昔ながらの定食屋さんのような存在です。「仕事で疲れたけど、あそこの人と少し話したいから寄っていこう」くらいの、そんな気軽な気持ちで立ち寄っていただける場所でありたいと思っています。

真理
それでは最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

さきさん
私自身、特別な才能があるわけではないからこそ言えるのですが、まずは自分自身を徹底的に知ることが大切だと思います。自分が何が好きで、何に生きがいを感じ、どうしていきたいのか。まずはとことん自分と向き合ってみてください。それが見えたら、あとは行動するだけです。その一歩が小さくても大きくても、動き出したという事実そのものが非常に価値のあることです。もし、やりたいことがあるのなら、恐れずに挑戦してみてほしいです。

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