若い世代にとても人気なイメージがあるピラティスですが、実は現在、高齢者の方々からの需要がすごく高まっているのをご存知ですか?
地域の健康増進センターや、サークル活動などだけでなく、町の小さなクリニックから総合病院まで、様々な場所でピラティスのレッスンが提供されています。
年齢を重ねていくとどうしても筋力や柔軟性が低下し、転倒や腰痛膝痛などのリスクも高まります。
ですが、どんな運動でもとりあえずすればいい!というわけではなく、激しい運動は心拍数を急激に上げるリスクもありますし、体を痛める原因にもなりかねません。
だからこそ、高齢者の方々にはピラティスがおすすめなんです!
実際に私が個人的にパーソナルレッスンをさせて頂いてるシニアの方々がいるのですが、日々とても良い方向に向かわれていて、初めてお会いした時とは別人のように心まで変化しています。
本日はそんなリアルな声も届けていきますので、ぜひ周りにいる、自分の大切な人生の先輩方を思い浮かべながら読み進めてみてください。
高齢者の方にピラティスがおすすめな理由
まず、冒頭でも少し触れていきましたが、【安全面】というところが1番だなと私は思います。
ピラティスは筋肉に着目するのではなく、骨や関節などを正しく扱うことで、適切な筋肉達が育っていきます。
音楽にのって動くエアロビや、友人達と楽しくおしゃべりしながら行う筋トレマシンも確かにいいですが、関節が硬いまま、歪んだまま激しい運動をしたらどうなるでしょうか?
私たちの身体はいとも簡単に重力に負け、更なる不調を引き起こしかねません。
その点ピラティスは重力に逆らいながら動いたり、関節を引き伸ばしながら動いていく為、無理なく筋肉を動かすこともでき、最終的には体全体のバランスを整えていくことができます。
また、ピラティスボールやセラバンド(ストレッチバンド)、ストレッチポールなどツールを使用していけばより身体の補助ができるため、その方に合わせたエクササイズの強度で進めていくことができます。
もう一つは【メンタル面の安定】です。
年齢を重ねて筋力などが低下すると臓器を適切に支えることが難しくなり、内臓機能など内側の働きも弱くなり、感情が揺らぎがちに。
そして感情の働きによっても臓器の働きは左右されてしまい、そこに関連する筋肉達も弱まっていく為、どちらのケアも大切なことがここでわかるかと思います。
70歳代後半の女性の場合
私のクライアントさんで70歳代後半の女性がいます。
その方は10代の頃から膝の痛みを感じていて、様々な病院に通院をしたり、ピラティス以外にも本当に多くのことにチャレンジをしてきた方ですが、治らずにこの年まできてしまったと仰っていました。
約1年前にお会いした当初はいつも俯いていて、体全体が丸みを帯びている、一見穏やかな方の印象でしたが、突然怒りを露わにすることがあったりと、感情のアップダウンが激しく、自分自身に無意識に振り回されてしまっている印象でした。
ここまでするのは皆様におすすめはしませんが、私にはとてもヘルプサインを出しているように感じ、正直に私の想いや、私だから出来ること、私には出来ないこと、貴方にしか出来ないこと、この時間を何のために使いたいのかなどを明確にし、お互いの意見を伝えあってきました。
現在その方は、当時のそのネガティブな雰囲気は一切なくなり、
・ここに来るまでは疲れていても終わったら元気が出る
・週に1回この時間があるから頑張れる
・毎回楽しみにしている
と、とてもポジティブな言葉ばかりを毎回のように発するようになりました。
そして、身体の変化も素晴らしいです。
・全く動かなかった胸郭も、若い方よりも凄いのではないか?と思うほどにとても深い呼吸が出来ている
・毎日のように使っていた薬達、睡眠薬はほぼ使わずに、下剤も数を減らしてこれてる
・歩くことが苦痛だったのに登山まで行けるように
・100鉢近くあるお家のお花達のお世話が以前は数日に分けていたが、1日で終わるようになった
などなど、筋力UPだけでなく、内側まで変化していってるのを私ももちろん感じていますが、ご自身でしっかりと気付かれているというところが大きなポイントだと思います。
ピラティスは自分で自分をコントロールすることを学んでいきます。
その為、内観力も高まり、自分が今どうゆう状態なのか、それに対して何が必要なのかが分かってくるのです。
自分を見てみぬふりをして、過ごせば過ごすほど、見たくても見えなくなるものがあります。
いつまでも自分の足でしっかりと立ち、やりたい事が出来る生活をしていくためには、ピラティスという学びが必要不可欠なのだと、私自身もクライアントさんから日々学ばせて頂いてます。
より安全に取り組むために
ピラティスが安全なものであるというのは、ここまでで少しずつ伝わったと思うのですが、その中でも注意してほしい点がいくつかあります。
①その日の状態や既往歴を必ず伝える事
まずこれは、担当のインストラクターから必ず聞かれる事だとは思いますが、より細かくお伝えしてください、と声を大にしてお伝えさせてください。
既往歴によっては動きに制限がかかってくるもの、やってはいけないものなどがあります。
自分の身を自分で守るためにも、必ずどんな小さなことでもお伝えして欲しいです。
そして、その日の状態も非常に大切です。
様々なクライアントさんとお会いしていると、『前回の人には言わなかったんだけど』『聞かれなかったから言わなかった』『何とも思ってなかったから』など、危険な言葉を聞くことが多々あります。
慢性的な症状は特に不調を聞かれた時にパッと出てこない方も多く、インストラクター側のカウンセリング力も非常に大切な所です。
もちろん私達インストラクター側が丁寧に聞くことがそもそも大事ですが、ぜひこの記事を読んでくださってる方、身近な人生の先輩にピラティスを勧めたいと思っている方は、伝える事の大切さを知っていただけたら嬉しいです。
②専門家から学ぶ事
手軽にYouTubeなどで行うのもいいですが、年齢を重ねていくと筋力、柔軟性などその人ごとの変化が顕著に現れますので、専門の知識を学んでいる人からしっかりと教えてもらうことが大事です。
適切な呼吸、正しいフォームを意識しなければ、ピラティスの効果は半減してしまいます。
不調や既往歴のある方は特にパーソナルをお勧めします。
③無理をしないこと
出来る!やりたい!が過剰に優位になると自分の現在地がわからなくなり、怪我のリスクがとても上がります。
睡眠不足である、疲れが溜まっている、痛みがあるなど今の自分に合わせて行いましょう。
その為に、①の伝えるという事が大事です。
まとめ
ピラティスは身体を整える、ボディメイク、ダイエットなどのイメージがとても強いですが、本来のピラティスはコントロロジーといって、自分の体を自分でコントロール出来るようになる事。
適切に体を動かし、心身を繋いでいく、統合していく事です。
ピラティス考案者のジョセフ氏は83歳で亡くなるその直前まで、一生涯実践をし、指導をしていたといいます。
自分の身体をコントロールすることは一生涯かけて学び続けること、そこに終わりはないと感じます。
今回の記事を読んでくださったあなたが、大切なご両親や祖父母に一生涯かけて元気で過ごしてもらえるよう、一つの案としてこのピラティスを勧めていただけたらと思います。